番外
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「シオン殿、すまぬがそこの白粉を取ってくれぬか?」
「紅の塗り方はこうで問題ありませぬか?」
「嫌じゃ嫌じゃ!何が楽しゅうて脛の毛を剃らにゃならんのじゃ!」
狭い屋内に男たちの声が響き、同行者の薬師は困ったように微笑んだ。カンナ村へ進む道中の一行は野伏せりたちからの襲撃を避けるため、少人数の組み分けを行い、それぞれ異なる道を選び目的地を目指していた。
ゴロベエ、ヘイハチ、リキチ、そしてシオンから構成されたこの組は旅芸人を装っていたのだが。ゴロベエの発案で女装姿をとることになったのだ。
女旅芸人たちの力や衣装を拝借し、それぞれが身支度を整えているのだが。元々旅芸人として生計を立てていたゴロベエはともかく、全力で抵抗し続けるリキチの姿がなんとも笑いを誘った。シオンはニコニコと微笑みながら久方ぶりに化粧道具へ手を伸ばす。普段はまとめている髪をほどき、丁寧に櫛を入れる。いつの間にかシオンの隣に腰を下ろしていたヘイハチがへぇ、と感心したような声を上げシオンは思わず視線を移す。
「やはり髪を下ろすと印象ががらりと変わりますな。うん、とても綺麗だ」
にっこり。口角を上げながらヘイハチは笑う。真正面から褒められたシオンはさすがに困ってしまい、頬を赤くしながら化粧の手を止めてしまう。揶揄わないでくださいと、とか細く抵抗しても何のその。「心からの言葉に決まってますよ」としっかり否定され、おなごらしい姿を早く見たいですね。と念押しまでされてしまう始末。
「もう……勘弁してください、ヘイハチ様……」
「あら?お姉さん、頬紅が必要ないくらいに真っ赤ですよ~~?」
「んもう!ちょっと!のんびりしてないで早くお化粧しちゃいなさいよ!」
しっかり女性口調になってしまったゴロベエにせかされつつ、それぞれ慌てて身支度を再開する。長い髪のカツラを物色するゴロベエや、旅芸人たちに衣服を無理やり脱がされたリキチを横目に。ヘイハチはこそりとシオンの耳元でささやいた。
「今度は私の為だけにその服を着てくれますか?」
「紅の塗り方はこうで問題ありませぬか?」
「嫌じゃ嫌じゃ!何が楽しゅうて脛の毛を剃らにゃならんのじゃ!」
狭い屋内に男たちの声が響き、同行者の薬師は困ったように微笑んだ。カンナ村へ進む道中の一行は野伏せりたちからの襲撃を避けるため、少人数の組み分けを行い、それぞれ異なる道を選び目的地を目指していた。
ゴロベエ、ヘイハチ、リキチ、そしてシオンから構成されたこの組は旅芸人を装っていたのだが。ゴロベエの発案で女装姿をとることになったのだ。
女旅芸人たちの力や衣装を拝借し、それぞれが身支度を整えているのだが。元々旅芸人として生計を立てていたゴロベエはともかく、全力で抵抗し続けるリキチの姿がなんとも笑いを誘った。シオンはニコニコと微笑みながら久方ぶりに化粧道具へ手を伸ばす。普段はまとめている髪をほどき、丁寧に櫛を入れる。いつの間にかシオンの隣に腰を下ろしていたヘイハチがへぇ、と感心したような声を上げシオンは思わず視線を移す。
「やはり髪を下ろすと印象ががらりと変わりますな。うん、とても綺麗だ」
にっこり。口角を上げながらヘイハチは笑う。真正面から褒められたシオンはさすがに困ってしまい、頬を赤くしながら化粧の手を止めてしまう。揶揄わないでくださいと、とか細く抵抗しても何のその。「心からの言葉に決まってますよ」としっかり否定され、おなごらしい姿を早く見たいですね。と念押しまでされてしまう始末。
「もう……勘弁してください、ヘイハチ様……」
「あら?お姉さん、頬紅が必要ないくらいに真っ赤ですよ~~?」
「んもう!ちょっと!のんびりしてないで早くお化粧しちゃいなさいよ!」
しっかり女性口調になってしまったゴロベエにせかされつつ、それぞれ慌てて身支度を再開する。長い髪のカツラを物色するゴロベエや、旅芸人たちに衣服を無理やり脱がされたリキチを横目に。ヘイハチはこそりとシオンの耳元でささやいた。
「今度は私の為だけにその服を着てくれますか?」