アズカバンの囚人
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幸せというのは山の向こうにあったり家の中の鳥籠で鳴いていたり、結構色んなところにあるというのがシルビの持論である。
ぶっちゃけそう大したものではないが。
何が言いたいのかというと、その持論のせいで大概は許せてしまうということである。
十三歳という日本で言うなら中学生という年齢になって、何故かシルビへ与えられたのは復讐者からの情報整理という仕事だった。
確かに昔、シルビが日本で産まれジョットの子孫である沢田達と生きていた頃には、十五歳くらいで再び復讐者と関わっていたが、今回は復讐者側も慣れたのかその時より二年も早くシルビとの関係を持とうとしてきたらしい。
別に構わないけれど。
構わないけれど子供にこの量は無ぇよなぁと、机の両側へ積まれた書類の山に辟易する。
「つか、いつの間に魔法界まで手ぇ出してんだよぉ。犯罪者はアレだけど、仕事自分から増やして何がしてぇのイェーガーは? ……アズカバンってどっかで……そうだハグリッドの……面倒臭せぇ。デイモンに聞こう」
何枚目になるかも分からない書類を手に、シルビは部屋から出て屋敷の中を歩き出した。
『×××』の知識は既に何度か使っているせいで頭も痛いし、何より朝からずっと座りっぱなしで身体を動かしたい。
昼寝もしたいなと考えたところで、前から目的の人物が手にお茶の仕度をして歩いてくるのを見つけた。
「デイモン」
「シルビ。仕事は終わったんですか? 昼食の時間にも出てこなかったので、気になって今、お茶を持っていこうとしていたんですが」
「デイモンに癒されるぅ……。書類はまだ終わってなくて、デイモンにちょっと聞こうと思って探してたんだぁ」
「ボクを、ですか? まぁボクが手伝えるのなら」
再び部屋へ、今度はデイモンと並んで歩きながら、シルビは持っていた書類の気になる箇所を読む。
「『アズカバン要塞監獄より囚人三名の移送依頼』……このアズカバンってのは魔法界でどのくらいの収容所なんだぁ?」
「貴方復讐者の仕事をしていたんじゃなかったのですか? アズカバンは魔法界ですよね?」
「俺もそれは思った。何か手を伸ばしたっぽい。そこら辺は今度イェーガーに聞くからいいんだが、アズカバンの規模が分からなくて……」
「アズカバンは魔法界における復讐者の監獄です。とある島の絶壁にありまして、吸魂鬼という生物がその牢を見回り、脱獄は不可能と言われています」
「ディメンター?」
「人の幸福や幸せな記憶を糧にしている生物でしたか。知能は低いようなので、喋っているところは見たことがありません」
ぶっちゃけそう大したものではないが。
何が言いたいのかというと、その持論のせいで大概は許せてしまうということである。
十三歳という日本で言うなら中学生という年齢になって、何故かシルビへ与えられたのは復讐者からの情報整理という仕事だった。
確かに昔、シルビが日本で産まれジョットの子孫である沢田達と生きていた頃には、十五歳くらいで再び復讐者と関わっていたが、今回は復讐者側も慣れたのかその時より二年も早くシルビとの関係を持とうとしてきたらしい。
別に構わないけれど。
構わないけれど子供にこの量は無ぇよなぁと、机の両側へ積まれた書類の山に辟易する。
「つか、いつの間に魔法界まで手ぇ出してんだよぉ。犯罪者はアレだけど、仕事自分から増やして何がしてぇのイェーガーは? ……アズカバンってどっかで……そうだハグリッドの……面倒臭せぇ。デイモンに聞こう」
何枚目になるかも分からない書類を手に、シルビは部屋から出て屋敷の中を歩き出した。
『×××』の知識は既に何度か使っているせいで頭も痛いし、何より朝からずっと座りっぱなしで身体を動かしたい。
昼寝もしたいなと考えたところで、前から目的の人物が手にお茶の仕度をして歩いてくるのを見つけた。
「デイモン」
「シルビ。仕事は終わったんですか? 昼食の時間にも出てこなかったので、気になって今、お茶を持っていこうとしていたんですが」
「デイモンに癒されるぅ……。書類はまだ終わってなくて、デイモンにちょっと聞こうと思って探してたんだぁ」
「ボクを、ですか? まぁボクが手伝えるのなら」
再び部屋へ、今度はデイモンと並んで歩きながら、シルビは持っていた書類の気になる箇所を読む。
「『アズカバン要塞監獄より囚人三名の移送依頼』……このアズカバンってのは魔法界でどのくらいの収容所なんだぁ?」
「貴方復讐者の仕事をしていたんじゃなかったのですか? アズカバンは魔法界ですよね?」
「俺もそれは思った。何か手を伸ばしたっぽい。そこら辺は今度イェーガーに聞くからいいんだが、アズカバンの規模が分からなくて……」
「アズカバンは魔法界における復讐者の監獄です。とある島の絶壁にありまして、吸魂鬼という生物がその牢を見回り、脱獄は不可能と言われています」
「ディメンター?」
「人の幸福や幸せな記憶を糧にしている生物でしたか。知能は低いようなので、喋っているところは見たことがありません」