雑多
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「なあ伸。お前、シオンのこと気にかけすぎじゃねえか?」
夜も更けて、そろそろ床に就こうかというタイミングで僕と同室であるシュウは問いを投げかけてきた。
シオンというのはこの屋敷の主・ナスティの家に仕える使用人のような人だ。年は僕らとそう離れておらず、屋内の清掃や整理だけでなくこまごまとした雑務もこなしてくれる。
食事に関しては僕らも自分で料理をすることもあるけど、どうしても台所に立てない事情がある場合もあり。その時は何も言わなくても準備をしてくれる。
ナスティや純とはまた違うベクトルで、シオンも僕らサムライトルーパーにとってなくてはならない存在だと思っている。
「シオンがこうして僕らが帰ってくる場所を守ってくれるおかげで、妖邪と戦ったり、トレーニングに集中できるんじゃないか。
僕たちを支えてくれる人に対して感謝の気持ちを向けることは間違いじゃないと思うけど」
「いや。それは俺もそう思うし、伸の言う通りだと思う……だけどな?
あー……はっきり言うぜ?気にかけすぎてるっつーか、距離が近くねえ?」
距離が、近い?
彼の言っている言葉の意味がいまいち理解できない。果たしてそうなのだろうか?
シオンはナスティとその祖父柳生博士と生活していたと聞く。それが突然僕を含め男五人が転がり込んできたのだ。
ナスティとは妖邪達が東京を襲撃した時からの付き合いだし、僕らの人となりも理解してくれている。だがシオンと共に過ごした時間はまだまだ短く、気を遣わせてしまうことも多いだろう。
だからこそ不便のないよう僕なりに配慮をしているつもりなのだが……。
「そんなキョトンとするなよな……。
シオンが掃除するぞってなったら真っ先に飛んでって手伝うだろ。買い出しだってなったら荷物持ちを申し出るし。
シオンが作ったメシだって、俺がウマい!って言おうとしたらそれを遮ってお前が褒めちまうしよ。
何より、俺たちがシオンと二人で話してたらすぐ割って入って来るじゃねえか。
いくらなんでも過保護が過ぎるんじゃねえの?」
シオンだってガキじゃねえんだからよ。あんまり構いすぎると嫌われるぜ?とシュウは言い放ち、僕の言葉を待たず布団をかぶってしまった。
僕はシュウから指摘されたことを反芻し、自分の行動を客観的に見つめ直していた。
シオンの傍からつかず離れずの距離を保ち。自分以外の存在と二人きりになるのを阻止する。それらを無意識的に行っているなんて。
「……そんなの、好きな女の子に取る態度じゃないか……」
途端に体温が上がっていく。ドクンドクンとまるで耳元で心臓が鳴っているようにうるさい。
参ったな。明日から今まで通りに振る舞えるだろうか。
カーテンの隙間からちらりと見える月に視線を向け、僕は長く息を吐き出した。
夜も更けて、そろそろ床に就こうかというタイミングで僕と同室であるシュウは問いを投げかけてきた。
シオンというのはこの屋敷の主・ナスティの家に仕える使用人のような人だ。年は僕らとそう離れておらず、屋内の清掃や整理だけでなくこまごまとした雑務もこなしてくれる。
食事に関しては僕らも自分で料理をすることもあるけど、どうしても台所に立てない事情がある場合もあり。その時は何も言わなくても準備をしてくれる。
ナスティや純とはまた違うベクトルで、シオンも僕らサムライトルーパーにとってなくてはならない存在だと思っている。
「シオンがこうして僕らが帰ってくる場所を守ってくれるおかげで、妖邪と戦ったり、トレーニングに集中できるんじゃないか。
僕たちを支えてくれる人に対して感謝の気持ちを向けることは間違いじゃないと思うけど」
「いや。それは俺もそう思うし、伸の言う通りだと思う……だけどな?
あー……はっきり言うぜ?気にかけすぎてるっつーか、距離が近くねえ?」
距離が、近い?
彼の言っている言葉の意味がいまいち理解できない。果たしてそうなのだろうか?
シオンはナスティとその祖父柳生博士と生活していたと聞く。それが突然僕を含め男五人が転がり込んできたのだ。
ナスティとは妖邪達が東京を襲撃した時からの付き合いだし、僕らの人となりも理解してくれている。だがシオンと共に過ごした時間はまだまだ短く、気を遣わせてしまうことも多いだろう。
だからこそ不便のないよう僕なりに配慮をしているつもりなのだが……。
「そんなキョトンとするなよな……。
シオンが掃除するぞってなったら真っ先に飛んでって手伝うだろ。買い出しだってなったら荷物持ちを申し出るし。
シオンが作ったメシだって、俺がウマい!って言おうとしたらそれを遮ってお前が褒めちまうしよ。
何より、俺たちがシオンと二人で話してたらすぐ割って入って来るじゃねえか。
いくらなんでも過保護が過ぎるんじゃねえの?」
シオンだってガキじゃねえんだからよ。あんまり構いすぎると嫌われるぜ?とシュウは言い放ち、僕の言葉を待たず布団をかぶってしまった。
僕はシュウから指摘されたことを反芻し、自分の行動を客観的に見つめ直していた。
シオンの傍からつかず離れずの距離を保ち。自分以外の存在と二人きりになるのを阻止する。それらを無意識的に行っているなんて。
「……そんなの、好きな女の子に取る態度じゃないか……」
途端に体温が上がっていく。ドクンドクンとまるで耳元で心臓が鳴っているようにうるさい。
参ったな。明日から今まで通りに振る舞えるだろうか。
カーテンの隙間からちらりと見える月に視線を向け、僕は長く息を吐き出した。