高橋涼介
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カラン、と渇いた鐘の音が響き、すぐさまエプロン姿の若い女の子が駆け寄ってくる。いらっしゃいませと笑顔を向けられつつ、わたしは「連れが居るので」と彼女の応対を一度制した。
きょろきょろと見渡すと一際目立つテーブルが一つ。モデル顔負けのスタイルとルックスを持つ男二人が向かい合うように腰掛け、わたしの存在に気づいた素朴な顔立ちの男がひらひらと手を振った。店内の視線が一気に向けられ、気恥ずかしさを覚えながらもわたしは一直線にそこへ向かう。
「シオン、遅かったじゃないか」
「ごめんね、大学のレポートやってたの」
赤城レッドサンズの渉外担当・史浩と短いやり取りを交わしたのち、当たり前のように空けられていた場所へ腰を下ろす。あらかじめ窓側へ少し寄ってくれた涼介に礼を伝えると、ちょうど真向かいに座る男が不服そうな声を上げた。
「なんだちゃんと大学生やってんだな、シオン。てっきり着る服が決まらねーとかで遅れたかと思ったぜ」
「啓くん、服装は大事だよ?好きな格好をしてたら気分も上がって効率だって上がるんだから」
本当かよそれ、と溢しながら彼、高橋啓介はグラスに手をかける。テーブルの上には水滴がしっかりと溜まり、自分が結構な時間彼らを待たせていたことを物語っていた。
「お客様、ご注文をどうぞ」
タイミングよく現れたのは入り口で応対してくれた女の子だった。
恭しく頭を下げ、こちらの注文に耳を傾けてくれる彼女に、わたしはさらりと告げる。
「アイスのレモンティーをひとつ。それから……
彼が飲んでるものをもうひとつお願い」
「かしこまりました。アイスレモンティーと……えっと、オレンジジュースですね。少々お待ちください」
ぺこりと一礼し足早に去っていく彼女の背中を見送ってから、むかいに座った男に視線を向けた。わたしが同じものを注文した意図を汲めたのか、悔しそうに顔を歪ませているのはなんだか見ていて面白かった。
「飲み物ごときで釣られるかよ」
「ふふ、だけど待たせちゃったのは事実だしね。可愛い弟分のために、おねーさんからの奢りだよ」
「はぁ?」
「まあまあ啓介落ち着けって、な?」
啓くんを少しだけ揶揄って、それを史浩が宥める。そんなやり取りをわたしの隣で愛しそうに眺めているのが高橋涼介。
わたしはこのじゃれあいがとても好きなのだ。
「さあ、遊んでないで。次の交流戦の打ち合わせをはじめようか」
涼介が口を開いた瞬間、ぴんと糸が張り詰めるように空気が変わる。姿勢を崩していた啓介が座り直すくらいだ。史浩もさっきまでのへにゃりとした笑みを消している。
じゃれあっている時ももちろん楽しい。それだけじゃない、この気位の高い赤城レッドサンズの空気だって大好きなのだ。
きょろきょろと見渡すと一際目立つテーブルが一つ。モデル顔負けのスタイルとルックスを持つ男二人が向かい合うように腰掛け、わたしの存在に気づいた素朴な顔立ちの男がひらひらと手を振った。店内の視線が一気に向けられ、気恥ずかしさを覚えながらもわたしは一直線にそこへ向かう。
「シオン、遅かったじゃないか」
「ごめんね、大学のレポートやってたの」
赤城レッドサンズの渉外担当・史浩と短いやり取りを交わしたのち、当たり前のように空けられていた場所へ腰を下ろす。あらかじめ窓側へ少し寄ってくれた涼介に礼を伝えると、ちょうど真向かいに座る男が不服そうな声を上げた。
「なんだちゃんと大学生やってんだな、シオン。てっきり着る服が決まらねーとかで遅れたかと思ったぜ」
「啓くん、服装は大事だよ?好きな格好をしてたら気分も上がって効率だって上がるんだから」
本当かよそれ、と溢しながら彼、高橋啓介はグラスに手をかける。テーブルの上には水滴がしっかりと溜まり、自分が結構な時間彼らを待たせていたことを物語っていた。
「お客様、ご注文をどうぞ」
タイミングよく現れたのは入り口で応対してくれた女の子だった。
恭しく頭を下げ、こちらの注文に耳を傾けてくれる彼女に、わたしはさらりと告げる。
「アイスのレモンティーをひとつ。それから……
彼が飲んでるものをもうひとつお願い」
「かしこまりました。アイスレモンティーと……えっと、オレンジジュースですね。少々お待ちください」
ぺこりと一礼し足早に去っていく彼女の背中を見送ってから、むかいに座った男に視線を向けた。わたしが同じものを注文した意図を汲めたのか、悔しそうに顔を歪ませているのはなんだか見ていて面白かった。
「飲み物ごときで釣られるかよ」
「ふふ、だけど待たせちゃったのは事実だしね。可愛い弟分のために、おねーさんからの奢りだよ」
「はぁ?」
「まあまあ啓介落ち着けって、な?」
啓くんを少しだけ揶揄って、それを史浩が宥める。そんなやり取りをわたしの隣で愛しそうに眺めているのが高橋涼介。
わたしはこのじゃれあいがとても好きなのだ。
「さあ、遊んでないで。次の交流戦の打ち合わせをはじめようか」
涼介が口を開いた瞬間、ぴんと糸が張り詰めるように空気が変わる。姿勢を崩していた啓介が座り直すくらいだ。史浩もさっきまでのへにゃりとした笑みを消している。
じゃれあっている時ももちろん楽しい。それだけじゃない、この気位の高い赤城レッドサンズの空気だって大好きなのだ。