雑多
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事前に教えてもらった住所を地図アプリに入力し、経路を確認する。電車で向かうルートは。車ならどこに駐車するか?タクシーなら降車場所は?
考えられる行程をいくつか考え、頭の中に叩き込む。我ながら考えすぎな気もするが、俺の肩書きを思えば用心するに越したことはない。
俺は今度のオフの日に、恋人の部屋を訪れるんだ。
事の始まりは一週間ほど前。久尾津さんとのLINKがきっかけだった。
色々あって付き合うことになった俺たちだが、その上でお互い気をつけることや、相手にして欲しいことなんかを直接会って話す流れになった。
俺たちの今後に関わる大切なことだ。メッセージや電話じゃなく、顔を合わせてきちんと共有したい。……まあ、お互い仕事が忙しくてじっくり会う時間を作れなかったから会いたい、っていう欲もあるんだけどな。
そんな大切な話をどこでしようかと相談し。二転三転した末に、久尾津さんの家へ行くことになった。久尾津さんの部屋、どんなだろう。
まだ見ぬ彼女の一面に出会えるその日が早くきてほしかった。
「お待ちしてました。さあどうぞ、お入りください」
「あ、ああ。お邪魔、します」
いよいよやってきた久しぶりの休日。変装は念入りにし、事前に考えたルートを進み、やってきた彼女のマンション。
高鳴る鼓動を落ち着かせるよう深呼吸をひとつ。それからチャイムを鳴らした。扉がゆっくりと開き、出迎えてくれた久尾津さんは、いつも通りの様子だった。
一緒に食べようと思って買った手土産を彼女に渡し、居間へ通される。家具や小物はシンプルなデザインのものが多く日頃から整頓を心がけて生活しているのが端々から感じられる。そんな空間だった。
「あれ?これは……」
ふと視線を向けた先にあったのは見慣れた顔ぶれ。俺たちFRAMEのCDが飾られていた。一人用の小さな食卓から程よい距離に置かれていて、椅子に腰掛けるとちょうど視線がぶつかるようでもあった。
「そ、それは……ええと……よく、聴くので!
身近なところに置いておきたくて、だから」
「サブスク配信もあるし、なんならスマホにもいれてたんじゃなかった?」
「い、いや、えっと、その……音質、そう!
音がよく聞こえますから、ですから……」
「へえ……音質にこだわりがあったのか、全然知らなかったぜ」
少し俯き気味になった彼女の顔を覗き込みながら揶揄うように俺は続ける。
なんだ、彼女も俺と同じだったんだ。いっぱいいっぱいで、余裕あるように見せたかったんだ。そう思うと途端に肩の力が抜けた。
今日の目的。俺たちのこれからを話すということもあったけど、もう一つ大事なことがあった。
「アイドルの俺も、そうじゃない俺のことも。近くに感じてくれよ、シオン」
「……っ!」
下を向いていたはずの彼女が顔を上げ、目が合う。シオンの瞳はキラキラと輝いており、頬は真っ赤だ。
そんな彼女が愛しくて仕方なかった。
考えられる行程をいくつか考え、頭の中に叩き込む。我ながら考えすぎな気もするが、俺の肩書きを思えば用心するに越したことはない。
俺は今度のオフの日に、恋人の部屋を訪れるんだ。
事の始まりは一週間ほど前。久尾津さんとのLINKがきっかけだった。
色々あって付き合うことになった俺たちだが、その上でお互い気をつけることや、相手にして欲しいことなんかを直接会って話す流れになった。
俺たちの今後に関わる大切なことだ。メッセージや電話じゃなく、顔を合わせてきちんと共有したい。……まあ、お互い仕事が忙しくてじっくり会う時間を作れなかったから会いたい、っていう欲もあるんだけどな。
そんな大切な話をどこでしようかと相談し。二転三転した末に、久尾津さんの家へ行くことになった。久尾津さんの部屋、どんなだろう。
まだ見ぬ彼女の一面に出会えるその日が早くきてほしかった。
「お待ちしてました。さあどうぞ、お入りください」
「あ、ああ。お邪魔、します」
いよいよやってきた久しぶりの休日。変装は念入りにし、事前に考えたルートを進み、やってきた彼女のマンション。
高鳴る鼓動を落ち着かせるよう深呼吸をひとつ。それからチャイムを鳴らした。扉がゆっくりと開き、出迎えてくれた久尾津さんは、いつも通りの様子だった。
一緒に食べようと思って買った手土産を彼女に渡し、居間へ通される。家具や小物はシンプルなデザインのものが多く日頃から整頓を心がけて生活しているのが端々から感じられる。そんな空間だった。
「あれ?これは……」
ふと視線を向けた先にあったのは見慣れた顔ぶれ。俺たちFRAMEのCDが飾られていた。一人用の小さな食卓から程よい距離に置かれていて、椅子に腰掛けるとちょうど視線がぶつかるようでもあった。
「そ、それは……ええと……よく、聴くので!
身近なところに置いておきたくて、だから」
「サブスク配信もあるし、なんならスマホにもいれてたんじゃなかった?」
「い、いや、えっと、その……音質、そう!
音がよく聞こえますから、ですから……」
「へえ……音質にこだわりがあったのか、全然知らなかったぜ」
少し俯き気味になった彼女の顔を覗き込みながら揶揄うように俺は続ける。
なんだ、彼女も俺と同じだったんだ。いっぱいいっぱいで、余裕あるように見せたかったんだ。そう思うと途端に肩の力が抜けた。
今日の目的。俺たちのこれからを話すということもあったけど、もう一つ大事なことがあった。
「アイドルの俺も、そうじゃない俺のことも。近くに感じてくれよ、シオン」
「……っ!」
下を向いていたはずの彼女が顔を上げ、目が合う。シオンの瞳はキラキラと輝いており、頬は真っ赤だ。
そんな彼女が愛しくて仕方なかった。