オンタロスの剣
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リィとレティシアの剣戟を見物し、シルビは自分があの二人へ勝てるかを考えてみる。
身体能力はおそらく遜色ない。だが短剣を得意とするシルビではリーチに差がある。最近ではそれを補うように銃を持つようになったが、銃弾も切り払われればそれまでだ。
自分が出来ることは確実に相手にも出来ると思わなければならない。そこまで考えて『リィ達と戦う事は無い』という前提に気付き、腰で揺れているウォレットチェーンを軽く叩いた。
ベティはあまりの凄さへ固まっていたが、目の前で手を叩かれる事で正気に戻り、真剣に終わったばかりの立会いを賞賛している。
気軽に本当の事を嘘のように言うレティシアへ、ベティは何も追及せず深々と頭を下げてお礼を言った。アイクライン校の前で出会ってから此処へ来るまでに聞いた限りでは、演劇の為なら何でもするような子だと思っていたが、意外と聡いのだろう。
稽古があるのでもう帰らなければならないと言うベティと、空港へ送るからと変装しているジンジャーと別れ、残されたレティシアが感心したように言った。
「もっと派手に怖がるか、逆に何もわからないでぽかんとしてるかと思ったが……うすうす気付いてたみたいだな?」
「ああ。ベティは剣のほうはまったくの素人だけど、鈍くはないからな」
「おもしろい娘じゃねえの」
「手は出すなよ」
真顔で忠告するリィに、シルビも少し驚く。
レティシアはこのログ・セール大陸に寮があるのでのんびり歩いて帰るらしく、集合した時と同じく施設の前で別れることになった。ジャスミンが送ってくれるというので再び赤いスポーツカーへ乗り込む寸前、レティシアがシルビを呼び止める。
「ふっきれたのかい?」
「ふっきるなんて事が出来るなら、俺はわざわざ探したりしねぇよ」
「根が深いねえ」
チェシャ猫のように笑うレティシアを、先に車へ乗り込んだシェラが窓越しに睨んでいた。
「でもその根の深さが俺を作ってんだろぉ。……甘えるのは苦手なんだぁ」
「甘えようと思って甘えられる奴もいねえさ」
「甘えていい?」
「男に甘えられてもなあ」
車へ乗り込んで手を振るレティシアへ見送られ、その姿がバックミラーへ写らなくなってからジャスミンが口を開く。
「あまり親しくないと言っていたが、随分と親しげに見えたぞ?」
「甘やかしてくれてんでしょう」
レティシアだけではなく、こうして気分転換のつもりか誘ってくれたジャスミンも、シルビが決めるまでは何も聞かないでいてくれるらしいリィとシェラも。
素直に甘えられないのは既にシルビの性分だ。
身体能力はおそらく遜色ない。だが短剣を得意とするシルビではリーチに差がある。最近ではそれを補うように銃を持つようになったが、銃弾も切り払われればそれまでだ。
自分が出来ることは確実に相手にも出来ると思わなければならない。そこまで考えて『リィ達と戦う事は無い』という前提に気付き、腰で揺れているウォレットチェーンを軽く叩いた。
ベティはあまりの凄さへ固まっていたが、目の前で手を叩かれる事で正気に戻り、真剣に終わったばかりの立会いを賞賛している。
気軽に本当の事を嘘のように言うレティシアへ、ベティは何も追及せず深々と頭を下げてお礼を言った。アイクライン校の前で出会ってから此処へ来るまでに聞いた限りでは、演劇の為なら何でもするような子だと思っていたが、意外と聡いのだろう。
稽古があるのでもう帰らなければならないと言うベティと、空港へ送るからと変装しているジンジャーと別れ、残されたレティシアが感心したように言った。
「もっと派手に怖がるか、逆に何もわからないでぽかんとしてるかと思ったが……うすうす気付いてたみたいだな?」
「ああ。ベティは剣のほうはまったくの素人だけど、鈍くはないからな」
「おもしろい娘じゃねえの」
「手は出すなよ」
真顔で忠告するリィに、シルビも少し驚く。
レティシアはこのログ・セール大陸に寮があるのでのんびり歩いて帰るらしく、集合した時と同じく施設の前で別れることになった。ジャスミンが送ってくれるというので再び赤いスポーツカーへ乗り込む寸前、レティシアがシルビを呼び止める。
「ふっきれたのかい?」
「ふっきるなんて事が出来るなら、俺はわざわざ探したりしねぇよ」
「根が深いねえ」
チェシャ猫のように笑うレティシアを、先に車へ乗り込んだシェラが窓越しに睨んでいた。
「でもその根の深さが俺を作ってんだろぉ。……甘えるのは苦手なんだぁ」
「甘えようと思って甘えられる奴もいねえさ」
「甘えていい?」
「男に甘えられてもなあ」
車へ乗り込んで手を振るレティシアへ見送られ、その姿がバックミラーへ写らなくなってからジャスミンが口を開く。
「あまり親しくないと言っていたが、随分と親しげに見えたぞ?」
「甘やかしてくれてんでしょう」
レティシアだけではなく、こうして気分転換のつもりか誘ってくれたジャスミンも、シルビが決めるまでは何も聞かないでいてくれるらしいリィとシェラも。
素直に甘えられないのは既にシルビの性分だ。