ソフィアの正餐会
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「この髪ゴムどう?」
「……意外とお茶目だよなぁルウは。なんでさっきから変な飾りばっか付いてるのを選ぶんだぁ?」
「え、変かなぁ? 可愛くない? このカニのデザイン」
平穏な日常が戻ってきて最初の休日。この前の買い物では自分達の必需品だけで買えなかったからと、近場の雑貨屋でルウとシルビは買い物をしていた。
髪ゴムを買うのだと言って朝からシルビを寮から連れ出し、髪ゴムを吟味しているルウはこの前の事など覚えてすらいないとばかりに楽しそうだ。髪ゴム以外にも買っているので殆どただのショッピングだが、『男二人でショッピング』という現実からは目を逸らす。
妙にリアルなカニの飾りが付いた髪ゴムを、諦めきれずにいるルウの手からやんわりと奪い取った。そのまま買い物籠へ突っ込み、シルビは傍にあった金色のリボンを手に取る。
それをルウの髪へ近付けて眺め、棚へ戻した。
「……俺はさぁ、犠牲って言葉が嫌いなんだぁ」
「いきなりだね」
「ちょっと怒ってるんだから素直に聞きなさい……この前みてぇな、一人で行くのは正直心配で困る」
「心配したの?」
「しちゃいけなかったぁ?」
硝子玉の付いた簪を手に取り、棚に掛かっている鏡を見ながら髪をまとめる。
「俺はお前を『友人』だと思うことにしたんだぁ。『友人』には一人で苦労しねぇでほしい。『友人』が苦痛を受けるのであれば俺が代わりてぇ。でも俺がそう思ってもいいと思う『友人達』は、俺がそういう境遇になったら困るって言う……そうなったらどうすればいいのか俺はまだ分からねぇんだよ」
首を軽く振って差した簪を確認していれば、ルウの手が伸びてきてそれを引き抜いた。店内ではそんなシルビとルウを見て、他の客や店員までがきゃあきゃあと囁き合っている。
棚へ簪を戻したルウが振り向く。
「ぼくもそれ、あんまり分かんないかな」
「でも理解しろって言ってくるんだよなぁ」
「シルビは、エディに似てるね」
思わず胡乱な目付きでルウを見返すと笑われた。ルウに似ていることは確定済みだが、まさかリィに似ているとまで言われようとは。
ルウは笑って傍に飾られていた幅広の赤い色のリボンを、先ほどシルビがルウへそうしたようにシルビの髪へ近づける。
「これいいね」
「学校には付けて行けねぇよ」
「ぼく達と会う時に付ければいいじゃない。つけてよ」
無言でルウの手からリボンを受け取りそれも籠へ突っ込んだ。
「俺はリィほどお前にやさしく出来ねぇよ。そもそも自分が優しいと思ったことも無ぇ。でも『ルウを見ている一人』にはなったつもりでいるんだぁ。……今回の事くらいで呆れて離れてくとか、もうしねぇよ」
今日買うものを身に着けていたら、知り合い全員に趣味が変わったのかと言われそうだ。会計へ向かって歩き出せば後ろからルウの声が聞こえる。
「……なんで分かるかなあ」
シルビは聞こえなかったフリをして店員へ買い物籠を渡した。
「……意外とお茶目だよなぁルウは。なんでさっきから変な飾りばっか付いてるのを選ぶんだぁ?」
「え、変かなぁ? 可愛くない? このカニのデザイン」
平穏な日常が戻ってきて最初の休日。この前の買い物では自分達の必需品だけで買えなかったからと、近場の雑貨屋でルウとシルビは買い物をしていた。
髪ゴムを買うのだと言って朝からシルビを寮から連れ出し、髪ゴムを吟味しているルウはこの前の事など覚えてすらいないとばかりに楽しそうだ。髪ゴム以外にも買っているので殆どただのショッピングだが、『男二人でショッピング』という現実からは目を逸らす。
妙にリアルなカニの飾りが付いた髪ゴムを、諦めきれずにいるルウの手からやんわりと奪い取った。そのまま買い物籠へ突っ込み、シルビは傍にあった金色のリボンを手に取る。
それをルウの髪へ近付けて眺め、棚へ戻した。
「……俺はさぁ、犠牲って言葉が嫌いなんだぁ」
「いきなりだね」
「ちょっと怒ってるんだから素直に聞きなさい……この前みてぇな、一人で行くのは正直心配で困る」
「心配したの?」
「しちゃいけなかったぁ?」
硝子玉の付いた簪を手に取り、棚に掛かっている鏡を見ながら髪をまとめる。
「俺はお前を『友人』だと思うことにしたんだぁ。『友人』には一人で苦労しねぇでほしい。『友人』が苦痛を受けるのであれば俺が代わりてぇ。でも俺がそう思ってもいいと思う『友人達』は、俺がそういう境遇になったら困るって言う……そうなったらどうすればいいのか俺はまだ分からねぇんだよ」
首を軽く振って差した簪を確認していれば、ルウの手が伸びてきてそれを引き抜いた。店内ではそんなシルビとルウを見て、他の客や店員までがきゃあきゃあと囁き合っている。
棚へ簪を戻したルウが振り向く。
「ぼくもそれ、あんまり分かんないかな」
「でも理解しろって言ってくるんだよなぁ」
「シルビは、エディに似てるね」
思わず胡乱な目付きでルウを見返すと笑われた。ルウに似ていることは確定済みだが、まさかリィに似ているとまで言われようとは。
ルウは笑って傍に飾られていた幅広の赤い色のリボンを、先ほどシルビがルウへそうしたようにシルビの髪へ近づける。
「これいいね」
「学校には付けて行けねぇよ」
「ぼく達と会う時に付ければいいじゃない。つけてよ」
無言でルウの手からリボンを受け取りそれも籠へ突っ込んだ。
「俺はリィほどお前にやさしく出来ねぇよ。そもそも自分が優しいと思ったことも無ぇ。でも『ルウを見ている一人』にはなったつもりでいるんだぁ。……今回の事くらいで呆れて離れてくとか、もうしねぇよ」
今日買うものを身に着けていたら、知り合い全員に趣味が変わったのかと言われそうだ。会計へ向かって歩き出せば後ろからルウの声が聞こえる。
「……なんで分かるかなあ」
シルビは聞こえなかったフリをして店員へ買い物籠を渡した。