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移民惑星ソロ星を脱出してからというもの、ソロシップの乗組員たちに安寧の時間は訪れなかった。ソロシップや巨大メカイデオンの、第六文明人の技術や謎の調査。休むことなく襲撃する異星人、そして艦内に現れた異星人の女性。
乗組員達は常に疲弊していた。休んだ方がいいということは理解していても、それでも手を、頭を、止めることができない。特に機関室のメンバーはひっきりなしに働いていた。そもそも自分たちが乗っている艦のことすら十分に理解しているとはいえないのだから。
「……お前、大丈夫か?」
「へぇ……大丈夫ですよジョリバさん、へへへ……」
「目が据わっているが?」
ジョリバと呼ばれた男性があきれたように目を細める。彼の眼前に座る女性は血走った瞳を閉じることなくソロシップの図面を見つめる。ペンを走らせては自身の解釈を書き込み、そして思案する。彼女はもう何夜眠っていないだろう。ジョリバが覚えている限り3日はロクに寝ていないはずだ。自分と入れ違いで仮眠をとるよう勧めたが、「元気なのが取り柄なので大丈夫ですよ!」と笑顔で躱されてしまったのだ。
調査や整備、小さな子の世話など彼女は暇さえあれば働いている。殺伐としたこの状況で、笑顔を絶やす事もなくだ。ジョリバ自身も彼女・シオンの笑顔に救われている者の一人だ。
「シオン、そこの線は違うんじゃないか」
「えぇ……あー……ほんとですね、こっちじゃないですね」
定規を使っているにも関わらず歪んだ線を引くシオンを見てジョリバは深いため息をついた。こんな状態なのに彼女は自分がまだやれると思っているのだ。上手く他人を頼るということをしないのだろうか。
そんなことを思いながらジョリバは椅子を引き立ち上がる。
「シオン、ちょっと立てるか」
そう促されてシオンは立ち上がる。連日勤務に睡眠不足はかなり深刻なようで、体がぐにゃりと傾いてしまう。「大丈夫か」とジョリバに抱きとめられ、休めるときに休まないからだと諫められた。
「お前が嫌だと言っても聞き入れんからな。仮眠室へ行くぞ」
ジョリバの大きな背中に負ぶわれてシオンのまぶたは重くなる。ぶっきらぼうで、それでいて自分のことを案じた優しい声に安らぎを覚えながらまどろみの世界へ行くのだった。
乗組員達は常に疲弊していた。休んだ方がいいということは理解していても、それでも手を、頭を、止めることができない。特に機関室のメンバーはひっきりなしに働いていた。そもそも自分たちが乗っている艦のことすら十分に理解しているとはいえないのだから。
「……お前、大丈夫か?」
「へぇ……大丈夫ですよジョリバさん、へへへ……」
「目が据わっているが?」
ジョリバと呼ばれた男性があきれたように目を細める。彼の眼前に座る女性は血走った瞳を閉じることなくソロシップの図面を見つめる。ペンを走らせては自身の解釈を書き込み、そして思案する。彼女はもう何夜眠っていないだろう。ジョリバが覚えている限り3日はロクに寝ていないはずだ。自分と入れ違いで仮眠をとるよう勧めたが、「元気なのが取り柄なので大丈夫ですよ!」と笑顔で躱されてしまったのだ。
調査や整備、小さな子の世話など彼女は暇さえあれば働いている。殺伐としたこの状況で、笑顔を絶やす事もなくだ。ジョリバ自身も彼女・シオンの笑顔に救われている者の一人だ。
「シオン、そこの線は違うんじゃないか」
「えぇ……あー……ほんとですね、こっちじゃないですね」
定規を使っているにも関わらず歪んだ線を引くシオンを見てジョリバは深いため息をついた。こんな状態なのに彼女は自分がまだやれると思っているのだ。上手く他人を頼るということをしないのだろうか。
そんなことを思いながらジョリバは椅子を引き立ち上がる。
「シオン、ちょっと立てるか」
そう促されてシオンは立ち上がる。連日勤務に睡眠不足はかなり深刻なようで、体がぐにゃりと傾いてしまう。「大丈夫か」とジョリバに抱きとめられ、休めるときに休まないからだと諫められた。
「お前が嫌だと言っても聞き入れんからな。仮眠室へ行くぞ」
ジョリバの大きな背中に負ぶわれてシオンのまぶたは重くなる。ぶっきらぼうで、それでいて自分のことを案じた優しい声に安らぎを覚えながらまどろみの世界へ行くのだった。