ソフィアの正餐会
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「では、せめて、きみが知っていることだけでも私たちに教えてくれないか」
粘るジャスミンにリィが考えるような顔をすると、ケリーも自分の妻を援護する。
「もちろん聞くだけだ。手出しはしない。誓う」
「何に賭けて?」
碧色の瞳が煌めいてケリーを見つめた。
「おまえなら、こんな時なんて言うんだ?」
「おれの剣と戦士としての魂に賭けて誓う。自分の持っている中で一番大切なもの、それを失くしたら、おれがおれでいられなくなるものにだ」
真剣な口調にシルビは空になったカップを置いてリィを見つめる。ここで黙って座っていれば、聞く気があろうと無かろうとシルビも聞くことになるだろう。
だがそれではシルビだけが理不尽になってしまう。
「じゃあ俺は親友と弟、友人達と友人達の遺してくれた腕輪とナイフ。それから『兄さん』の名に賭けて誓おう。俺は親友達がいねぇと『俺』で在れねぇし、兄さんを無視することは与えられた優しさを捨てる事になる」
「そういうことならこの右眼と右腕に賭けて誓うぜ。どっちもなくしたらオレは自在に船を動かせなくなる。それじゃあ生きながら死んだも同然だからな」
「では、私は愛機の推進機関に賭けて誓おう。――身体の欠損は極端な話、補うことも出来るが、あれはもう二度と替えは利かない」
ジャスミンの誓いにはケリーが茶々をいれたものの、リィは満足そうに笑って食べ終えたハンバーガーの包み紙へ何かを書いた。違う紙が無かったのかと思ったが、リィにとってはその程度の価値しかないという意味であったなら、これ以上の侮辱も無い。
黒幕四人の、正確にはまともな名前など一つも無く、四つの名称だけが書かれた紙にケリーが呆気に取られる。シルビも身を乗り出してその四つの言葉を見て、眉を潜めた。
ベルベットルームの住人の、あの人間の常識が通用しない言動に慣れて解釈も出来ると自負していたが、文章で見ると随分と感覚が違う。言いたいことは分かるのだが、『共通認識』とは何なのだろうと遠い目をしたくなった。
「人間の脳内を飛び回っている情報を捕まえるのはそう簡単なことじゃない。こっちの腕次第なんだよ。おれは相棒ほど優秀な精神感応力者じゃないから、どこの誰なのか特定できれば充分だ」
自分の注文した分を食べ終えたリィが、律儀にごちそう様と言い置いて店を出て行く。シルビ達も後へ続いたが、ケリーとジャスミンは不可解な名称にまだ驚きを隠せないでいる。
「メルロウもフォンドも惑星の名前じゃねえな」
「恐らく企業名でもないと思うぞ。となると、何か縁の地名か?」
「探すなら手伝うけど、手出しはしねぇんだよなぁ?」
ハンバーガーのメモを睨んでいる二人に尋ねれば、当たり前だと返された。
粘るジャスミンにリィが考えるような顔をすると、ケリーも自分の妻を援護する。
「もちろん聞くだけだ。手出しはしない。誓う」
「何に賭けて?」
碧色の瞳が煌めいてケリーを見つめた。
「おまえなら、こんな時なんて言うんだ?」
「おれの剣と戦士としての魂に賭けて誓う。自分の持っている中で一番大切なもの、それを失くしたら、おれがおれでいられなくなるものにだ」
真剣な口調にシルビは空になったカップを置いてリィを見つめる。ここで黙って座っていれば、聞く気があろうと無かろうとシルビも聞くことになるだろう。
だがそれではシルビだけが理不尽になってしまう。
「じゃあ俺は親友と弟、友人達と友人達の遺してくれた腕輪とナイフ。それから『兄さん』の名に賭けて誓おう。俺は親友達がいねぇと『俺』で在れねぇし、兄さんを無視することは与えられた優しさを捨てる事になる」
「そういうことならこの右眼と右腕に賭けて誓うぜ。どっちもなくしたらオレは自在に船を動かせなくなる。それじゃあ生きながら死んだも同然だからな」
「では、私は愛機の推進機関に賭けて誓おう。――身体の欠損は極端な話、補うことも出来るが、あれはもう二度と替えは利かない」
ジャスミンの誓いにはケリーが茶々をいれたものの、リィは満足そうに笑って食べ終えたハンバーガーの包み紙へ何かを書いた。違う紙が無かったのかと思ったが、リィにとってはその程度の価値しかないという意味であったなら、これ以上の侮辱も無い。
黒幕四人の、正確にはまともな名前など一つも無く、四つの名称だけが書かれた紙にケリーが呆気に取られる。シルビも身を乗り出してその四つの言葉を見て、眉を潜めた。
ベルベットルームの住人の、あの人間の常識が通用しない言動に慣れて解釈も出来ると自負していたが、文章で見ると随分と感覚が違う。言いたいことは分かるのだが、『共通認識』とは何なのだろうと遠い目をしたくなった。
「人間の脳内を飛び回っている情報を捕まえるのはそう簡単なことじゃない。こっちの腕次第なんだよ。おれは相棒ほど優秀な精神感応力者じゃないから、どこの誰なのか特定できれば充分だ」
自分の注文した分を食べ終えたリィが、律儀にごちそう様と言い置いて店を出て行く。シルビ達も後へ続いたが、ケリーとジャスミンは不可解な名称にまだ驚きを隠せないでいる。
「メルロウもフォンドも惑星の名前じゃねえな」
「恐らく企業名でもないと思うぞ。となると、何か縁の地名か?」
「探すなら手伝うけど、手出しはしねぇんだよなぁ?」
ハンバーガーのメモを睨んでいる二人に尋ねれば、当たり前だと返された。