ヴェロニカの嵐
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リィとジェームズが小屋を出て行って四日目。シェラへ頼まれて森へ兎を狩りに行ってきた帰り、小屋へ向かって歩いているとふと足首へ違和感を覚えて立ち止まった。
何か踏んだだろうかと足を軽く上げてみても、特に何かがあるという訳でもない。靴下に木屑でも入り込んで刺さったかと小屋まで我慢するつもりで足を降ろした。
そして足を一歩踏み出した途端、背中へ二度程急激な痛みを覚える。予想外の強い衝撃に思わずしゃがみこみ、提げていた兎を置いて背中へ手を伸ばした。
以前にも似た痛みを感じたことがあるが、その時とは違い何処からも銃声はしていない。そもそも自分が撃たれる理由も分からなかったし、撃つ者の存在さえ不明だ。
銃で撃たれた痛み。だがそれを感じた背中は、服が破けるどころか血が出ている様子も無い。指先で痛みの酷い箇所を軽く押せば、ミミズ腫れの様に盛り上がっているのが分かる。
「……リィ?」
咄嗟に浮かんだのは、今は離れた場所へ居る『友人』だった。
痛みは断続的に続いていたが動けない訳ではない。痛みに響かないように立ち上がり、兎を持ち直して小屋へと歩き出す。足首の違和感からして走るには少し覚悟がいりそうだ。
普通に帰ってきた様子を装って向かった小屋の中では、シェラがファビエンヌと岩塩を砕いていた。おそらくシルビが兎を必ず獲ってくると予想してその仕度をしていたのだろう。
「ただいまシェラ。兎はコレで良かったんだよなぁ」
「ええ、ありがとうございます」
兎を渡し、悟られる前にシェラから離れようと手を洗ってくると言って小屋の外へ出た。タオルを取りに行きたいところだったが、荷物は二階の部屋で階段を駆け上がるには足首が痛い。長時間シェラの視界に居ればバレる可能性が上がる。
ファビエンヌ以外の生徒達は湖で釣りをしているようだった。おそらく昼食用の魚だろう。
湧き水の出ている岩の元へ行って着ていたシャツを脱ぐ。タオルが無いので仕方なくそのシャツを湧き水に浸して絞り、背中へ手を回して腫れへと押し当てた。誰か来たら何て言い訳しようと考えていれば、案の定誰かが来る。
そういう時に限って、来て欲しくない相手が来るものだ。
「……いったい、どうしたんですか。それは」
シルビの背中の腫れを見たシェラは、シルビが背中を隠そうとする前に近付いてきて濡れたシャツを奪った。湧き水の水溜まりにそれを突っ込み、軽く絞ってシルビを見上げる。
「診せてください。嫌なら寮長を呼びます」
「……ハンス寮長を脅しに使うの止めてくれねぇかなぁ」
何か踏んだだろうかと足を軽く上げてみても、特に何かがあるという訳でもない。靴下に木屑でも入り込んで刺さったかと小屋まで我慢するつもりで足を降ろした。
そして足を一歩踏み出した途端、背中へ二度程急激な痛みを覚える。予想外の強い衝撃に思わずしゃがみこみ、提げていた兎を置いて背中へ手を伸ばした。
以前にも似た痛みを感じたことがあるが、その時とは違い何処からも銃声はしていない。そもそも自分が撃たれる理由も分からなかったし、撃つ者の存在さえ不明だ。
銃で撃たれた痛み。だがそれを感じた背中は、服が破けるどころか血が出ている様子も無い。指先で痛みの酷い箇所を軽く押せば、ミミズ腫れの様に盛り上がっているのが分かる。
「……リィ?」
咄嗟に浮かんだのは、今は離れた場所へ居る『友人』だった。
痛みは断続的に続いていたが動けない訳ではない。痛みに響かないように立ち上がり、兎を持ち直して小屋へと歩き出す。足首の違和感からして走るには少し覚悟がいりそうだ。
普通に帰ってきた様子を装って向かった小屋の中では、シェラがファビエンヌと岩塩を砕いていた。おそらくシルビが兎を必ず獲ってくると予想してその仕度をしていたのだろう。
「ただいまシェラ。兎はコレで良かったんだよなぁ」
「ええ、ありがとうございます」
兎を渡し、悟られる前にシェラから離れようと手を洗ってくると言って小屋の外へ出た。タオルを取りに行きたいところだったが、荷物は二階の部屋で階段を駆け上がるには足首が痛い。長時間シェラの視界に居ればバレる可能性が上がる。
ファビエンヌ以外の生徒達は湖で釣りをしているようだった。おそらく昼食用の魚だろう。
湧き水の出ている岩の元へ行って着ていたシャツを脱ぐ。タオルが無いので仕方なくそのシャツを湧き水に浸して絞り、背中へ手を回して腫れへと押し当てた。誰か来たら何て言い訳しようと考えていれば、案の定誰かが来る。
そういう時に限って、来て欲しくない相手が来るものだ。
「……いったい、どうしたんですか。それは」
シルビの背中の腫れを見たシェラは、シルビが背中を隠そうとする前に近付いてきて濡れたシャツを奪った。湧き水の水溜まりにそれを突っ込み、軽く絞ってシルビを見上げる。
「診せてください。嫌なら寮長を呼びます」
「……ハンス寮長を脅しに使うの止めてくれねぇかなぁ」