GB series
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右を向いても左を向いても高く積み上げられたガンプラの棚が続く。機動戦士ガンダムという作品の虜になった人間にとっては夢のような場所だろう、ここは。
まだまだ新参者と言って差し支えのないわたしでさえ この場所に立っているとワクワクしてしまうのだから。
「ね、どれにするか決まった?」
「……そうだな……やっぱりこれかな」
そう言って彼は薔薇色の機体を取り出して口角を上げる。
インフィニットジャスティスガンダム。
やっぱりカザミはそのガンプラだよね、言葉にこそ出さなかったけれどわたしの表情から言わんとしていることを読み取ったのか。
なんだかおかしくなってわたし達は顔を合わせて笑った。
この間のバトルの後、カザミは少しの間口をきいてくれなかった。
彼自身、わたしとどう向き合っていくのか悩んだのだと思う。それでもわたしは彼の隣に居続けた。一方的にわたしが話しかけるばかりだったけれど、それでも構わなかった。
わたしがこうまでガンプラにのめり込むことができたのはカザミがいたから、カザミと一緒だったから。今まで何に対しても熱中できなかったわたしが変わる切欠をくれたカザミはわたしにとってのヒーローなんだよ、と何度も言葉にした。
その度にカザミはこちらを一瞬見て、何も言わずにまた視線を戻す。そんな日を幾日か過ごしたのち、わたしとカザミの両親が「週末都会へ連れて行ってやる」と持ち掛けてくれた。
両親なりにわたし達の微妙な空気を読み取ってくれたようで、大きなショップで好きなガンプラを買えばいいと。
バトルで大破したカザミのガンプラは、修理するよりも新しく作らないといけない程のダメージを受けていたのだ。普段大きなショップへ行けないわたし達にとってはとてつもなくありがたい話だというわけだ。
「なあシオン。俺、強くなれるかな」
凛々しくポーズを構えたジャスティスのイラストに視線を落としながらカザミは言葉を漏らす。そんなの答えは決まっていた、強くなれるよ。わたしはそう返す。
「カザミなら大丈夫だよ」
「……へへ、そうかな……?」
「そうだよ」
そう、カザミなら大丈夫。だってガンプラのことが。
機動戦士ガンダムという作品や世界観のことが大好きなんだから。だから大丈夫だよ、と即答する。
だけどわたしがずっと傍についていてもカザミは強くなれないんだろうな、となんとなく思う。
あまり近くに居るのはお互いにとってよくはないのだろうな、と。だって手の届く距離にいたらわたしはカザミの為に全部やろうとしてしまうから。
「わたしももっと上手になりたいな。ガンプラ作りも、バトルも
だからどこかフォースに入ってみようかなって」
「もっと強くなるのかよ?」
「だって楽しいもの」
「……そっか。いいんじゃねえの?」
そういってカザミは笑う。「一緒のフォース」とはお互い口にしなかった。
同じ速度で歩けていないわたし達だから、二人にとってちょうどいいペースでプレイしていくことが大事なんだ。
「でもね、GBNをログアウトしたら こうして一緒に話したり、帰ったりしたいな。いい?」
「何言ってるんだよシオン」
当たり前だ。
年下の幼馴染はほんの少し耳を赤くしながら微笑んだ。
完
まだまだ新参者と言って差し支えのないわたしでさえ この場所に立っているとワクワクしてしまうのだから。
「ね、どれにするか決まった?」
「……そうだな……やっぱりこれかな」
そう言って彼は薔薇色の機体を取り出して口角を上げる。
インフィニットジャスティスガンダム。
やっぱりカザミはそのガンプラだよね、言葉にこそ出さなかったけれどわたしの表情から言わんとしていることを読み取ったのか。
なんだかおかしくなってわたし達は顔を合わせて笑った。
この間のバトルの後、カザミは少しの間口をきいてくれなかった。
彼自身、わたしとどう向き合っていくのか悩んだのだと思う。それでもわたしは彼の隣に居続けた。一方的にわたしが話しかけるばかりだったけれど、それでも構わなかった。
わたしがこうまでガンプラにのめり込むことができたのはカザミがいたから、カザミと一緒だったから。今まで何に対しても熱中できなかったわたしが変わる切欠をくれたカザミはわたしにとってのヒーローなんだよ、と何度も言葉にした。
その度にカザミはこちらを一瞬見て、何も言わずにまた視線を戻す。そんな日を幾日か過ごしたのち、わたしとカザミの両親が「週末都会へ連れて行ってやる」と持ち掛けてくれた。
両親なりにわたし達の微妙な空気を読み取ってくれたようで、大きなショップで好きなガンプラを買えばいいと。
バトルで大破したカザミのガンプラは、修理するよりも新しく作らないといけない程のダメージを受けていたのだ。普段大きなショップへ行けないわたし達にとってはとてつもなくありがたい話だというわけだ。
「なあシオン。俺、強くなれるかな」
凛々しくポーズを構えたジャスティスのイラストに視線を落としながらカザミは言葉を漏らす。そんなの答えは決まっていた、強くなれるよ。わたしはそう返す。
「カザミなら大丈夫だよ」
「……へへ、そうかな……?」
「そうだよ」
そう、カザミなら大丈夫。だってガンプラのことが。
機動戦士ガンダムという作品や世界観のことが大好きなんだから。だから大丈夫だよ、と即答する。
だけどわたしがずっと傍についていてもカザミは強くなれないんだろうな、となんとなく思う。
あまり近くに居るのはお互いにとってよくはないのだろうな、と。だって手の届く距離にいたらわたしはカザミの為に全部やろうとしてしまうから。
「わたしももっと上手になりたいな。ガンプラ作りも、バトルも
だからどこかフォースに入ってみようかなって」
「もっと強くなるのかよ?」
「だって楽しいもの」
「……そっか。いいんじゃねえの?」
そういってカザミは笑う。「一緒のフォース」とはお互い口にしなかった。
同じ速度で歩けていないわたし達だから、二人にとってちょうどいいペースでプレイしていくことが大事なんだ。
「でもね、GBNをログアウトしたら こうして一緒に話したり、帰ったりしたいな。いい?」
「何言ってるんだよシオン」
当たり前だ。
年下の幼馴染はほんの少し耳を赤くしながら微笑んだ。
完
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