侍7
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酒屋で絡まれていた私を助けてくれた褐色のサムライ・島田カンベエ様についていった先は見覚えのある工房だった。
「ここは……?」
「今はここの世話になっている」
虹雅渓下層に位置するここは刀鍛冶・マサムネ様の工房そのばしょだった。以前炎症などに効果のある湿布薬をお売りしたことがある。
大柄なカンベエ様の後ろから中をうかがうと、これまた大柄な褐色の男性が姿を現した。
「おや、お早いお戻りで。そちらは……サムライではありませんな。如何なされた?」
「酒場でサムライに絡まれておってな。旅の薬師だそうだ」
そういってカンベエ様は私の背中をぽん、と押す。勢いがつき一歩踏み出すと工房内の視線が一度に集まってきた。
ちらりと見渡すとこれまた不思議なご一行様だ。若いサムライ様、機械のサムライ様、そして似たような服装の男女……あの衣装には見覚えがあった。カンナ村のものではなかったか。
「初めまして、旅の薬師・シオンと申します。突然申し訳ございません。
先ほどカンベエ様に命を助けていただき、その御恩をお返ししたく皆様の旅の末席に加えていただきたい所存です。
薬草や医療の知識はございます、お怪我やお体の不調等ございましたらいつでもお言いつけくださいまし」
再び深く頭を下げると幼い声が私にかけられた。
「ところで薬師さまはどーして男だか女だかわかりにくい恰好をしてるですか?」
「これ、コマチ…!申し訳ありませんシオン様、妹が失礼なことを…」
無邪気に質問を投げかけた少女をいさめるように髪の長い少女が申し訳なさそうに頭を下げる。
コマチ、と呼ばれた少女はふくれっ面を見せながら「だってどっちなのかわかんねーです」と不満をこぼした。
そんな姉妹のやり取りがかわいらしくて、私も思わず笑ってしまう。
「私は女です。一人旅ですので、性別がどちらかわかりづらいようにしているのですよ。ややこしくてごめんなさいね」
「そうだったですか!!じゃあシオンおねえちゃんって呼んでもいーですか?」
「構いませんよ、コマチ様」
そう微笑みかけるとコマチ様は両手をあげて喜んだ。彼女の姉だというキララ様がこそりと「申し訳ございません」と謝罪の言葉をかけてくれたが、気にしなくていい旨をお伝えした。
お名前を伺った後、何のために集まっているのかお尋ねすると皆カンナ村を野伏せりから守るため雇われたのだという。
仕事柄あちこちの村を訪れてはいたが、こういった事を実際に行う村は初めてで。なんと言葉をかければよいかわからず思わず口を開けてしまう。
「……あの、シオン様……?」
何も言葉を発しない私の真意を図りかねたのか、キララ様が不安げに私を覗き込む。黙ったままでいるのは失礼だったと我に返り、謝罪を並べたうえで私は続ける。
「その……私もあちこちの村を訪れていますが、キララ様達のような発想に至った村は初めてでしたので……。
私はサムライではありませんし、野伏せりと戦う力もロクに持っておりません。ですが、命を守るための術や医療の知識はございます。
キララ様、コマチ様、リキチ様。微力ながらお力添えさせていただきます。よろしくお願いいたしますね」
「ここは……?」
「今はここの世話になっている」
虹雅渓下層に位置するここは刀鍛冶・マサムネ様の工房そのばしょだった。以前炎症などに効果のある湿布薬をお売りしたことがある。
大柄なカンベエ様の後ろから中をうかがうと、これまた大柄な褐色の男性が姿を現した。
「おや、お早いお戻りで。そちらは……サムライではありませんな。如何なされた?」
「酒場でサムライに絡まれておってな。旅の薬師だそうだ」
そういってカンベエ様は私の背中をぽん、と押す。勢いがつき一歩踏み出すと工房内の視線が一度に集まってきた。
ちらりと見渡すとこれまた不思議なご一行様だ。若いサムライ様、機械のサムライ様、そして似たような服装の男女……あの衣装には見覚えがあった。カンナ村のものではなかったか。
「初めまして、旅の薬師・シオンと申します。突然申し訳ございません。
先ほどカンベエ様に命を助けていただき、その御恩をお返ししたく皆様の旅の末席に加えていただきたい所存です。
薬草や医療の知識はございます、お怪我やお体の不調等ございましたらいつでもお言いつけくださいまし」
再び深く頭を下げると幼い声が私にかけられた。
「ところで薬師さまはどーして男だか女だかわかりにくい恰好をしてるですか?」
「これ、コマチ…!申し訳ありませんシオン様、妹が失礼なことを…」
無邪気に質問を投げかけた少女をいさめるように髪の長い少女が申し訳なさそうに頭を下げる。
コマチ、と呼ばれた少女はふくれっ面を見せながら「だってどっちなのかわかんねーです」と不満をこぼした。
そんな姉妹のやり取りがかわいらしくて、私も思わず笑ってしまう。
「私は女です。一人旅ですので、性別がどちらかわかりづらいようにしているのですよ。ややこしくてごめんなさいね」
「そうだったですか!!じゃあシオンおねえちゃんって呼んでもいーですか?」
「構いませんよ、コマチ様」
そう微笑みかけるとコマチ様は両手をあげて喜んだ。彼女の姉だというキララ様がこそりと「申し訳ございません」と謝罪の言葉をかけてくれたが、気にしなくていい旨をお伝えした。
お名前を伺った後、何のために集まっているのかお尋ねすると皆カンナ村を野伏せりから守るため雇われたのだという。
仕事柄あちこちの村を訪れてはいたが、こういった事を実際に行う村は初めてで。なんと言葉をかければよいかわからず思わず口を開けてしまう。
「……あの、シオン様……?」
何も言葉を発しない私の真意を図りかねたのか、キララ様が不安げに私を覗き込む。黙ったままでいるのは失礼だったと我に返り、謝罪を並べたうえで私は続ける。
「その……私もあちこちの村を訪れていますが、キララ様達のような発想に至った村は初めてでしたので……。
私はサムライではありませんし、野伏せりと戦う力もロクに持っておりません。ですが、命を守るための術や医療の知識はございます。
キララ様、コマチ様、リキチ様。微力ながらお力添えさせていただきます。よろしくお願いいたしますね」