パンドラの檻
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全てが終わって綺麗に『片付けた』オアシスの中で発着場へ向かい、迎えに来たケリーの顔を見た瞬間シルビは飛びかかろうとしてヴァンツァーへ止められた。羽交い絞めにされたシルビを見て笑うケリーは、数刻前に会った時よりは大分いつもの調子を取り戻しているらしくそれには安心したが、それとこれとは別問題である。
「キングぅうううう! 俺の十六年の努力ぅううう!」
「何の話だ?」
「あんたが此処へ呼んだせいで『一般人でいる』って制限を守れなかったんだとさ」
肩をすくめるレティシアも、おそらく後ろでシルビを羽交い絞めにしているヴァンツァーも呆れているのだろう。説明を受けたケリーはポカンと口を開けている。
「……お、前。それは八つ当たりだろう」
「そうだよ八つ当たりだよ分かってるよでも『ジャック』と『サブジェイ』を悲しませたくなかったんだぁ!」
「アイツが悲しむとは思えないがな」
「私もそう思うわ」
「宰妃までぇ!」
姿が見えないのにダイアナの声まで聞こえ、しかもシルビの考えは否定された。羽交い絞めを解かれてその場へへたり込んでうな垂れる。
今までのシルビの決意を否定されまくりだ。ルウでさえ別にいいのではないかと言ってくれたというのに。
「……分かってる。二人はきっと俺の事すら忘れてるだろうってぇ。でもよぉ、俺はちゃんとした姿で二人に会いてぇんだぁ。その為に今まで色々取捨選択だってしてきたのに、リィの怪我を不自然に治したり惑星間を宇宙船使わずに移動したりとかしなかったのにぃ」
「そりゃ、これからもするべきじゃないと思うぜ?」
「というか出来るのか」
「うん……出来るぅ」
力なく頷けば頭へケリーの手が乗せられた。手を乗せられたまま顔をあげればケリーが苦笑している。
「こうしよう。お前があいつに再会した時はオレも一緒に会って謝る。それならいいだろう」
「……キングに謝られても」
いや、ある意味海賊王へ謝られる訳なのでそれなりに価値はあるだろう。しかしあの二人はいきなりケリーへ謝られても困るに違いない。
「……その前にリィ達に謝るの、一緒にお願いしていいかぁ」
「仕方ないからな」
子供をあやすように頭を撫でられて、シルビは深く息を吐いてからその手を払って立ち上がった。ここでうだうだとしていても悪戯に時間が過ぎるだけである。
まずは大学惑星へ戻ることを優先するべきだろう。それからリィとシェラへ謝ってルウに相談してみて、『家族』へも言っておくべきか。
無駄な抵抗と分かりかけていながらも、今まで通り『一般人』を演じるべきかどうかは、今すぐに決められそうにはなかった。
「キングぅうううう! 俺の十六年の努力ぅううう!」
「何の話だ?」
「あんたが此処へ呼んだせいで『一般人でいる』って制限を守れなかったんだとさ」
肩をすくめるレティシアも、おそらく後ろでシルビを羽交い絞めにしているヴァンツァーも呆れているのだろう。説明を受けたケリーはポカンと口を開けている。
「……お、前。それは八つ当たりだろう」
「そうだよ八つ当たりだよ分かってるよでも『ジャック』と『サブジェイ』を悲しませたくなかったんだぁ!」
「アイツが悲しむとは思えないがな」
「私もそう思うわ」
「宰妃までぇ!」
姿が見えないのにダイアナの声まで聞こえ、しかもシルビの考えは否定された。羽交い絞めを解かれてその場へへたり込んでうな垂れる。
今までのシルビの決意を否定されまくりだ。ルウでさえ別にいいのではないかと言ってくれたというのに。
「……分かってる。二人はきっと俺の事すら忘れてるだろうってぇ。でもよぉ、俺はちゃんとした姿で二人に会いてぇんだぁ。その為に今まで色々取捨選択だってしてきたのに、リィの怪我を不自然に治したり惑星間を宇宙船使わずに移動したりとかしなかったのにぃ」
「そりゃ、これからもするべきじゃないと思うぜ?」
「というか出来るのか」
「うん……出来るぅ」
力なく頷けば頭へケリーの手が乗せられた。手を乗せられたまま顔をあげればケリーが苦笑している。
「こうしよう。お前があいつに再会した時はオレも一緒に会って謝る。それならいいだろう」
「……キングに謝られても」
いや、ある意味海賊王へ謝られる訳なのでそれなりに価値はあるだろう。しかしあの二人はいきなりケリーへ謝られても困るに違いない。
「……その前にリィ達に謝るの、一緒にお願いしていいかぁ」
「仕方ないからな」
子供をあやすように頭を撫でられて、シルビは深く息を吐いてからその手を払って立ち上がった。ここでうだうだとしていても悪戯に時間が過ぎるだけである。
まずは大学惑星へ戻ることを優先するべきだろう。それからリィとシェラへ謝ってルウに相談してみて、『家族』へも言っておくべきか。
無駄な抵抗と分かりかけていながらも、今まで通り『一般人』を演じるべきかどうかは、今すぐに決められそうにはなかった。