謎のプリンス
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話は、五年目が終わる数日前に遡る。
「君は、自分が『何』であるかは知っておるが、何が『出来るか』は知っておるのかね?」
「あまり直視しようと思ったことがねぇので」
肖像画の中で歴代の校長が眠る校長室で、ダンブルドアはシルビの返答に意外そうな顔をした。
「俺にとって、『亜種』であることはコディーを守るのにはどうでもいい事柄だったんです。どちらかっていうと頭痛の種だったし、その後も然程使う事は無かったので」
「では自分を知ろうとしたことは?」
「ありません」
シルビが淹れた紅茶を飲みながらダンブルドアが目を細める。
「校長は何を言いたいのですか?」
「なに、勿体無いと思っておるだけじゃ。『大いなる全知の亜種』、いや『原始の魔法リリス』はこの魔法界でなくとも絶大な力じゃろう? 使う使わないに関わらず、シルビは自分が『何が出来るか』を知っておいたほうがいいと思ってのう」
やっぱりそれか、と思いながらシルビも紅茶を飲んだ。
人に『亜種』であることを話せば、いつかは言われると思っていたので驚きは無かったが、それがダンブルドアであった事には少し意外だった。シルビを通して『亜種』を利用しようとする輩はいるだろうし、人によっては利用したいと思えるほどこの『肩書き』が魅力的に思えるのだとも知っている。
しかし、すぐにだからこそダンブルドアが言ってきたのかと思い直した。好々爺然とした校長面に忘れがちだが、彼こそヴォルデモートと戦う為にならハリーという子供さえ利用する人物だ。
「生憎、学生や復讐者で時間が無ぇですね。校長が勧められるのでしたらやってみてもいいとは思いますが」
「時間があればやると?」
別にどちらでも良かったので頷けば、ダンブルドアは満足そうに微笑む。それを見て、シルビは何となく失敗したと悟った。
嫌な予感だけでなら、超直感などいらないというものである。
「実はのう、来年度の授業科目を一つ増やそうかと思っておる」
「五年生と七年生には苦労が増えますね」
「マグル国際文化学と言っての、マグル学を更に細分化した様な各国の国際文化などを教える学科じゃ。より専門的な講義を望んでおる」
紅茶を飲んで動揺を隠そうとしたのに、カップは既に空になっていた。
「ひいては魔法界とマグルの両方を知っており、両方の差異について詳しい者がいいじゃろう」
「そうですね」
辛うじて搾り出せた声は、シルビが思った以上に疲れている。空になったカップをソーサーへ戻してテーブルへ置き、ダンブルドアが言うであろう続きの言葉を待つしか、シルビには出来なかった。
「シルビ、やってみる気はないかのう?」
「俺、まだ自分は学生だと思ってたんですけどねぇ」
「君は、自分が『何』であるかは知っておるが、何が『出来るか』は知っておるのかね?」
「あまり直視しようと思ったことがねぇので」
肖像画の中で歴代の校長が眠る校長室で、ダンブルドアはシルビの返答に意外そうな顔をした。
「俺にとって、『亜種』であることはコディーを守るのにはどうでもいい事柄だったんです。どちらかっていうと頭痛の種だったし、その後も然程使う事は無かったので」
「では自分を知ろうとしたことは?」
「ありません」
シルビが淹れた紅茶を飲みながらダンブルドアが目を細める。
「校長は何を言いたいのですか?」
「なに、勿体無いと思っておるだけじゃ。『大いなる全知の亜種』、いや『原始の魔法リリス』はこの魔法界でなくとも絶大な力じゃろう? 使う使わないに関わらず、シルビは自分が『何が出来るか』を知っておいたほうがいいと思ってのう」
やっぱりそれか、と思いながらシルビも紅茶を飲んだ。
人に『亜種』であることを話せば、いつかは言われると思っていたので驚きは無かったが、それがダンブルドアであった事には少し意外だった。シルビを通して『亜種』を利用しようとする輩はいるだろうし、人によっては利用したいと思えるほどこの『肩書き』が魅力的に思えるのだとも知っている。
しかし、すぐにだからこそダンブルドアが言ってきたのかと思い直した。好々爺然とした校長面に忘れがちだが、彼こそヴォルデモートと戦う為にならハリーという子供さえ利用する人物だ。
「生憎、学生や復讐者で時間が無ぇですね。校長が勧められるのでしたらやってみてもいいとは思いますが」
「時間があればやると?」
別にどちらでも良かったので頷けば、ダンブルドアは満足そうに微笑む。それを見て、シルビは何となく失敗したと悟った。
嫌な予感だけでなら、超直感などいらないというものである。
「実はのう、来年度の授業科目を一つ増やそうかと思っておる」
「五年生と七年生には苦労が増えますね」
「マグル国際文化学と言っての、マグル学を更に細分化した様な各国の国際文化などを教える学科じゃ。より専門的な講義を望んでおる」
紅茶を飲んで動揺を隠そうとしたのに、カップは既に空になっていた。
「ひいては魔法界とマグルの両方を知っており、両方の差異について詳しい者がいいじゃろう」
「そうですね」
辛うじて搾り出せた声は、シルビが思った以上に疲れている。空になったカップをソーサーへ戻してテーブルへ置き、ダンブルドアが言うであろう続きの言葉を待つしか、シルビには出来なかった。
「シルビ、やってみる気はないかのう?」
「俺、まだ自分は学生だと思ってたんですけどねぇ」