オンタロスの剣
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格納庫でリィの顔を覗き込んでいたが、人の気配を感じて振り返るとシェラが走ってくる。ダイアナの補助を借りて置いて行かれたシルビがなんとかシェラ達の向かった格納庫へ向かえば、視界へよろよろと自分が映りこんだ。
「うわぁ、すげぇ気持ち悪ぃぜぇこれ」
「いったいお前はさっきから何やっているんだ?」
遅れてやってきたシルビにケリーが不思議がっている。
視界ではシェラ達が手を出しあぐねているのと目を閉じて近付く自分の姿が見えて、鏡越しに自分の動きを確かめている感覚で『視界』の目の前へ膝を突いた。
「――ホラ、戻れよルウ」
そう言えば『視界』が近付いてきて、直後視界が真っ暗になり生ぬるい感触が目元を襲う。舐められたのだと理解して目を開ければ、黒豹が用は済んだとばかりにそっぽを向いてリィの顔をその鼻面で探っていた。
閉ざされていたリィの目蓋が、ピクリと動いたのにシルビは場所をシェラへ明け渡す。眼の周りが舐められたせいで少し不快だ。
「リィ!」
目を覚ましたリィは何度も目を瞬きさせながら、周囲のシルビ達と目の前の黒豹を見る。状況は察したのか黒豹の首へしがみ付くようにして上体を起こした。
「やれやれ、参った。まさか裸で大気圏に突っ込む破目になるとは思わなかったぞ……」
「普通それをやったら今頃おまえはお星様だ」
「まったくだ。よく服が燃えなかったな」
ケリーとジャスミンも少し感想がずれていると思う。黒豹はリィへ喉を鳴らす勢いで懐いていたが、シェラ達へ対する先程までの警戒心はなくなったらしく、シェラがリィへ手を貸して支えても威嚇してはこなかった。
その黒豹の正体を求めてケリーが尋ねるが、懐かれているリィにも分からないらしい。ただ言えることは、それはハッキリとルウではなく一部の端末のようなものだという。
「ルーファの一部ではあるけどルーファ自身じゃない。これだけ戻ってくるのがやっとだったんだろうな」
「今も少しずつ戻ってきてんだろぉ」
目元を袖で拭いながら言えば、リィが面白そうにシルビを見上げた。
「よく分かるな」
「分解炉へ行く途中からさっきまで、ルウが俺の中に入ってたんだぁ。他に器が無くて仕方なかったからだろうが、生きてる人間を器にしねぇでくれねぇかなぁ」
リィ以外の視線が痛い。普通は出来ない事だし、他人の意識を受け入れるのさえ本来は、精神崩壊の危険があることぐらいシルビにだって分かっている。
分かっているからこそ、嫌だったのだ。
「……おまえ、それで『一般人』だとか今までよく言えたな」
「ホラみろぉ、絶対誰かが言うと思ってたぜぇそういう一言!」
「うわぁ、すげぇ気持ち悪ぃぜぇこれ」
「いったいお前はさっきから何やっているんだ?」
遅れてやってきたシルビにケリーが不思議がっている。
視界ではシェラ達が手を出しあぐねているのと目を閉じて近付く自分の姿が見えて、鏡越しに自分の動きを確かめている感覚で『視界』の目の前へ膝を突いた。
「――ホラ、戻れよルウ」
そう言えば『視界』が近付いてきて、直後視界が真っ暗になり生ぬるい感触が目元を襲う。舐められたのだと理解して目を開ければ、黒豹が用は済んだとばかりにそっぽを向いてリィの顔をその鼻面で探っていた。
閉ざされていたリィの目蓋が、ピクリと動いたのにシルビは場所をシェラへ明け渡す。眼の周りが舐められたせいで少し不快だ。
「リィ!」
目を覚ましたリィは何度も目を瞬きさせながら、周囲のシルビ達と目の前の黒豹を見る。状況は察したのか黒豹の首へしがみ付くようにして上体を起こした。
「やれやれ、参った。まさか裸で大気圏に突っ込む破目になるとは思わなかったぞ……」
「普通それをやったら今頃おまえはお星様だ」
「まったくだ。よく服が燃えなかったな」
ケリーとジャスミンも少し感想がずれていると思う。黒豹はリィへ喉を鳴らす勢いで懐いていたが、シェラ達へ対する先程までの警戒心はなくなったらしく、シェラがリィへ手を貸して支えても威嚇してはこなかった。
その黒豹の正体を求めてケリーが尋ねるが、懐かれているリィにも分からないらしい。ただ言えることは、それはハッキリとルウではなく一部の端末のようなものだという。
「ルーファの一部ではあるけどルーファ自身じゃない。これだけ戻ってくるのがやっとだったんだろうな」
「今も少しずつ戻ってきてんだろぉ」
目元を袖で拭いながら言えば、リィが面白そうにシルビを見上げた。
「よく分かるな」
「分解炉へ行く途中からさっきまで、ルウが俺の中に入ってたんだぁ。他に器が無くて仕方なかったからだろうが、生きてる人間を器にしねぇでくれねぇかなぁ」
リィ以外の視線が痛い。普通は出来ない事だし、他人の意識を受け入れるのさえ本来は、精神崩壊の危険があることぐらいシルビにだって分かっている。
分かっているからこそ、嫌だったのだ。
「……おまえ、それで『一般人』だとか今までよく言えたな」
「ホラみろぉ、絶対誰かが言うと思ってたぜぇそういう一言!」