オンタロスの剣
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おれに謝る必要があるのか?」
「……少なくとも俺は、あると思ってる」
フォンダム寮の談話室でリィと向かい合ってシルビは頭を抱える。シェラは手芸部の手伝いのお礼がどうのでここにはいない。
結局ハンスへ相談したところで纏まらなかった思考に、とりあえず先に謝罪だけでもしておこうとリィを捕まえて謝罪したのである。謝られた本人は、謝られる理由が分からずポカンとしているが。
シルビ自身、謝っている理由を明確に説明できなかった。
例えば『一般人でありたい事を優先して助けなくて御免』だとか『お前等を避けていて御免』だとか、出会ってから今までの態度を反省しているのと、自己嫌悪が混ざって訳が分からないのである。
「……俺は自分が万能だとは思っちゃいねぇし、今まで『人』であることに固執してたから尚更なんだけど、固執しすぎてリィ達を助けられる時に助けられなかった事が、悔しい」
「悔しいのか?」
「自分が出来る事をやらなかったっていうか、出来るからには権利があるわけだろぉ? その権利を行使しなかったのが申し訳ねぇっていうか……俺がどう見られようとその権利を行使しときゃ防げたものもあるから」
誘拐されて無人惑星へ行った時のリィの怪我が、未だにシルビには引っ掛かっていた。
あの時シルビは治せただろう。そうでなくとも大学惑星へ帰ることだって出来た。その後に起こるであろう忌避や異端の視線を気にしなければ。
それは恐らく今後だって同じだ。この前ケリーから『死者蘇生法』を探り出そうとしたあの老人のような存在が、シルビに気付いて接触してこないとも限らない。その時にまたリィ達が、もしくはシルビ自身が巻き込まれて、自分が持っている『異常性』を活用せねばならなくなったら、その時だけ『力を使うのか』とシルビは考える。
『リィのことは助けなかったくせに』と。
向かい合って座っていたリィが深く息を吐いた。
「おまえ、面倒臭い奴だな」
「っ……知ってるよ。白蘭……知り合いにもよく言われる」
「シルビは色々考えすぎるんだよ。もう少し気楽に生きてみたらどうだ?」
「……そう生きてるつもりなんだけどなぁ」
「じゃあこうしよう。今度また何かあったら、その時は助けてくれ。シルビが会いたがってる人にはおれも一緒に謝るから」
奇しくもケリーと同じ事を言って、リィはにっこりと微笑む。謝ればいいじゃないかで済ませてしまう似たもの同士な二人に、シルビも顔を上げて少しだけ笑った。
ケリーやリィのこういうところを、シルビは見習うべきなのだろう。
「……先に言っておくけど、『代わりに死んでくれ』とか『生き返らせてくれ』って助けは、求められても拒否だからなぁ」
「出来るのか?」
「一応、なぁ」
「……少なくとも俺は、あると思ってる」
フォンダム寮の談話室でリィと向かい合ってシルビは頭を抱える。シェラは手芸部の手伝いのお礼がどうのでここにはいない。
結局ハンスへ相談したところで纏まらなかった思考に、とりあえず先に謝罪だけでもしておこうとリィを捕まえて謝罪したのである。謝られた本人は、謝られる理由が分からずポカンとしているが。
シルビ自身、謝っている理由を明確に説明できなかった。
例えば『一般人でありたい事を優先して助けなくて御免』だとか『お前等を避けていて御免』だとか、出会ってから今までの態度を反省しているのと、自己嫌悪が混ざって訳が分からないのである。
「……俺は自分が万能だとは思っちゃいねぇし、今まで『人』であることに固執してたから尚更なんだけど、固執しすぎてリィ達を助けられる時に助けられなかった事が、悔しい」
「悔しいのか?」
「自分が出来る事をやらなかったっていうか、出来るからには権利があるわけだろぉ? その権利を行使しなかったのが申し訳ねぇっていうか……俺がどう見られようとその権利を行使しときゃ防げたものもあるから」
誘拐されて無人惑星へ行った時のリィの怪我が、未だにシルビには引っ掛かっていた。
あの時シルビは治せただろう。そうでなくとも大学惑星へ帰ることだって出来た。その後に起こるであろう忌避や異端の視線を気にしなければ。
それは恐らく今後だって同じだ。この前ケリーから『死者蘇生法』を探り出そうとしたあの老人のような存在が、シルビに気付いて接触してこないとも限らない。その時にまたリィ達が、もしくはシルビ自身が巻き込まれて、自分が持っている『異常性』を活用せねばならなくなったら、その時だけ『力を使うのか』とシルビは考える。
『リィのことは助けなかったくせに』と。
向かい合って座っていたリィが深く息を吐いた。
「おまえ、面倒臭い奴だな」
「っ……知ってるよ。白蘭……知り合いにもよく言われる」
「シルビは色々考えすぎるんだよ。もう少し気楽に生きてみたらどうだ?」
「……そう生きてるつもりなんだけどなぁ」
「じゃあこうしよう。今度また何かあったら、その時は助けてくれ。シルビが会いたがってる人にはおれも一緒に謝るから」
奇しくもケリーと同じ事を言って、リィはにっこりと微笑む。謝ればいいじゃないかで済ませてしまう似たもの同士な二人に、シルビも顔を上げて少しだけ笑った。
ケリーやリィのこういうところを、シルビは見習うべきなのだろう。
「……先に言っておくけど、『代わりに死んでくれ』とか『生き返らせてくれ』って助けは、求められても拒否だからなぁ」
「出来るのか?」
「一応、なぁ」