パンドラの檻
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次の日の放課後、シルビが学校から寮へ帰るとリィに声を掛けられた。今日の昼間に、授業の合間を縫ってジャスミンへダン船長の安否について連絡をしてみると言っていたので、てっきりその話だろうと思ったのだがどうもきな臭い。
「……キングが拉致されてぇ、しかもその理由はキングが生き返ったからでぇ? 尚且つマクスウェル船長との関係を知られている可能性が有ると。つまり《ピグマリオンⅡ》の謎の襲撃はエサ扱いだってのかぁ?」
「その可能性もある。というより殆ど確定だと考えていいと思うんだ」
面倒な事になったなと言うのが感想だ。ケリーが一度死んでまた生き返った事は非公式であるし、今現在の科学で出来るかと言えばまた無理な話である。それがばれたという時点でも面倒なのに、更に存在を隠されているダンとケリーの関係においても知られているとなれば、ダンは確実にケリーへ対する人質になるのだろう。
なにせ血の繋がった親子だ。年齢が逆転していようと。
ダンの船への襲撃後、正確には襲撃報道がされた頃からケリーの行方が分かっていないらしい。そんなのは可能性どころか確定だと言い切っていいだろう。
「……ジャスミンと宰姫はぁ?」
「ルーファに占ってもらったらしいけれど、それでも手掛かりが無いらしいんだ。おれからもルーファに話を聞いてみたが、何も出来ない――しちゃいけないらしい」
「後手後手だなぁ。ルウには俺と違って制約があるみてぇだし、歯痒いんじゃねぇ?」
「シルビには制約がないのか?」
「無ぇよ。俺がしちゃいけないのは『自殺』と『動物を生き返らせる』こと。後は自分で決めた約束事位だぁ。……俺は何度も生き返ってるから、余計辛かったりもするけどなぁ」
何の皮肉かシルビが生き返った回数はケリーよりも多い。知っている者はリィ達しかいないにしても、たった一度だけで狙われたケリーは災難なことである。
「それで、ダンが狙われたならジェームズも狙われるかもしれない。シルビはジェームズと同じヴェルナールへ通ってるし、学校の行き帰りだけでも一緒に行ってくれないか?」
「……明日は朝が早いから無理だけど、明日の帰りからでいいかぁ?」
明日の予定を思い出しながら言えば、リィは頷いた。無理を言っているのは自分だからという意識があるのだろうが、下手をすれば命の危険もあるというのに申し訳ない。
そうでなくともシルビは『普通じゃない』くせに、『目指せ一般人』を志しているリィ達に甘えている節があると自覚している。先立っての誘拐事件の時だって、尋常ならざる物事は殆どリィとシェラへ任せきりだった。
「……キングが拉致されてぇ、しかもその理由はキングが生き返ったからでぇ? 尚且つマクスウェル船長との関係を知られている可能性が有ると。つまり《ピグマリオンⅡ》の謎の襲撃はエサ扱いだってのかぁ?」
「その可能性もある。というより殆ど確定だと考えていいと思うんだ」
面倒な事になったなと言うのが感想だ。ケリーが一度死んでまた生き返った事は非公式であるし、今現在の科学で出来るかと言えばまた無理な話である。それがばれたという時点でも面倒なのに、更に存在を隠されているダンとケリーの関係においても知られているとなれば、ダンは確実にケリーへ対する人質になるのだろう。
なにせ血の繋がった親子だ。年齢が逆転していようと。
ダンの船への襲撃後、正確には襲撃報道がされた頃からケリーの行方が分かっていないらしい。そんなのは可能性どころか確定だと言い切っていいだろう。
「……ジャスミンと宰姫はぁ?」
「ルーファに占ってもらったらしいけれど、それでも手掛かりが無いらしいんだ。おれからもルーファに話を聞いてみたが、何も出来ない――しちゃいけないらしい」
「後手後手だなぁ。ルウには俺と違って制約があるみてぇだし、歯痒いんじゃねぇ?」
「シルビには制約がないのか?」
「無ぇよ。俺がしちゃいけないのは『自殺』と『動物を生き返らせる』こと。後は自分で決めた約束事位だぁ。……俺は何度も生き返ってるから、余計辛かったりもするけどなぁ」
何の皮肉かシルビが生き返った回数はケリーよりも多い。知っている者はリィ達しかいないにしても、たった一度だけで狙われたケリーは災難なことである。
「それで、ダンが狙われたならジェームズも狙われるかもしれない。シルビはジェームズと同じヴェルナールへ通ってるし、学校の行き帰りだけでも一緒に行ってくれないか?」
「……明日は朝が早いから無理だけど、明日の帰りからでいいかぁ?」
明日の予定を思い出しながら言えば、リィは頷いた。無理を言っているのは自分だからという意識があるのだろうが、下手をすれば命の危険もあるというのに申し訳ない。
そうでなくともシルビは『普通じゃない』くせに、『目指せ一般人』を志しているリィ達に甘えている節があると自覚している。先立っての誘拐事件の時だって、尋常ならざる物事は殆どリィとシェラへ任せきりだった。