パンドラの檻
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レティシアの要望が通り再会したケリーは、シルビ達を見て呑気に酒杯を掲げながら勧めてきて、シルビはこの場でその鼻に酒瓶を突っ込んでやろうかと思った。
見ればレティシアとヴァンツァーも呆れている。
「キング、俺達は暇じゃねぇんだぜぇ?」
「しょうがねえだろう。こっちが本当は死人だってことを照明しろっていうんだからよ」
「今日は大事な講義があった」
隣のヴァンツァーの機嫌が目に見えて下がっていた。シルビは日頃の授業態度も成績も然程悪くないので成績では問題ないが、せっかくの模擬演習が参加できなかったのは残念である。どうせ旧式で操縦したことがある型だろうが。
「実を言うと、ちょっと手伝って欲しくてな」
「オレたちに?」
「この状況で何をしろと?」
「そりゃあ決まってる。おまえ達の専門分野で一働きしてほしいのさ」
「ちょっと待てぇ。それ俺まで呼ぶ必要あったかぁ?」
思わず口を挟んだのは、確かケリーはシルビが『そういう分野』に覚えがあるとは知らない筈だったからだ。ルウやレティシア達が言っていたとすれば問題は無いが、シルビは自分からケリーへ告げた覚えは無い。
だがケリーは面白そうにしている。
「女王から聞いたぜ? なかなかの使い手だってな」
ジャスミンからだった。そういえばシルビは彼女の前で銃を扱ったことがある。
苛めかと思ったがケリーの目は笑っていない。仕方なく反論を諦めればヴァンツァーが尋ねる。
「対象は?」
「全員だ。ここにいる全員、一人残らず」
反論を諦めて良かったと思うほどケリーの声は冷えていた。本気でそれを言っている事を理解してそっと左手の腕輪へ触れる。
ここまで怒る理由は、おそらく『死者蘇生』が理由ではないのだろう。では何が、となった時、先程老人が言っていた単語を思い出す。
『ウィノア』
「簡単に言ってくれるけどよ、かなりの数だぜ?」
「何人ぐらいだ?」
「この規模のオアシスなら少なくて百人か二百人くらいじゃねぇ?」
「この『館』は私設のオアシスか?」
「うん」
ケリーは今まで自分が居た『館』のことを分かっていなかったらしい。レティシアの問いに答えたシルビがケリーの疑問にも頷いて答えると、ケリーは真面目くさって考えた。
「もっと多いかもしれんな」
「けどよ、兄さん。オレたちは玄人だぜ。ただ働きはやらねえよ」
「“元”玄人だろう? 現役なんて言ったら金色狼が怒るぜ」
今度は本当に笑ってケリーは言う。
「第一、オレはお前たちに依頼をするつもりはない。これは仕事なんかじゃない。オレたちが生きるためにやらなくちゃならないことだっていうだけさ」
それに関しては、ケリーがシルビ達を此処へ呼んだ以上、そうに違いなかった。
見ればレティシアとヴァンツァーも呆れている。
「キング、俺達は暇じゃねぇんだぜぇ?」
「しょうがねえだろう。こっちが本当は死人だってことを照明しろっていうんだからよ」
「今日は大事な講義があった」
隣のヴァンツァーの機嫌が目に見えて下がっていた。シルビは日頃の授業態度も成績も然程悪くないので成績では問題ないが、せっかくの模擬演習が参加できなかったのは残念である。どうせ旧式で操縦したことがある型だろうが。
「実を言うと、ちょっと手伝って欲しくてな」
「オレたちに?」
「この状況で何をしろと?」
「そりゃあ決まってる。おまえ達の専門分野で一働きしてほしいのさ」
「ちょっと待てぇ。それ俺まで呼ぶ必要あったかぁ?」
思わず口を挟んだのは、確かケリーはシルビが『そういう分野』に覚えがあるとは知らない筈だったからだ。ルウやレティシア達が言っていたとすれば問題は無いが、シルビは自分からケリーへ告げた覚えは無い。
だがケリーは面白そうにしている。
「女王から聞いたぜ? なかなかの使い手だってな」
ジャスミンからだった。そういえばシルビは彼女の前で銃を扱ったことがある。
苛めかと思ったがケリーの目は笑っていない。仕方なく反論を諦めればヴァンツァーが尋ねる。
「対象は?」
「全員だ。ここにいる全員、一人残らず」
反論を諦めて良かったと思うほどケリーの声は冷えていた。本気でそれを言っている事を理解してそっと左手の腕輪へ触れる。
ここまで怒る理由は、おそらく『死者蘇生』が理由ではないのだろう。では何が、となった時、先程老人が言っていた単語を思い出す。
『ウィノア』
「簡単に言ってくれるけどよ、かなりの数だぜ?」
「何人ぐらいだ?」
「この規模のオアシスなら少なくて百人か二百人くらいじゃねぇ?」
「この『館』は私設のオアシスか?」
「うん」
ケリーは今まで自分が居た『館』のことを分かっていなかったらしい。レティシアの問いに答えたシルビがケリーの疑問にも頷いて答えると、ケリーは真面目くさって考えた。
「もっと多いかもしれんな」
「けどよ、兄さん。オレたちは玄人だぜ。ただ働きはやらねえよ」
「“元”玄人だろう? 現役なんて言ったら金色狼が怒るぜ」
今度は本当に笑ってケリーは言う。
「第一、オレはお前たちに依頼をするつもりはない。これは仕事なんかじゃない。オレたちが生きるためにやらなくちゃならないことだっていうだけさ」
それに関しては、ケリーがシルビ達を此処へ呼んだ以上、そうに違いなかった。