パンドラの檻
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寮の談話室で本を読んでいたら、ふと地方で起こった事件を報道している番組から聞こえた単語にシルビは本から顔を上げた。
知り合いであるダン・マクスウェル船長が乗る宇宙船《ピグマリオンⅡ》が、航行中に謎の外部衝撃を受けて損傷したという。番組ではダンのインタビューが行なわれており、その会話からして人為的な攻撃、しかし周辺宙域へ他の船が見当たらなかったらしい。
「おいおい……ざけんなよぉ」
現代の海賊が、探知機に映らずに済む性能を持った装備が出来るとはシルビには思えなかった。今は学生とは言え、元は海賊船へ乗っていた身だ。
そのくらいの海賊事情は『会いたい二人』への情報と一緒に、生まれ変わって即行調べてある。それから数年経っているが、定期的に調べられる限りの情報更新は行なっているので間違いは無いだろう。よって《ピグマリオンⅡ》への攻撃が人為的だとしても、海賊による犯行であるとは到底思えなかった。
そもそもこの行為自体が、海賊らしくない。
席を立ってダンの息子であるジェームズを探すと、ジェームズは違う部屋でやはり同じ報道を見ていたらしく、傍に居たリィとシェラ相手に騒いでいる。
「ジェームズ」
「シルビ! 報道見たか? 父さん達大丈夫かな!?」
「見たぜぇ。少なくともマクスウェル船長には怪我が無さそうだったんだし、そう騒ぐもんじゃねぇよ」
「でも父さんが」
「本当に危なかったら連絡来るだろぉ。どうしても気になるなら、寮監に報道の事を言って連絡取らせて貰ってこいぃ」
「そうする!」
慌てて掛けていくジェームズを見送って、シルビはジェームズを宥めようとしていた二人へと改めて向き直った。ジェームズには悪いが、シルビの用事は元よりこの二人へある。
「最近ジェームズからマクスウェル船長に関する話聞いたりしたかぁ?」
「いや、無いよ。だからおれたちも驚いてる」
リィとシェラは本当に心当たりが無いらしい。二人が海賊の技法を知っているとも思えないが。
となるとダンの実の両親である、ケリーかジャスミンへ聞いたほうがいい気がしてきた。彼等は現役の船乗りであるしケリーは伝説の海賊王だ。先日の無人惑星への誘拐事件後以来会っていないが、今も何処かの宇宙を航宙しているはずである。
だがそこで、ふと思い出してリィへ尋ねた。
「リィって昨日ジャスミンと会ってたよなぁ? 何か言ってたかぁ?」
「特には。でもケリーに強姦疑惑が掛かって、ジャスミンが警察署へ乗り込んだりしてたな」
「……。なんていうか、家族揃って嫌な事件に巻き込まれてんなぁ」
知り合いであるダン・マクスウェル船長が乗る宇宙船《ピグマリオンⅡ》が、航行中に謎の外部衝撃を受けて損傷したという。番組ではダンのインタビューが行なわれており、その会話からして人為的な攻撃、しかし周辺宙域へ他の船が見当たらなかったらしい。
「おいおい……ざけんなよぉ」
現代の海賊が、探知機に映らずに済む性能を持った装備が出来るとはシルビには思えなかった。今は学生とは言え、元は海賊船へ乗っていた身だ。
そのくらいの海賊事情は『会いたい二人』への情報と一緒に、生まれ変わって即行調べてある。それから数年経っているが、定期的に調べられる限りの情報更新は行なっているので間違いは無いだろう。よって《ピグマリオンⅡ》への攻撃が人為的だとしても、海賊による犯行であるとは到底思えなかった。
そもそもこの行為自体が、海賊らしくない。
席を立ってダンの息子であるジェームズを探すと、ジェームズは違う部屋でやはり同じ報道を見ていたらしく、傍に居たリィとシェラ相手に騒いでいる。
「ジェームズ」
「シルビ! 報道見たか? 父さん達大丈夫かな!?」
「見たぜぇ。少なくともマクスウェル船長には怪我が無さそうだったんだし、そう騒ぐもんじゃねぇよ」
「でも父さんが」
「本当に危なかったら連絡来るだろぉ。どうしても気になるなら、寮監に報道の事を言って連絡取らせて貰ってこいぃ」
「そうする!」
慌てて掛けていくジェームズを見送って、シルビはジェームズを宥めようとしていた二人へと改めて向き直った。ジェームズには悪いが、シルビの用事は元よりこの二人へある。
「最近ジェームズからマクスウェル船長に関する話聞いたりしたかぁ?」
「いや、無いよ。だからおれたちも驚いてる」
リィとシェラは本当に心当たりが無いらしい。二人が海賊の技法を知っているとも思えないが。
となるとダンの実の両親である、ケリーかジャスミンへ聞いたほうがいい気がしてきた。彼等は現役の船乗りであるしケリーは伝説の海賊王だ。先日の無人惑星への誘拐事件後以来会っていないが、今も何処かの宇宙を航宙しているはずである。
だがそこで、ふと思い出してリィへ尋ねた。
「リィって昨日ジャスミンと会ってたよなぁ? 何か言ってたかぁ?」
「特には。でもケリーに強姦疑惑が掛かって、ジャスミンが警察署へ乗り込んだりしてたな」
「……。なんていうか、家族揃って嫌な事件に巻き込まれてんなぁ」