オンタロスの剣
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およそ一ヶ月近くを経て戻ってきたリィとルウは、ベティの舞台へ何とか間に合っていた。その頃になるとあの騒動で休んだ分の補習も全て片付き、シルビは放課後に居残る事もなくフォンダム寮へ帰る日々に戻っている。
だから寮へ帰って早々、ルウが来ていたのには驚いた。
珍しく申し訳無さそうにお茶へ誘われ、シルビが知っている珈琲の美味い店に入る。互いの飲み物がそれぞれ来てから、ルウは言い辛そうに口を開いた。
「怒ってる?」
「……怒ってはいねぇよ。悪ぃのはルウじゃねぇし、自分の力不足とか覚悟不足とか、そういう問題だっただけだと思うことにした」
「あれだけ悩んでたのに?」
「悩むのはいつものことだぁ。ルウ達に会う前からもずっと悩んでる。だからそれはいい」
それに、もう少なからず決めたところだ。
「ルウに身体を奪われようがキング達に巻き込まれようが、リィ達と共闘する事になろうが、俺はお前等の事を気に入ってはいるよ。やさしいから」
「……シルビだってやさしいよ?」
「やさしかったら、自分のことなんて顧みねぇよ」
ルウが頼んだ珈琲へ砂糖を入れて口を付ける。ゆるりと和らいだ目元に気に入ったのだろうと思いながら、シルビも自分のカップを口元へ運んだ。
「ただ、『二人』に合わせられる顔が無ぇなぁとは思ってる。その分だけは、ちょっと、ルウ達を恨んでもいいかぁ? 八つ当たりだろうけどなぁ」
「普通『恨みます』って宣言はしないでしょ。律儀だなあ」
「八つ当たりだからなぁ」
「いいよ。じゃあ、シルビがその人達に再会できた時には、ぼくも一緒に謝ってあげる」
わざとなのか偶然なのか、ケリーとリィに続きルウまで同じ様な申し出をしてくる。これが『類は友を呼ぶ』なのか『同じ穴の狢』なのか。
けれどもそれについては言及しなかった。突き詰めてしまえば、どうせまたシルビは自分の立場について、うだうだ悩み始めるに相場が決まっている。面倒臭いことはもう知られたのだし、それでも一緒にいろと言うのなら、居ればいいのだ。それを求められ許されている間は。
「『二人』も驚くだろうなぁ。俺が戻ってきたと思ったら謝られるんだから」
「ふふ、今から会うのが楽しみだね」
やっと声に出して笑う『友人』に、シルビは注文票をとってテーブルへと置く。ルウはこの店の珈琲を気に入ったようだから、今度ジャスミンやレティシアも連れて来てみようかと思った。
それから今後は、紹介する時も『友人』と言わねば。
「この店ティラミスも美味ぇんだよ」
「へえ、頼んでもいい?」
「俺も食うから二つなぁ」
だから寮へ帰って早々、ルウが来ていたのには驚いた。
珍しく申し訳無さそうにお茶へ誘われ、シルビが知っている珈琲の美味い店に入る。互いの飲み物がそれぞれ来てから、ルウは言い辛そうに口を開いた。
「怒ってる?」
「……怒ってはいねぇよ。悪ぃのはルウじゃねぇし、自分の力不足とか覚悟不足とか、そういう問題だっただけだと思うことにした」
「あれだけ悩んでたのに?」
「悩むのはいつものことだぁ。ルウ達に会う前からもずっと悩んでる。だからそれはいい」
それに、もう少なからず決めたところだ。
「ルウに身体を奪われようがキング達に巻き込まれようが、リィ達と共闘する事になろうが、俺はお前等の事を気に入ってはいるよ。やさしいから」
「……シルビだってやさしいよ?」
「やさしかったら、自分のことなんて顧みねぇよ」
ルウが頼んだ珈琲へ砂糖を入れて口を付ける。ゆるりと和らいだ目元に気に入ったのだろうと思いながら、シルビも自分のカップを口元へ運んだ。
「ただ、『二人』に合わせられる顔が無ぇなぁとは思ってる。その分だけは、ちょっと、ルウ達を恨んでもいいかぁ? 八つ当たりだろうけどなぁ」
「普通『恨みます』って宣言はしないでしょ。律儀だなあ」
「八つ当たりだからなぁ」
「いいよ。じゃあ、シルビがその人達に再会できた時には、ぼくも一緒に謝ってあげる」
わざとなのか偶然なのか、ケリーとリィに続きルウまで同じ様な申し出をしてくる。これが『類は友を呼ぶ』なのか『同じ穴の狢』なのか。
けれどもそれについては言及しなかった。突き詰めてしまえば、どうせまたシルビは自分の立場について、うだうだ悩み始めるに相場が決まっている。面倒臭いことはもう知られたのだし、それでも一緒にいろと言うのなら、居ればいいのだ。それを求められ許されている間は。
「『二人』も驚くだろうなぁ。俺が戻ってきたと思ったら謝られるんだから」
「ふふ、今から会うのが楽しみだね」
やっと声に出して笑う『友人』に、シルビは注文票をとってテーブルへと置く。ルウはこの店の珈琲を気に入ったようだから、今度ジャスミンやレティシアも連れて来てみようかと思った。
それから今後は、紹介する時も『友人』と言わねば。
「この店ティラミスも美味ぇんだよ」
「へえ、頼んでもいい?」
「俺も食うから二つなぁ」