番外
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大きな翼を模したような岩に夕日が当たる。野伏せりからの襲撃を少しでも避けるべく三組に分かれて村を目指していたが、各々無事に目的であったこの翼岩へ到着できたようだ。どうやら最初に着いたのはキララ達の組のようで、道中負傷したキュウゾウの上着を彼女が縫い合わせていた。
「……あら、シオン様。ご無事で何よりです」
ふと視線を上げたキララがシオンの姿に気づき、やわらかく微笑んだ。名前を呼ばれ二人の元へ歩み寄ると「シオン様からいただいた止血薬が役立ちました、本当にありがとうございます。」と、キララが深々と頭を下げる。
「お役立てできたなら何よりですし、キララ様達もご無事で何よりです。」
お互いに頭を下げあい、同時に顔を上げると視線がぶつかる。それが少し面白くて、二人して顔をほころばせた。
「シオン様、その恰好……いつもと違いますね。どうなさったのですか?」
「ゴロベエ様の案で旅芸人に扮したのですよ。……そうだ、きっとまだ着替えていないでしょうし、あちらで見てきてはいかがですか?一見の価値ある変装でございますよ」
そういってシオンは先ほどまで道中を共にしたゴロベエ達の姿を思い出してふふっと笑みがこぼれてしまう。その姿に興味をそそられたのか、「それでは私も……」と言い残してキララはその場をあとにした。
キララの後ろ姿を見送り、シオンはゆっくりと振り返る。そこには先ほどの会話に全く参加することのなかった無口な侍が一人、じっと座していた。
「キュウゾウ様、お怪我の調子はいかがですか?」
シオンの問いかけに対し、キュウゾウは「問題ない」と非常に短く答え。そしてはっとしたように瞳を開く。彼はようやく彼女の装いが異なっていることに気づいたようだった。
「あ……これですか?ゴロベエ様達が女性の恰好をするというので私もそれに合わせたのです。
……あの、キュウゾウ様……?そのようにじっと見つめられては少し……恥ずかしいです……。どこか変でしょうか……?」
「いや……可憐だ」
「……えっ」
なんのためらいもなくかけられた言葉の真意を受け止めきれず、シオンはぽかんと口を開く。ふ、と目をさらに細めそのままカンベエ達の元へ足を進めるキュウゾウに「今なんと……?」と尋ねても無口な侍は振り返ることも言葉を発することもなく歩き続けるのであった。
「……あら、シオン様。ご無事で何よりです」
ふと視線を上げたキララがシオンの姿に気づき、やわらかく微笑んだ。名前を呼ばれ二人の元へ歩み寄ると「シオン様からいただいた止血薬が役立ちました、本当にありがとうございます。」と、キララが深々と頭を下げる。
「お役立てできたなら何よりですし、キララ様達もご無事で何よりです。」
お互いに頭を下げあい、同時に顔を上げると視線がぶつかる。それが少し面白くて、二人して顔をほころばせた。
「シオン様、その恰好……いつもと違いますね。どうなさったのですか?」
「ゴロベエ様の案で旅芸人に扮したのですよ。……そうだ、きっとまだ着替えていないでしょうし、あちらで見てきてはいかがですか?一見の価値ある変装でございますよ」
そういってシオンは先ほどまで道中を共にしたゴロベエ達の姿を思い出してふふっと笑みがこぼれてしまう。その姿に興味をそそられたのか、「それでは私も……」と言い残してキララはその場をあとにした。
キララの後ろ姿を見送り、シオンはゆっくりと振り返る。そこには先ほどの会話に全く参加することのなかった無口な侍が一人、じっと座していた。
「キュウゾウ様、お怪我の調子はいかがですか?」
シオンの問いかけに対し、キュウゾウは「問題ない」と非常に短く答え。そしてはっとしたように瞳を開く。彼はようやく彼女の装いが異なっていることに気づいたようだった。
「あ……これですか?ゴロベエ様達が女性の恰好をするというので私もそれに合わせたのです。
……あの、キュウゾウ様……?そのようにじっと見つめられては少し……恥ずかしいです……。どこか変でしょうか……?」
「いや……可憐だ」
「……えっ」
なんのためらいもなくかけられた言葉の真意を受け止めきれず、シオンはぽかんと口を開く。ふ、と目をさらに細めそのままカンベエ達の元へ足を進めるキュウゾウに「今なんと……?」と尋ねても無口な侍は振り返ることも言葉を発することもなく歩き続けるのであった。