ヴェロニカの嵐
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昼前に戻ってきた二人のうちトビーがやけに憔悴しているのを見て、シルビとシェラは無言で視線を交わした。あれはおそらく移動が遅いからと担いで走りでもしたのだろう。
この小屋も含めて計四箇所で計測した結果、電波の発信源は南南西に二百キロの場所のようだ。他に測定機材が無いのでこれ以上正確な測定は流石に無理だろう。
「そこには本当に宇宙港があるのか?」
「少なくとも――宇宙船の誘導と離発着を指示する施設があるのは確かだよ」
「それならどうしてこっちの呼びかけに応えないんだ?」
それはシルビも気になるところだった。この星へ元々あまり人が居らず、それ故『ありえない』事と処理されるにしてももう少し反応があっていい。呼びかけに気付いておきながら無視しているのだとすれば、それは緊急時や非常事態への対応として正しくないはずだ。そんな通信士はまともではない。
今まで一度も電波を傍受できなかったことだっておかしい事だが、情報が足りないので誰にも何とも言えなかった。
「行って確かめてみればいい。宇宙船の発着設備があるからには、そこには必ず恒星間用通信機があるはずだ」
「簡単に言うなよ! 二百キロだぞ!」
一瞬で移動できますけどね、なんて流石に空気を読まない発言はしない。
実際に歩いて移動となると数日は掛かるだろう。その上何があるかも分からない道のりとなると、この場の全員を連れて歩いていくには更に倍の時間が掛かると考えるべきだ。
一度安全を知ってしまった生徒達にとっては、再びどんな危険があるのかも分からない移動は苦でしかない。
それを理解してかリィは全員で行く必要は無いという。自分が行くからと。
「ただし、誰か一緒に来てもらわなきゃならないな。おれは携帯通信機くらいしかさわったことがない。宇宙港の通信機なんて使い方も分からないぞ」
「オレが行く」
即答したのはジェームズだった。
トビーでは小さいから体力が無い上に、恒星間用通信機なら自分の方が詳しいからとリィを説得するが、その理由でならシルビの方が条件に適っていることには気付いていない。何十年も前の型だったら確実にシルビの方が詳しいし、体力的にも確実にジェームズよりある。
口出ししなかったのは、リィもそれに気付いていた上でジェームズの主張を聞いていたからだ。ジェームズが崖での失態を償いたがっていることなどシルビだけではなくリィやシェラだって気付いている。
「……そうだな。ジェームズが適任だ。一緒に行こう」
この小屋も含めて計四箇所で計測した結果、電波の発信源は南南西に二百キロの場所のようだ。他に測定機材が無いのでこれ以上正確な測定は流石に無理だろう。
「そこには本当に宇宙港があるのか?」
「少なくとも――宇宙船の誘導と離発着を指示する施設があるのは確かだよ」
「それならどうしてこっちの呼びかけに応えないんだ?」
それはシルビも気になるところだった。この星へ元々あまり人が居らず、それ故『ありえない』事と処理されるにしてももう少し反応があっていい。呼びかけに気付いておきながら無視しているのだとすれば、それは緊急時や非常事態への対応として正しくないはずだ。そんな通信士はまともではない。
今まで一度も電波を傍受できなかったことだっておかしい事だが、情報が足りないので誰にも何とも言えなかった。
「行って確かめてみればいい。宇宙船の発着設備があるからには、そこには必ず恒星間用通信機があるはずだ」
「簡単に言うなよ! 二百キロだぞ!」
一瞬で移動できますけどね、なんて流石に空気を読まない発言はしない。
実際に歩いて移動となると数日は掛かるだろう。その上何があるかも分からない道のりとなると、この場の全員を連れて歩いていくには更に倍の時間が掛かると考えるべきだ。
一度安全を知ってしまった生徒達にとっては、再びどんな危険があるのかも分からない移動は苦でしかない。
それを理解してかリィは全員で行く必要は無いという。自分が行くからと。
「ただし、誰か一緒に来てもらわなきゃならないな。おれは携帯通信機くらいしかさわったことがない。宇宙港の通信機なんて使い方も分からないぞ」
「オレが行く」
即答したのはジェームズだった。
トビーでは小さいから体力が無い上に、恒星間用通信機なら自分の方が詳しいからとリィを説得するが、その理由でならシルビの方が条件に適っていることには気付いていない。何十年も前の型だったら確実にシルビの方が詳しいし、体力的にも確実にジェームズよりある。
口出ししなかったのは、リィもそれに気付いていた上でジェームズの主張を聞いていたからだ。ジェームズが崖での失態を償いたがっていることなどシルビだけではなくリィやシェラだって気付いている。
「……そうだな。ジェームズが適任だ。一緒に行こう」