暁の天使
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シルビでも当然世間の一般常識として覚えている事だが、五年前までクーア財閥の総帥を乗せていた船は、今現在は博物館として利用されている。シルビも何度か観に行った事があるくらいだ。
そしてその船に積まれていた感応頭脳は、博物館となった後は管理脳として稼動していた。
それでも『以前の所有者』の声に従う様は最新の操縦課程を日々学んでいるものとしては少し不安になるが、とある感応頭脳と《ダイアナ》を知っているシルビにしてみれば、『彼等』にとってそれだけケリーやジャスミンが『特別な存在』だったのだろうと思う程度だ。
客室であまり感応頭脳に詳しくないらしいヴァンツァーとレティシアがそういうものなのだろうかと納得しかけているが、普通の感応頭脳を知っているダンは呻いていた。
危険な場所へ行くというのに一部の機関整備の職員が降りないというので、そのままセントラル星系へと飛ぶ。そこはまだ暴風圏外だというのに、既に激しい宇宙嵐と小惑星によってセントラルの姿は見えなかった。
目まぐるしく変わっていく宙図を見ても、何処にも跳躍できる気がしない。重巡外艦が無事だったとしても近付く手立てが思いつかなかった。
「現在予測地点を割り出せるか?」
「難しいわね。ある程度までは絞れるけど、かなり広範囲に亘ることになるわ」
「絞れるのかぁ宰姫?」
「ええ」
「ならその先は俺が更に絞るぜぇ。こう広すぎちゃ無理だが、少しでも限定された場所なら俺の独断場だぁ」
「……そういや、お前はそういう奴だったな」
ケリーが忘れていたとばかりに呟いたのが聞こえる。しかし呆れでは無く興奮の篭もった呟きだった。これで闇雲に突っ込む無謀だけはある程度回避できるだろう。
明確に人ではないデモンが客室で気分を悪くしているらしい。先に行って『ルーファセルミィ』を止めに行くというリィが、ケリーに対して大気圏内へ跳躍すればいいなどと言い出しているのを、ダイアナが出してくれた宙図に視線を走らせながら聞いてシルビは思わず顔を上げた。
大気圏内への跳躍など、流石に聞いた事が無いどころかケリーでも経験があるとは思えない。
理論上は出来る。結局のところ跳躍するだけだからだ。しかしながら跳躍した直後、宇宙に適応するように出来ている宇宙船が重力に負けないという自信はない。
これが小型機であったならまた違ってくるだろうが、片方はかつて空飛ぶ宮殿とまで言われた大型宇宙船だ。
皮肉な事に、シルビが割り出した重巡外艦スティーヴンスンの現在予測地点はその大気圏に比較的近い場所だった。
そしてその船に積まれていた感応頭脳は、博物館となった後は管理脳として稼動していた。
それでも『以前の所有者』の声に従う様は最新の操縦課程を日々学んでいるものとしては少し不安になるが、とある感応頭脳と《ダイアナ》を知っているシルビにしてみれば、『彼等』にとってそれだけケリーやジャスミンが『特別な存在』だったのだろうと思う程度だ。
客室であまり感応頭脳に詳しくないらしいヴァンツァーとレティシアがそういうものなのだろうかと納得しかけているが、普通の感応頭脳を知っているダンは呻いていた。
危険な場所へ行くというのに一部の機関整備の職員が降りないというので、そのままセントラル星系へと飛ぶ。そこはまだ暴風圏外だというのに、既に激しい宇宙嵐と小惑星によってセントラルの姿は見えなかった。
目まぐるしく変わっていく宙図を見ても、何処にも跳躍できる気がしない。重巡外艦が無事だったとしても近付く手立てが思いつかなかった。
「現在予測地点を割り出せるか?」
「難しいわね。ある程度までは絞れるけど、かなり広範囲に亘ることになるわ」
「絞れるのかぁ宰姫?」
「ええ」
「ならその先は俺が更に絞るぜぇ。こう広すぎちゃ無理だが、少しでも限定された場所なら俺の独断場だぁ」
「……そういや、お前はそういう奴だったな」
ケリーが忘れていたとばかりに呟いたのが聞こえる。しかし呆れでは無く興奮の篭もった呟きだった。これで闇雲に突っ込む無謀だけはある程度回避できるだろう。
明確に人ではないデモンが客室で気分を悪くしているらしい。先に行って『ルーファセルミィ』を止めに行くというリィが、ケリーに対して大気圏内へ跳躍すればいいなどと言い出しているのを、ダイアナが出してくれた宙図に視線を走らせながら聞いてシルビは思わず顔を上げた。
大気圏内への跳躍など、流石に聞いた事が無いどころかケリーでも経験があるとは思えない。
理論上は出来る。結局のところ跳躍するだけだからだ。しかしながら跳躍した直後、宇宙に適応するように出来ている宇宙船が重力に負けないという自信はない。
これが小型機であったならまた違ってくるだろうが、片方はかつて空飛ぶ宮殿とまで言われた大型宇宙船だ。
皮肉な事に、シルビが割り出した重巡外艦スティーヴンスンの現在予測地点はその大気圏に比較的近い場所だった。