オンタロスの剣
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窓の外で明るい花火が何度も上げられたかと思うと、《ネレウス》と呼ばれていた宇宙拠点は跡形もなく粉砕された。
シェラとレティシアが窓から息を飲んでそれを見ている傍で、シルビは片目を閉じて『視える』ものを冷静に判断しようと努力する。両目を閉じないのはシェラの様子も気になったからだ。
片目に視えるのは眼下から近付いてくる白い海。ソレが雲だと理解は出来たものの、それ以上は分からない。シェラが通信機へむかって何度も呼びかけている。
暫くして《パラス・アテナ》が到着し、連結橋が渡されるとシェラが操縦室へと駆け込んでいった。シルビもその後を追おうとして、自分の視界がおぼつかずによろける。
「どうした」
「……ごめん、ちょっと手貸してくれぇ」
「今更怪我でもしたか?」
「怪我だったらまだ良かったかもなぁ。シェラ達に『地上』だって言わねぇと……」
「地上?」
分からないながらも脱出艇から降りるのに手を貸してくれたレティシアと一緒に操縦室へ行けば、ケリー達が話し合っていた。
「他には……何か言ってませんでしたか?」
「よく聞き取れなくてな」
「地上だよ」
口を挟めばシェラ達がシルビを振り返る。自分の視界が鬱陶しいので眼帯が欲しい。
「確かに地上に、と言ってたけれど」
「多分大気圏内。雲が傍に浮いてる。その位低いとこだぁ」
「では、地上へ向かってください」
言下に頼んだシェラにケリーとダイアナが無言で顔を見合わせている。そうしている間にもシルビの視界は濃くなっていた。自分本来の視界さえ押し潰されてしまいそうで、流石にそろそろ気持ちが悪い。
《パラス・アテナ》とまだ外にいるジャスミンの戦闘機《クインビー》が並んで惑星グールーの大気圏へと突入する。シルビはもう自分の視界を諦めて両目を閉じていた。
その視界へ雲の隙間から《パラス・アテナ》の外観が少しずつ見えてくる。《クインビー》の赤い姿も視界へ入っていた。
「――何かいる」
「何だって?」
ダイアナの探知機へも一応捉えられたらしい。更に近付き映像へはっきりと映し出される姿にシェラが叫ぶ。
「グライア!?」
羽の生えた黒い馬らしい。自分の視界が利かない以上その姿を見れないのが少し残念である。その馬の背にリィが乗っているという。とはいえ意識のない状態のようだが。
どうにかあの天馬を《パラス・アテナ》へ収容させようと、天馬の前で慎重に格納庫の扉を開放する。シルビの視界では目の前で格納庫の扉が開くのが見えていた。
格納庫の扉が近付いてきて、《パラス・アテナ》の内部へと視界が移動していく。自分の意思とは関係なく動く視界に、ああもうコレは映画でも見ていると思えばいいのかと悟った。
シェラとレティシアが窓から息を飲んでそれを見ている傍で、シルビは片目を閉じて『視える』ものを冷静に判断しようと努力する。両目を閉じないのはシェラの様子も気になったからだ。
片目に視えるのは眼下から近付いてくる白い海。ソレが雲だと理解は出来たものの、それ以上は分からない。シェラが通信機へむかって何度も呼びかけている。
暫くして《パラス・アテナ》が到着し、連結橋が渡されるとシェラが操縦室へと駆け込んでいった。シルビもその後を追おうとして、自分の視界がおぼつかずによろける。
「どうした」
「……ごめん、ちょっと手貸してくれぇ」
「今更怪我でもしたか?」
「怪我だったらまだ良かったかもなぁ。シェラ達に『地上』だって言わねぇと……」
「地上?」
分からないながらも脱出艇から降りるのに手を貸してくれたレティシアと一緒に操縦室へ行けば、ケリー達が話し合っていた。
「他には……何か言ってませんでしたか?」
「よく聞き取れなくてな」
「地上だよ」
口を挟めばシェラ達がシルビを振り返る。自分の視界が鬱陶しいので眼帯が欲しい。
「確かに地上に、と言ってたけれど」
「多分大気圏内。雲が傍に浮いてる。その位低いとこだぁ」
「では、地上へ向かってください」
言下に頼んだシェラにケリーとダイアナが無言で顔を見合わせている。そうしている間にもシルビの視界は濃くなっていた。自分本来の視界さえ押し潰されてしまいそうで、流石にそろそろ気持ちが悪い。
《パラス・アテナ》とまだ外にいるジャスミンの戦闘機《クインビー》が並んで惑星グールーの大気圏へと突入する。シルビはもう自分の視界を諦めて両目を閉じていた。
その視界へ雲の隙間から《パラス・アテナ》の外観が少しずつ見えてくる。《クインビー》の赤い姿も視界へ入っていた。
「――何かいる」
「何だって?」
ダイアナの探知機へも一応捉えられたらしい。更に近付き映像へはっきりと映し出される姿にシェラが叫ぶ。
「グライア!?」
羽の生えた黒い馬らしい。自分の視界が利かない以上その姿を見れないのが少し残念である。その馬の背にリィが乗っているという。とはいえ意識のない状態のようだが。
どうにかあの天馬を《パラス・アテナ》へ収容させようと、天馬の前で慎重に格納庫の扉を開放する。シルビの視界では目の前で格納庫の扉が開くのが見えていた。
格納庫の扉が近付いてきて、《パラス・アテナ》の内部へと視界が移動していく。自分の意思とは関係なく動く視界に、ああもうコレは映画でも見ていると思えばいいのかと悟った。