暁の天使
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ケリーが前主席とのコンタクトを取る為にリィ達のいる客室へ移動し、操縦室にはシルビとダイアナだけになった。
正確にはダイアナは感応頭脳であるので人として数える訳にはいかないのかも知れないが、シルビは昔から感応頭脳も『個人』として認識している。
セントラルへと向かう航路進行の手伝いをしながら、シルビは手の空いたタイミングで画面の中のダイアナへと顔を向けた。客室で行われている通信の音声はシルビの為にかここでも流れていたが、気にせずダイアナへと話し掛ける。
「――宰姫?」
少し子供っぽい口調。ダイアナがシルビを見て微笑む。
「懐かしい呼び方ね。その呼び方をするのは今まで一人しか居なかったわ」
「特別みたいでいいだろぉ」
「そうね。ねぇ、貴方はどうして若返っているの? 『イブリス』」
『昔』の名前で呼び掛けられて、シルビは宙図の確認をしながら笑った。
「正真正銘生き返ったんだぁ。キングとは違う方法で」
「クローン?」
「いや、機械で言うところのバグだなぁ。フォーマットされたはずのデータが、どうしてか新開発された機械に入ってたんだよ。この身体に関して言うなら、『前』の身体とは全く違う組織や構造をしてる。宰姫の持ってるデータでもそうなってねぇ?」
「……その通りよ。じゃあケリーみたいに天使に作られた訳でも、ジャスミンみたいに若返らせた訳でもないのね?」
「天使って?」
「今セントラルを破壊しようといている人よ」
客室からの通信音声では、リィと聞き覚えの無い女性の声が現連邦主席を徹底的に弱らせている。リィ達はリィ達の法律、というより規則で物事を考えているが、現主席はそれを理解できずひたすら人類社会の法律に則って考えているようだった。
それではまとまる話もまとまる気がしない。
それでも何とか話がまとまったようで、ガイアというラー一族の女性の声に主席達が部屋を出て行き、リィとケリーとその女性だけが部屋に残って話し合っている。その話を聞いていたシルビは、おもむろにダイアナへと声を掛けた。
「宰姫、俺の声をこの場所に届けられるかぁ?」
「いいわよ」
ダイアナが軽々と了承した途端、もう一つの画面がシルビの眼の前に現れた。そこに写るのは立体映像らしいリィとケリー、それに実物なのか立体映像なのか判断の付かない古風な服装の女性。
三人のほうからもシルビが見えているのだろう。女性がシルビを見て僅かに動揺した事に気付いて、シルビはちょっとだけ笑みを浮かべた。
「はじめましてラー一族の方。貴女方のお話は『以前』来た時に聞いたことがあります。割り込みの会話をお許しください」
「シルビ?」
「貴方は……」
「そこにいるリィは俺の事を『風』と評しました。しかし貴女はきっと俺を知っている。……今貴女方がお話していた『悪しきもの』についてお聞きしたく」
正確にはダイアナは感応頭脳であるので人として数える訳にはいかないのかも知れないが、シルビは昔から感応頭脳も『個人』として認識している。
セントラルへと向かう航路進行の手伝いをしながら、シルビは手の空いたタイミングで画面の中のダイアナへと顔を向けた。客室で行われている通信の音声はシルビの為にかここでも流れていたが、気にせずダイアナへと話し掛ける。
「――宰姫?」
少し子供っぽい口調。ダイアナがシルビを見て微笑む。
「懐かしい呼び方ね。その呼び方をするのは今まで一人しか居なかったわ」
「特別みたいでいいだろぉ」
「そうね。ねぇ、貴方はどうして若返っているの? 『イブリス』」
『昔』の名前で呼び掛けられて、シルビは宙図の確認をしながら笑った。
「正真正銘生き返ったんだぁ。キングとは違う方法で」
「クローン?」
「いや、機械で言うところのバグだなぁ。フォーマットされたはずのデータが、どうしてか新開発された機械に入ってたんだよ。この身体に関して言うなら、『前』の身体とは全く違う組織や構造をしてる。宰姫の持ってるデータでもそうなってねぇ?」
「……その通りよ。じゃあケリーみたいに天使に作られた訳でも、ジャスミンみたいに若返らせた訳でもないのね?」
「天使って?」
「今セントラルを破壊しようといている人よ」
客室からの通信音声では、リィと聞き覚えの無い女性の声が現連邦主席を徹底的に弱らせている。リィ達はリィ達の法律、というより規則で物事を考えているが、現主席はそれを理解できずひたすら人類社会の法律に則って考えているようだった。
それではまとまる話もまとまる気がしない。
それでも何とか話がまとまったようで、ガイアというラー一族の女性の声に主席達が部屋を出て行き、リィとケリーとその女性だけが部屋に残って話し合っている。その話を聞いていたシルビは、おもむろにダイアナへと声を掛けた。
「宰姫、俺の声をこの場所に届けられるかぁ?」
「いいわよ」
ダイアナが軽々と了承した途端、もう一つの画面がシルビの眼の前に現れた。そこに写るのは立体映像らしいリィとケリー、それに実物なのか立体映像なのか判断の付かない古風な服装の女性。
三人のほうからもシルビが見えているのだろう。女性がシルビを見て僅かに動揺した事に気付いて、シルビはちょっとだけ笑みを浮かべた。
「はじめましてラー一族の方。貴女方のお話は『以前』来た時に聞いたことがあります。割り込みの会話をお許しください」
「シルビ?」
「貴方は……」
「そこにいるリィは俺の事を『風』と評しました。しかし貴女はきっと俺を知っている。……今貴女方がお話していた『悪しきもの』についてお聞きしたく」