番外
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「薬師様、薬師様。この薬草はこっちであってるだか?」
「ええそうですよ、ありがとうございます」
「薬師様!ずっと混ぜてたら色が変わっちまった、大丈夫なんか?」
「はい、大丈夫です。もう少しすると粘り気が出てくるので、それまで混ぜてくださいね」
カンナ村へ無事到着したものの、村人たちから歓迎されることもなく。野伏せりからの脅威に怯える村人たちをなんとか奮起させ、カンベエの指揮で戦う準備を始めることとなった。防衛線作りや武器の準備、弓の稽古等……それぞれだ。自分も何かできないかとシオンが尋ねると「可能なのであれば多めに薬を用意してほしい」と依頼を受けた。
この後起こるであろう戦のことを思えばいくら用意していても足りないということはないだろう。
「お任せくださいカンベエ様」そういって誇らしげに胸を張り、シオンは手の空いた村人と共に薬づくりを始めるのだった。
a
「ずっと作業続きですし、ひとまず休憩にしましょうか」
そんなシオンの一声を切欠に作業をしていた村人たちが手を休める。単調なこと多いが人体に使われる薬のことなので、決して気を抜くことができない調合作業である。しかし普段の農作業とはまた違う刺激になったようで、疲労感を覚えつつも新鮮な気持ちで村人たちはあたっていた様子だった。
自分の教え方に不備はないのかな、とシオンはひそかに胸をなでおろしそれぞれの薬草を確認する。力はシオンよりもあるのだろう、細かくすりつぶされた草や均一になるまで混ぜられた粉末等を見て感嘆の声を漏らした。
「すまないが」
不意にシオンの背後から低く無機質な声が投げかけられる。びくんと肩を跳ねさせ振り返るとそこに立っていたのは金色の髪に赤い外套の侍・キュウゾウであった。ばくばくとうるさい心音を落ち着かせるため胸元に手を当てながらどうしたのか尋ねると、武具の扱いに慣れていない村人が手を痛めてしまったようで。そのための塗り薬はないかという。
「なるほど、わかりました。直接診ますので、ご一緒してもいいですか?」
「かたじけない」
そう言ってキュウゾウは目を伏せる。そんな彼を見てシオンは目を細める。彼はわざわざ村人のために自分のところまでやってきて薬の有無を確認しにきたのだ。怪我をしたものは数名程度だろうに、その者のために自分がこうして動いたのだ。言葉数が少ないだけで決して冷酷無比な男ではなく、優しい心根も持ち合わせた侍なのだろうなと。そんなことをぼんやり考えながらシオンはキュウゾウの紅い瞳を見上げた。
「ええそうですよ、ありがとうございます」
「薬師様!ずっと混ぜてたら色が変わっちまった、大丈夫なんか?」
「はい、大丈夫です。もう少しすると粘り気が出てくるので、それまで混ぜてくださいね」
カンナ村へ無事到着したものの、村人たちから歓迎されることもなく。野伏せりからの脅威に怯える村人たちをなんとか奮起させ、カンベエの指揮で戦う準備を始めることとなった。防衛線作りや武器の準備、弓の稽古等……それぞれだ。自分も何かできないかとシオンが尋ねると「可能なのであれば多めに薬を用意してほしい」と依頼を受けた。
この後起こるであろう戦のことを思えばいくら用意していても足りないということはないだろう。
「お任せくださいカンベエ様」そういって誇らしげに胸を張り、シオンは手の空いた村人と共に薬づくりを始めるのだった。
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「ずっと作業続きですし、ひとまず休憩にしましょうか」
そんなシオンの一声を切欠に作業をしていた村人たちが手を休める。単調なこと多いが人体に使われる薬のことなので、決して気を抜くことができない調合作業である。しかし普段の農作業とはまた違う刺激になったようで、疲労感を覚えつつも新鮮な気持ちで村人たちはあたっていた様子だった。
自分の教え方に不備はないのかな、とシオンはひそかに胸をなでおろしそれぞれの薬草を確認する。力はシオンよりもあるのだろう、細かくすりつぶされた草や均一になるまで混ぜられた粉末等を見て感嘆の声を漏らした。
「すまないが」
不意にシオンの背後から低く無機質な声が投げかけられる。びくんと肩を跳ねさせ振り返るとそこに立っていたのは金色の髪に赤い外套の侍・キュウゾウであった。ばくばくとうるさい心音を落ち着かせるため胸元に手を当てながらどうしたのか尋ねると、武具の扱いに慣れていない村人が手を痛めてしまったようで。そのための塗り薬はないかという。
「なるほど、わかりました。直接診ますので、ご一緒してもいいですか?」
「かたじけない」
そう言ってキュウゾウは目を伏せる。そんな彼を見てシオンは目を細める。彼はわざわざ村人のために自分のところまでやってきて薬の有無を確認しにきたのだ。怪我をしたものは数名程度だろうに、その者のために自分がこうして動いたのだ。言葉数が少ないだけで決して冷酷無比な男ではなく、優しい心根も持ち合わせた侍なのだろうなと。そんなことをぼんやり考えながらシオンはキュウゾウの紅い瞳を見上げた。