番外
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「おやシオン殿、朝からお仕事かな?」
虹雅渓の建物に朝日が差し込む。マサムネの鍛冶工房入り口近くで旅の同行者である薬師シオンは黙々と乳棒を動かしている。声の主を探すべく彼女は顔を上げ、にこりと微笑む。
「ゴロベエ様、おはようございます。薬はいつ必要になるかわかりませんから……手すきの時になるべく作っておこうと思いまして」
「ははは、良き心がけだな」
「ありがとうございます。一介の薬師である私が皆さまのお役になれるとしたら……このくらいですから」
当然のことです。そう言ってシオンは再度視線を落とす。人体に影響を与える薬なのだから、必要以上に丁寧な仕事をしなければならない。それが彼女の流儀であった。
ゴロベエはまだシオンの事をよく知らない。酒場で侍に絡まれていたところをカンベエに助けられたと聞いたが。それ以前の経緯等は聞いていないし、わざわざ尋ねようとも思わなかった。しかし丁寧な作業を見ていれば、彼女の人となりは何となくつかみ取ることができた。
(なんとまぁ……真面目なことか)
しかし好感が持てる。ゴロベエは満足そうに目を細め、どすんと彼女の隣に腰を下ろした。大きな体躯の男が突然視界の端に入り、シオンは思わず手を止めてしまう。
「ご……ゴロベエ様?どうなさいましたか?」
「いやなに。頑張るシオン殿の姿に拙者感服致しましてな!どれ、拙者にもその作業の手伝いをさせて頂けぬかな?堅いものを砕いたり、潰したり……そういった作業があれば是非に」
分厚い唇で弧を描き、にんまりとゴロベエは笑いかける。その心遣いが嬉しくなって、シオンもつられて表情がやわらかくなった。
「ゴロベエ様にお願いすればどんな素材も怖くなさそうですね」
「そうであろう?しかし本日この一度きりというのは些か……そうだな……これから朝のこの時間は拙者がシオン殿の手伝いをしよう。どうかな_?」
「よろしいのですか?」
私としては嬉しい限りですが……と遠慮がちにシオンは言葉を渋る。いじらしい態度の彼女を見てにいと男は笑い。「それくらい甘えても罰は当たらぬよ」とシオンの肩を優しく叩くのだった。
虹雅渓の建物に朝日が差し込む。マサムネの鍛冶工房入り口近くで旅の同行者である薬師シオンは黙々と乳棒を動かしている。声の主を探すべく彼女は顔を上げ、にこりと微笑む。
「ゴロベエ様、おはようございます。薬はいつ必要になるかわかりませんから……手すきの時になるべく作っておこうと思いまして」
「ははは、良き心がけだな」
「ありがとうございます。一介の薬師である私が皆さまのお役になれるとしたら……このくらいですから」
当然のことです。そう言ってシオンは再度視線を落とす。人体に影響を与える薬なのだから、必要以上に丁寧な仕事をしなければならない。それが彼女の流儀であった。
ゴロベエはまだシオンの事をよく知らない。酒場で侍に絡まれていたところをカンベエに助けられたと聞いたが。それ以前の経緯等は聞いていないし、わざわざ尋ねようとも思わなかった。しかし丁寧な作業を見ていれば、彼女の人となりは何となくつかみ取ることができた。
(なんとまぁ……真面目なことか)
しかし好感が持てる。ゴロベエは満足そうに目を細め、どすんと彼女の隣に腰を下ろした。大きな体躯の男が突然視界の端に入り、シオンは思わず手を止めてしまう。
「ご……ゴロベエ様?どうなさいましたか?」
「いやなに。頑張るシオン殿の姿に拙者感服致しましてな!どれ、拙者にもその作業の手伝いをさせて頂けぬかな?堅いものを砕いたり、潰したり……そういった作業があれば是非に」
分厚い唇で弧を描き、にんまりとゴロベエは笑いかける。その心遣いが嬉しくなって、シオンもつられて表情がやわらかくなった。
「ゴロベエ様にお願いすればどんな素材も怖くなさそうですね」
「そうであろう?しかし本日この一度きりというのは些か……そうだな……これから朝のこの時間は拙者がシオン殿の手伝いをしよう。どうかな_?」
「よろしいのですか?」
私としては嬉しい限りですが……と遠慮がちにシオンは言葉を渋る。いじらしい態度の彼女を見てにいと男は笑い。「それくらい甘えても罰は当たらぬよ」とシオンの肩を優しく叩くのだった。