パンドラの檻
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廊下を出てすぐにそれぞれ違う先へと分かれさせられて、シルビはさてと考える。さっさと片付ける事へ同意したとは言え、自分には色々制限があるのだ。
その殆どが自分で決めたものであるが、『約束』へ縛られるくらいのあるシルビにとっては自分で決めた事であっても『制限』は重要なファクターである。それを分かっていて今までにも散々『普通でありたい』と主張していたシルビを巻き込むケリーにも業腹な部分があるが、先程の様子を見てしまうとどうもなぁと思ってしまった。
ともあれこの状況を打破する為には『普通』は捨てるべきなのだろう。というより捨てなければ『彼等へ会う』という目的が達成できないのだから、選り好みしていられないというべきか。
何の変哲も無い医療機械だけがある部屋へと連れて来られて、シルビは溜め息を吐いて目を閉じた。
「……『ジャック』『サブジェイ』、生きて二人に会う為だから、許してくれよぉ」
そう呟いてから目を開け手近にあった医療機器へと手を伸ばす。ペタリと触れて、指先へ力を込めれば機械の表面がベギリと音を立ててへこんだ。その隙間から指先を突っ込み、内部のコードを無理やり引き千切る。
データ送信の為もあってだろうが他の部屋と繋がっていたらしく、機械の異変を知って医者と警備員らしい男達が部屋へと入ってきた。その者達が何か言うよりも早く、シルビは歪んだことで破損した医療機器の破片を指先で飛ばす。
摘まんで持つのがやっとな大きさのそれでも、目に入れば十分痛い。先頭に居た医者が目に入った異物へ呻いて立ち止まっている間に、その目の前へと駆け寄って胸ポケットへ入れられていたペンを奪い取った。
全員を倒すのには三分と掛からない。無表情で倒れ伏した『元生者』を見下ろし、男達の服を探ってナイフを奪う。銃には見向きもせずにそれだけを手に、部屋を出て走り出した。
内心今までの苦労や培ってきたものが崩れたせいで落ち込みそうである。リィに会ったとかケリーへ再会した事を悔やむつもりは無いが、それでも悲しい。
以前の誘拐事件の時、リィが負傷したにも関わらず何もしなかったあの葛藤は何だったのか。
「あー……、白蘭俺は駄目な奴だぁ」
ここには居ない大切な相手へ愚痴を呟いてみても仕方がない。いや、おそらく『彼』であったならシルビの葛藤など微塵も気にせずに笑って『バレなければいいんじゃない?』とでも言いそうだ。
初志貫徹も出来ないという惨めさにシルビは自然と笑っていたが、それは随分と暗い笑いだった。
その殆どが自分で決めたものであるが、『約束』へ縛られるくらいのあるシルビにとっては自分で決めた事であっても『制限』は重要なファクターである。それを分かっていて今までにも散々『普通でありたい』と主張していたシルビを巻き込むケリーにも業腹な部分があるが、先程の様子を見てしまうとどうもなぁと思ってしまった。
ともあれこの状況を打破する為には『普通』は捨てるべきなのだろう。というより捨てなければ『彼等へ会う』という目的が達成できないのだから、選り好みしていられないというべきか。
何の変哲も無い医療機械だけがある部屋へと連れて来られて、シルビは溜め息を吐いて目を閉じた。
「……『ジャック』『サブジェイ』、生きて二人に会う為だから、許してくれよぉ」
そう呟いてから目を開け手近にあった医療機器へと手を伸ばす。ペタリと触れて、指先へ力を込めれば機械の表面がベギリと音を立ててへこんだ。その隙間から指先を突っ込み、内部のコードを無理やり引き千切る。
データ送信の為もあってだろうが他の部屋と繋がっていたらしく、機械の異変を知って医者と警備員らしい男達が部屋へと入ってきた。その者達が何か言うよりも早く、シルビは歪んだことで破損した医療機器の破片を指先で飛ばす。
摘まんで持つのがやっとな大きさのそれでも、目に入れば十分痛い。先頭に居た医者が目に入った異物へ呻いて立ち止まっている間に、その目の前へと駆け寄って胸ポケットへ入れられていたペンを奪い取った。
全員を倒すのには三分と掛からない。無表情で倒れ伏した『元生者』を見下ろし、男達の服を探ってナイフを奪う。銃には見向きもせずにそれだけを手に、部屋を出て走り出した。
内心今までの苦労や培ってきたものが崩れたせいで落ち込みそうである。リィに会ったとかケリーへ再会した事を悔やむつもりは無いが、それでも悲しい。
以前の誘拐事件の時、リィが負傷したにも関わらず何もしなかったあの葛藤は何だったのか。
「あー……、白蘭俺は駄目な奴だぁ」
ここには居ない大切な相手へ愚痴を呟いてみても仕方がない。いや、おそらく『彼』であったならシルビの葛藤など微塵も気にせずに笑って『バレなければいいんじゃない?』とでも言いそうだ。
初志貫徹も出来ないという惨めさにシルビは自然と笑っていたが、それは随分と暗い笑いだった。