番外
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野伏と農民の戦が終わりを迎え、カンベエが姿を消した。雨の中一人村を出る彼に薬師シオンは声をかける。どこへ向かうのかと。
「約束を果たしに行くのだ」とカンベエは答える。
「おひとりで向かうおつもりなのですか?」
「そうだ。……其方からも、もう十分に恩を返してもらった。自身の旅へ戻ると良い」
「何をおっしゃいますか」
遠回しに同行を拒否されている。そのことに気づいたシオンは不満げに眉を顰める。
「こんな状態で自分の旅に戻るなんて、できませんよ。……サムライであるカンベエ様にしかできない方法があるように、私にしかできない方法がありますので。
影ながらお助けさせてくださいな。乗り掛かった舟です、途中で降りるなんてできません」
「……覚悟は……できているのだな?」
「勿論です」
無理はするな。カンベエはそう呟いて再び歩き始める。彼の背中を見つめ、シオンは再度自身の言葉の重みをかみしめた。覚悟の有無を問われたということは、即ち戦力の一つとして数えられているということだと。ぎゅっと拳を握る。
出来る限りの事を尽くそう。彼女はそう心に誓った。
ゴロベエの墓に手を合わせ。当面必要な薬を村の女たちに配り。少しずつ村を出る準備を整える。この事を最初に伝えるのは誰にするか。
「……そんなの……」
決まっている。誰に話すかなんて。シオンは自分の胸に手を当てて確認する。思い描いたのは紅いサムライ。
「……まだ、村にいるよね?」
そう呟いて走り出す。村のはずれにある森、あの大きな木の下にならまだいるかもしれない。そんな願いを込めてシオンは走った。
カンベエと戦う事を切望していた彼のことだ。カンベエが村を出てしまった今、ここに滞在する理由はもうないだろう。既に発ってしまった後かもしれない。
「どうした」
「―ッ!……キュウゾウ、さま……?」
不意に声を掛けられ足を止める。そこに立っていたのはシオンの探しているその人であった。肩で息をする女を不思議そうに眺め、キュウゾウは彼女からの回答を待つ。
シオンは胸に手を当て、ゆっくり呼吸を整え。彼の紅い瞳を真っすぐ見つめながら叫んだ。
「キュウゾウ様、私の旅路に同行してください……!」
「約束を果たしに行くのだ」とカンベエは答える。
「おひとりで向かうおつもりなのですか?」
「そうだ。……其方からも、もう十分に恩を返してもらった。自身の旅へ戻ると良い」
「何をおっしゃいますか」
遠回しに同行を拒否されている。そのことに気づいたシオンは不満げに眉を顰める。
「こんな状態で自分の旅に戻るなんて、できませんよ。……サムライであるカンベエ様にしかできない方法があるように、私にしかできない方法がありますので。
影ながらお助けさせてくださいな。乗り掛かった舟です、途中で降りるなんてできません」
「……覚悟は……できているのだな?」
「勿論です」
無理はするな。カンベエはそう呟いて再び歩き始める。彼の背中を見つめ、シオンは再度自身の言葉の重みをかみしめた。覚悟の有無を問われたということは、即ち戦力の一つとして数えられているということだと。ぎゅっと拳を握る。
出来る限りの事を尽くそう。彼女はそう心に誓った。
ゴロベエの墓に手を合わせ。当面必要な薬を村の女たちに配り。少しずつ村を出る準備を整える。この事を最初に伝えるのは誰にするか。
「……そんなの……」
決まっている。誰に話すかなんて。シオンは自分の胸に手を当てて確認する。思い描いたのは紅いサムライ。
「……まだ、村にいるよね?」
そう呟いて走り出す。村のはずれにある森、あの大きな木の下にならまだいるかもしれない。そんな願いを込めてシオンは走った。
カンベエと戦う事を切望していた彼のことだ。カンベエが村を出てしまった今、ここに滞在する理由はもうないだろう。既に発ってしまった後かもしれない。
「どうした」
「―ッ!……キュウゾウ、さま……?」
不意に声を掛けられ足を止める。そこに立っていたのはシオンの探しているその人であった。肩で息をする女を不思議そうに眺め、キュウゾウは彼女からの回答を待つ。
シオンは胸に手を当て、ゆっくり呼吸を整え。彼の紅い瞳を真っすぐ見つめながら叫んだ。
「キュウゾウ様、私の旅路に同行してください……!」