オンタロスの剣
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ヴェルナール校の同級生に頼まれた補習の手伝いから帰って、自室へ戻ると外線の不在着信が来ていた。帰ってくる数十分前に来たものらしいので、折り返し通信をするとすぐに相手が出る。
『やあ、帰ってきたところか?』
「同級生の補習を手伝っていたもので。何か用でしょうか」
少し前に迷惑に巻き込んだケリーの妻であるジャスミンは、通信機越しの朗らかな声で用件を言った。
『シェラに頼まれて明日の放課後、銃を持って来てくれと言われてな。どうもリィがレティシアと手合わせをするらしいんだが、君は何か聞いているか?』
「いえ、聞いてませんね。リィ達は何と?」
『ジンジャーが何か頼んだらしいがあまり詳しく知らないんだ。君なら知っているかと思ったんだが』
何も聞いていない。この前の休日には二人揃って出掛けていた様だが、その時はまだリィ達を避けてうだうだ悩んでいたので、何処へ行っていたのかなどを話すことも無かった。
最近は二人の通っているアイクライン校へモデルのセラフィナが来ているとか、そういう話は寮で噂になっているので聞いているが、関係は無いだろう。シルビ自身モデルや芸能人には殆ど興味無いので、その噂を聞いても何とも思わなかった。
『君も来るか?』
「何処にです?」
『明日の放課後だ。もし暇なら一緒に来ないか? レティシアも来るらしいぞ』
「……俺は別にレティシアともそう親しい訳じゃねぇんですが」
『そうなのか? 随分と親しげに話すものだからてっきり』
誤解を覚えられるほど彼女の前で、レティシアと楽しげに話したことがあっただろうかと思い返してみたが、特には思い浮かばない。もしかしたらこの前の誘拐の際のシルビが自暴自棄になった時、近くにレティシアがいたからだろうか。あの時レティシアは呆れていただけだが。
『君の目的や過去に何があったか知らないし、これからも探ろうとは思っていないが、私はもう少し君とも仲良くなりたいと思っているよ』
話題を変えたようで変えていないジャスミンは、通信機越しに笑う。彼女だって一度は死んだ事にされていたのを、再び目覚めたという経歴のある人だというのに、どうしてこうも強くあれるのだろうと思った。
眠っていた間に、いなくなってしまった人や無くなってしまったものがあるだろうに。
「……ジャスミン。俺は臆病で面倒臭い奴なんです」
『そうか。だが己の無知に気付かない愚か者よりはずっといいだろう』
ともあれ明日の放課後に用事は特に無かったので、了承の返事を返して通信を切った。
『やあ、帰ってきたところか?』
「同級生の補習を手伝っていたもので。何か用でしょうか」
少し前に迷惑に巻き込んだケリーの妻であるジャスミンは、通信機越しの朗らかな声で用件を言った。
『シェラに頼まれて明日の放課後、銃を持って来てくれと言われてな。どうもリィがレティシアと手合わせをするらしいんだが、君は何か聞いているか?』
「いえ、聞いてませんね。リィ達は何と?」
『ジンジャーが何か頼んだらしいがあまり詳しく知らないんだ。君なら知っているかと思ったんだが』
何も聞いていない。この前の休日には二人揃って出掛けていた様だが、その時はまだリィ達を避けてうだうだ悩んでいたので、何処へ行っていたのかなどを話すことも無かった。
最近は二人の通っているアイクライン校へモデルのセラフィナが来ているとか、そういう話は寮で噂になっているので聞いているが、関係は無いだろう。シルビ自身モデルや芸能人には殆ど興味無いので、その噂を聞いても何とも思わなかった。
『君も来るか?』
「何処にです?」
『明日の放課後だ。もし暇なら一緒に来ないか? レティシアも来るらしいぞ』
「……俺は別にレティシアともそう親しい訳じゃねぇんですが」
『そうなのか? 随分と親しげに話すものだからてっきり』
誤解を覚えられるほど彼女の前で、レティシアと楽しげに話したことがあっただろうかと思い返してみたが、特には思い浮かばない。もしかしたらこの前の誘拐の際のシルビが自暴自棄になった時、近くにレティシアがいたからだろうか。あの時レティシアは呆れていただけだが。
『君の目的や過去に何があったか知らないし、これからも探ろうとは思っていないが、私はもう少し君とも仲良くなりたいと思っているよ』
話題を変えたようで変えていないジャスミンは、通信機越しに笑う。彼女だって一度は死んだ事にされていたのを、再び目覚めたという経歴のある人だというのに、どうしてこうも強くあれるのだろうと思った。
眠っていた間に、いなくなってしまった人や無くなってしまったものがあるだろうに。
「……ジャスミン。俺は臆病で面倒臭い奴なんです」
『そうか。だが己の無知に気付かない愚か者よりはずっといいだろう』
ともあれ明日の放課後に用事は特に無かったので、了承の返事を返して通信を切った。