「そこのお姉さん！このあとお時間ありますか？よければ俺とお茶でもどうです？」

　模擬演習を追え、ヘルメットを外すとどこか幼さの残る声が背後からかけられる。
振り向くいて　頭一つ半ほど視線を下げた先に声の主がいた。

ふわりとした金の髪に深いブルーの瞳。十代半ばだろうか？スクエアの眼鏡をかけた見知らぬ少年は、キラキラと瞳を輝かせながら続ける。


体型のこと、髪のこと、瞳のこと、メイクのことなどなど……。よくもまあこの短時間でそんなに細かいところまで見てくれるなぁと頭の片隅で考えていた。


「いいわよ」

「……へ？」

「お茶、するんでしょう？いいわよ、ちょうど温かいものを飲みたかったの。　さ、いきましょう」


　困惑する少年の手を取り、わたしは食堂へ向かう。
彼はわたしが誘いを受けると考えていなかったのか、耳まで真っ赤になりながらあたふたしている。


誘ったのは君のほうじゃない！なんだかおかしく思えて、つい頬が緩んでしまった。

模擬演習の疲れも吹き飛んじゃうわね。


初々しい反応を見せる少年兵士を見つめながらわたしはそう思った。