オンタロスの剣
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このまま大学惑星へは戻らず黒豹としばらく生活するというリィを、かつて誘拐された先であった惑星『ヴェロニカ』へと降ろして《パラス・アテナ》は大学惑星へと向かった。
連邦大学のサンデナン大陸は深夜だったが、そのままアイクライン校へと向かいラー一族の者を呼び出す。現れたのは以前にも会った事のあるデモンで、シルビが居ることに気付くと僅かに驚きつつもシェラと話し始めた。
「――おまえが最後に見た時はもう身体だけで中身が入ってなかったんだろう?」
「はい。リィは確かにそう言っていました。ルウはもうここにはいないと……」
「脳味噌を掻き回されて身体を使えなくされたんで避難したんだろうな」
「それだ、問題は。どこに避難したと言うんだ?」
「自分の意思で身体から出て行ったんなら、戻ってくるのだって自力でできるんじゃねえの? 少なくともこいつに入った分は戻ってきた訳だろ?」
指差されてシルビはデモンの視線を受ける。
「……貴方に入った? ルウがですか?」
「自分の意思じゃねぇでしょう。元へ戻るのに軸となるものがまだ無かったから一時的に飛び込んだ。――仮の器になっただけです」
「ああ、そういうことですか」
つまり拡散した意識を再びかき集めるにしても、それを入れる肉体の構築があの段階では出来ていなかった。元の肉体はリィの傍へあったが、それに戻ってしまえば元の木阿弥だ。
仕方なく肉体を構築するまでの間の器として、シルビの中へと入り込んだのだろう。これが他の人間であったなら、それこそ脳が破裂する事態だっただろうが。
「ルウは今、大急ぎで元に戻ろうとしているでしょう。幸い、目印はある。あの黄金の光を目印に、新しい身体を作り、拡散した意識をその身体へ凝縮させようとするでしょう」
だがそれは、ラー一族であるルウにとっての一瞬で行なわれるとしても、人間であるリィの時間では何十年にも何百年にもなるかも知れない。
「だったら、あんたたちの力でその辺をふらふら飛んでいる天使を捕まえたらどうなんだ?」
「我々にそれができればとっくにやってますよ。今のルウには自我というものがない状態なんです」
「だから『本能』で俺に入ってきたのかぁ?」
「おそらくそうでしょう。そもそも『その辺』とおっしゃいますが、この宇宙がどのくらい広いものか、今さらあなたにご説明する必要はないでしょう?」
デモンはケリー達の怒りの意味をきっと分かっていないのだろう。だから常識の違う事を平然と言える。
これが『種族の違い』だとするなら、シルビは自分はまだ『人』だと認識して皮肉的な笑みを零した。
連邦大学のサンデナン大陸は深夜だったが、そのままアイクライン校へと向かいラー一族の者を呼び出す。現れたのは以前にも会った事のあるデモンで、シルビが居ることに気付くと僅かに驚きつつもシェラと話し始めた。
「――おまえが最後に見た時はもう身体だけで中身が入ってなかったんだろう?」
「はい。リィは確かにそう言っていました。ルウはもうここにはいないと……」
「脳味噌を掻き回されて身体を使えなくされたんで避難したんだろうな」
「それだ、問題は。どこに避難したと言うんだ?」
「自分の意思で身体から出て行ったんなら、戻ってくるのだって自力でできるんじゃねえの? 少なくともこいつに入った分は戻ってきた訳だろ?」
指差されてシルビはデモンの視線を受ける。
「……貴方に入った? ルウがですか?」
「自分の意思じゃねぇでしょう。元へ戻るのに軸となるものがまだ無かったから一時的に飛び込んだ。――仮の器になっただけです」
「ああ、そういうことですか」
つまり拡散した意識を再びかき集めるにしても、それを入れる肉体の構築があの段階では出来ていなかった。元の肉体はリィの傍へあったが、それに戻ってしまえば元の木阿弥だ。
仕方なく肉体を構築するまでの間の器として、シルビの中へと入り込んだのだろう。これが他の人間であったなら、それこそ脳が破裂する事態だっただろうが。
「ルウは今、大急ぎで元に戻ろうとしているでしょう。幸い、目印はある。あの黄金の光を目印に、新しい身体を作り、拡散した意識をその身体へ凝縮させようとするでしょう」
だがそれは、ラー一族であるルウにとっての一瞬で行なわれるとしても、人間であるリィの時間では何十年にも何百年にもなるかも知れない。
「だったら、あんたたちの力でその辺をふらふら飛んでいる天使を捕まえたらどうなんだ?」
「我々にそれができればとっくにやってますよ。今のルウには自我というものがない状態なんです」
「だから『本能』で俺に入ってきたのかぁ?」
「おそらくそうでしょう。そもそも『その辺』とおっしゃいますが、この宇宙がどのくらい広いものか、今さらあなたにご説明する必要はないでしょう?」
デモンはケリー達の怒りの意味をきっと分かっていないのだろう。だから常識の違う事を平然と言える。
これが『種族の違い』だとするなら、シルビは自分はまだ『人』だと認識して皮肉的な笑みを零した。