雑多
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「双葉から聞いたで。聖翔受けるんやって?」
「……シオンはん……耳が早いこと」
だだっ広い部屋の中央でコロンと横たわる女に俺はそう吐き捨てる。
制服のスカートを直す仕草も見せず、彼女・花柳香子は鬱陶しそうに呟いた。
「舞踊はもうせんのか?」
「やります〜。日舞以外も極めとうなったんや」
「まだ日舞極めたわけでもないやろ」
「やかましわ!」
当たり前のように彼女の隣に腰を下ろす。それでも寝転んだままの香子に内心溜息をもらし、ジャケットをそっとかけてやった。
決して長くないスカートから覗く健康的な太ももが眩しかったからだ。
当たり前のようにそれを受け入れ、香子は俺の方に体を寄せてくる。
むくれた面持ちではあるが、心からのものではない。俺たちにとってこういうやりとりは日常茶飯事なのだ。
「受験、一人で行くんか?」
「まさか!そないなわけあらへん。
双葉はんと一緒に行くんよ」
「……お前……双葉も巻き込むつもりか……?」
「巻き込むなんて人聞き悪い……双葉はんはうちのファンなんやし、一緒に来てもらわんと」
「わがままここに極まれりやないか……
せやけど」
寂しなるな。
そんな言葉が自然と口をついて出てきた。
あっ、と自覚したときにはもう遅い。
香子へ視線を移すと、赤くなりながらも嬉しそうに微笑んでいた。
あーー……やってもうた……。こんなつもりやなかったんやけど。
「シオンはんはうちが合格すること信じてくれてるんやねぇ??嬉しいわぁ」
「……アホ言い……そこまで考えとらん」
「せやったらなんで寂しいなんて言うたん?
聖翔の合格率は高いわけやないんよ??
うちが不合格にならへんって思てるからやろ??」
完全に失言や……さっきまで寝転んでた癖に、香子は身体を起こして俺の顔を覗き込みながら言葉を続けてくる。
香子の踊りの美しさはよう知ってる。
花が舞ってるんちゃうかと錯覚するくらいに、それはもう綺麗や。
馬鹿正直にそれを言うとこいつはすーぐ調子乗るからあんまり言わへんけど。
……香子の言う通り。
こいつの実力で不合格する未来なんて考えもせんかった。言い当てられたことがとにかく悔しくて悔しくてしゃーない。
「なぁ、なんか言うたらどうなんよ?」
ぴったりと体をくっつけて答えを催促してくる彼女から主導権を取り戻したくて。
ばっと腕を掴み、自分の方へ引き寄せた。
ぎゅっと抱きしめて、そのまま顎に手を添えて唇を奪う。
勢いを殺せなかったのか、少し歯が当たって、痛い。
それでも香子の唇は柔らかくて、ふんわり良い香りが鼻腔をくすぐった。
「この俺の許婚やねんから合格するのは当然やろ」
そう言ってのけて、もう一回キス。
香子は体の力が抜けたみたいで、俺に預けてきよる。
あー……耳まであっつ。
たまにはほんまの気持ちも伝えなあかんとは思うけど、慣れへん事はするもんとちゃうな。
せやけど、花に色がついたみたく真っ赤っかな香子はめちゃくちゃ可愛かったから良しとしたろ。
「……シオンはん……耳が早いこと」
だだっ広い部屋の中央でコロンと横たわる女に俺はそう吐き捨てる。
制服のスカートを直す仕草も見せず、彼女・花柳香子は鬱陶しそうに呟いた。
「舞踊はもうせんのか?」
「やります〜。日舞以外も極めとうなったんや」
「まだ日舞極めたわけでもないやろ」
「やかましわ!」
当たり前のように彼女の隣に腰を下ろす。それでも寝転んだままの香子に内心溜息をもらし、ジャケットをそっとかけてやった。
決して長くないスカートから覗く健康的な太ももが眩しかったからだ。
当たり前のようにそれを受け入れ、香子は俺の方に体を寄せてくる。
むくれた面持ちではあるが、心からのものではない。俺たちにとってこういうやりとりは日常茶飯事なのだ。
「受験、一人で行くんか?」
「まさか!そないなわけあらへん。
双葉はんと一緒に行くんよ」
「……お前……双葉も巻き込むつもりか……?」
「巻き込むなんて人聞き悪い……双葉はんはうちのファンなんやし、一緒に来てもらわんと」
「わがままここに極まれりやないか……
せやけど」
寂しなるな。
そんな言葉が自然と口をついて出てきた。
あっ、と自覚したときにはもう遅い。
香子へ視線を移すと、赤くなりながらも嬉しそうに微笑んでいた。
あーー……やってもうた……。こんなつもりやなかったんやけど。
「シオンはんはうちが合格すること信じてくれてるんやねぇ??嬉しいわぁ」
「……アホ言い……そこまで考えとらん」
「せやったらなんで寂しいなんて言うたん?
聖翔の合格率は高いわけやないんよ??
うちが不合格にならへんって思てるからやろ??」
完全に失言や……さっきまで寝転んでた癖に、香子は身体を起こして俺の顔を覗き込みながら言葉を続けてくる。
香子の踊りの美しさはよう知ってる。
花が舞ってるんちゃうかと錯覚するくらいに、それはもう綺麗や。
馬鹿正直にそれを言うとこいつはすーぐ調子乗るからあんまり言わへんけど。
……香子の言う通り。
こいつの実力で不合格する未来なんて考えもせんかった。言い当てられたことがとにかく悔しくて悔しくてしゃーない。
「なぁ、なんか言うたらどうなんよ?」
ぴったりと体をくっつけて答えを催促してくる彼女から主導権を取り戻したくて。
ばっと腕を掴み、自分の方へ引き寄せた。
ぎゅっと抱きしめて、そのまま顎に手を添えて唇を奪う。
勢いを殺せなかったのか、少し歯が当たって、痛い。
それでも香子の唇は柔らかくて、ふんわり良い香りが鼻腔をくすぐった。
「この俺の許婚やねんから合格するのは当然やろ」
そう言ってのけて、もう一回キス。
香子は体の力が抜けたみたいで、俺に預けてきよる。
あー……耳まであっつ。
たまにはほんまの気持ちも伝えなあかんとは思うけど、慣れへん事はするもんとちゃうな。
せやけど、花に色がついたみたく真っ赤っかな香子はめちゃくちゃ可愛かったから良しとしたろ。