番外
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太陽が西の空に沈んでゆく。野伏せり達に苦しめられているカンナ村の村人に稽古をつけているとあっという間に時間が過ぎてゆく。夕日に照らされ紅く染まる野原を眺めて私は一息つく。
旅の薬師だった私が半ば強引に一行へ加わり、薬学知識を教え伝える事になるとは……考えもしなかった。
ぼんやりと地平線を眺めているとぽんと肩を叩かれた。
「シオン殿」
のほほんとした声をかけられて振り返るとそこにいたのは小柄な侍・ヘイハチ様。彼の笑顔につられて私も表情筋がゆるくなる。何か御用ですかと尋ねると、夕餉の時間ですよと。
「いやぁカンナ村の米は本当に美味い。日がな一日体を動かしていると腹も減りますし」
「そうですね。ヘイハチ様はいつも美味しそうに召し上がりますものね」
見ているこちらも笑顔になってしまうほどですよ、と付け加えるとヘイハチ様は少し恥ずかしそうに頬をかいた。
「いやはや、シオン殿にそんな熱心に見られていたとは……参りましたな」
「あら、そうでしたか?……ヘイハチ様の伴侶になるお方は幸せでしょうね、どんな料理も笑顔で平らげてくれそうです」
「いやぁ……」
また困ったように彼は笑う。そんな笑顔をぼんやり眺めながら少しだけ妄想する。炊き立てのご飯をお茶碗一杯に盛り、彼に手渡す自分のことを。焼き魚にお味噌汁を並べて二人向かい合って手を合わせる。
『美味いっ!シオン殿の料理は何度食べても飽きませんね。やはり私の妻は最高だ!』
両頬に熱が集中するのがわかった。思わずうつむいてしまう。
「シオン殿……?どうかしましたか?」
「い……いえ、なんでもありません」
今が夕暮れ時で本当に良かった。赤いあかい夕日のお陰で、頬の色まで感づかれることはないだろうから。
旅の薬師だった私が半ば強引に一行へ加わり、薬学知識を教え伝える事になるとは……考えもしなかった。
ぼんやりと地平線を眺めているとぽんと肩を叩かれた。
「シオン殿」
のほほんとした声をかけられて振り返るとそこにいたのは小柄な侍・ヘイハチ様。彼の笑顔につられて私も表情筋がゆるくなる。何か御用ですかと尋ねると、夕餉の時間ですよと。
「いやぁカンナ村の米は本当に美味い。日がな一日体を動かしていると腹も減りますし」
「そうですね。ヘイハチ様はいつも美味しそうに召し上がりますものね」
見ているこちらも笑顔になってしまうほどですよ、と付け加えるとヘイハチ様は少し恥ずかしそうに頬をかいた。
「いやはや、シオン殿にそんな熱心に見られていたとは……参りましたな」
「あら、そうでしたか?……ヘイハチ様の伴侶になるお方は幸せでしょうね、どんな料理も笑顔で平らげてくれそうです」
「いやぁ……」
また困ったように彼は笑う。そんな笑顔をぼんやり眺めながら少しだけ妄想する。炊き立てのご飯をお茶碗一杯に盛り、彼に手渡す自分のことを。焼き魚にお味噌汁を並べて二人向かい合って手を合わせる。
『美味いっ!シオン殿の料理は何度食べても飽きませんね。やはり私の妻は最高だ!』
両頬に熱が集中するのがわかった。思わずうつむいてしまう。
「シオン殿……?どうかしましたか?」
「い……いえ、なんでもありません」
今が夕暮れ時で本当に良かった。赤いあかい夕日のお陰で、頬の色まで感づかれることはないだろうから。