ソフィアの正餐会
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『次の休みにちょっと遠出して買い物行くんだけど、一緒に行かない?』
「……買い物のジャンルによる」
『んー、服とか小物だよ』
「俺、服は着れれば何でもいい派だから」
『やんわりと断られたのかな、それ』
どうしても外せない用事があり、リィ達に誘われていたもののサフノスク大学へ一緒にルウへ会い行く事が出来なかった日。疲労感と一緒に寮へ帰ったらルウから通信が入った。
一体誰が間違えた情報の提示を出したのか。そのせいでシルビとシルビの一つ下の学年は締め切りギリギリになるまで、班別のレポート作成の存在にすら気付けなかった。
そのレポートをどうにか仕上げる為の居残りである。シルビのいる班は終わったが、他の班は今もまだ学校へ詰めているだろう。
夕食前の軽食代わりに談話室で貰ったシナモンクッキーをテーブルへ置き、シルビは椅子へ腰を降ろす。
「断ってねぇけど、ファッションセンスとかは期待するなって話だぁ」
『買いたいのはぼく達のものだから。保護者はキングに頼んだんだけど、シルビぐらいの年齢の男の子も居た方がいいかなって』
「俺くらいの年齢の『男の子』?」
何処と無く引っ掛かる言い方にシナモンクッキーへ伸ばしていた手を止めた。その言い方では他に男がいないような口ぶりだ。
次の休みに買い物、という上に今日の放課後にはリィ達と会っているはずだから、その買い物というのはリィ達と行くものだと思っていた。だがリィやシェラは見た目こそ天使だが、まごう事なき男である。
ならばケリーも含めて全員男であるはずだ。
ルウはそんなシルビの内心が通信機の向こうで分かったかのように笑う。
『ぼくは女の子の格好で行くんだ』
流石に言葉を失った。暫く逡巡してから、シルビは左手首の腕輪を弄る。
「……この前その身体を再構築したばかりで、色々試してぇのかぁ?」
『ううん。そうじゃないよ』
はっきりと言い切ったルウはまだ笑っていた。付き合いが短いのでその笑みの理由は分からない。分かるとしたらルウの『相棒』であるリィくらいだろうが、リィは当然この部屋には居なかった。
シルビとルウが少なからず似ていることは実証済みだが、だからといって互いの思考が完全に理解できるはずが無い。そんなのは相棒同士のルウとリィだって無理だ。
そもそもシルビ自身それが出来るようになりたいとは思わない。以前の《ネレウス》で遭遇した精神感応のような超能力だって、スプーン曲げがちょっとした特技として出来る程度しか欲しいとは思わなかった。
仕方ないので、用件のことにだけ返事を返す。
「俺も新しい髪ゴム欲しいんだけど、一個ぐらいルウが選んでくれるかぁ?」
『いいよ。とびきり似合うのを選んであげる!』
「……買い物のジャンルによる」
『んー、服とか小物だよ』
「俺、服は着れれば何でもいい派だから」
『やんわりと断られたのかな、それ』
どうしても外せない用事があり、リィ達に誘われていたもののサフノスク大学へ一緒にルウへ会い行く事が出来なかった日。疲労感と一緒に寮へ帰ったらルウから通信が入った。
一体誰が間違えた情報の提示を出したのか。そのせいでシルビとシルビの一つ下の学年は締め切りギリギリになるまで、班別のレポート作成の存在にすら気付けなかった。
そのレポートをどうにか仕上げる為の居残りである。シルビのいる班は終わったが、他の班は今もまだ学校へ詰めているだろう。
夕食前の軽食代わりに談話室で貰ったシナモンクッキーをテーブルへ置き、シルビは椅子へ腰を降ろす。
「断ってねぇけど、ファッションセンスとかは期待するなって話だぁ」
『買いたいのはぼく達のものだから。保護者はキングに頼んだんだけど、シルビぐらいの年齢の男の子も居た方がいいかなって』
「俺くらいの年齢の『男の子』?」
何処と無く引っ掛かる言い方にシナモンクッキーへ伸ばしていた手を止めた。その言い方では他に男がいないような口ぶりだ。
次の休みに買い物、という上に今日の放課後にはリィ達と会っているはずだから、その買い物というのはリィ達と行くものだと思っていた。だがリィやシェラは見た目こそ天使だが、まごう事なき男である。
ならばケリーも含めて全員男であるはずだ。
ルウはそんなシルビの内心が通信機の向こうで分かったかのように笑う。
『ぼくは女の子の格好で行くんだ』
流石に言葉を失った。暫く逡巡してから、シルビは左手首の腕輪を弄る。
「……この前その身体を再構築したばかりで、色々試してぇのかぁ?」
『ううん。そうじゃないよ』
はっきりと言い切ったルウはまだ笑っていた。付き合いが短いのでその笑みの理由は分からない。分かるとしたらルウの『相棒』であるリィくらいだろうが、リィは当然この部屋には居なかった。
シルビとルウが少なからず似ていることは実証済みだが、だからといって互いの思考が完全に理解できるはずが無い。そんなのは相棒同士のルウとリィだって無理だ。
そもそもシルビ自身それが出来るようになりたいとは思わない。以前の《ネレウス》で遭遇した精神感応のような超能力だって、スプーン曲げがちょっとした特技として出来る程度しか欲しいとは思わなかった。
仕方ないので、用件のことにだけ返事を返す。
「俺も新しい髪ゴム欲しいんだけど、一個ぐらいルウが選んでくれるかぁ?」
『いいよ。とびきり似合うのを選んであげる!』