青春鉄道
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事後のだるい身体のまま、ぼんやりベッドの中で寝転がっていると高崎さんがそっと髪を撫でてくれた。優しいその手の心地良さに、目を閉じたままうとうとしていると彼がくすりとおかしそうに笑う気配がした。
「眠いか?」
「……だいじょぶ、です」
今すぐ寝てしまいそうというほどは眠くないけど目を閉じているのは、高崎さんに髪を撫でられるのが気持ちいいからだ。頭を撫でられるとすごく安心するから好き。
彼は私を寝かせたいみたいだけど、私の方はと言うと彼ともっと話をしていたかった。体を重ねたあとってなんだかふわふわして、どこか夢見心地な気分になるから何か話をして現実に戻りたかった。
「ねぇ……、何かお話ししてください」
ごろんと寝返りを打って見上げるように彼を見つめると、しょうがねえなと苦笑した。
「なんだよ、俺ともっと話がしたいのか?」
からかうような響きがあるけれど、やっぱり声色はとても優しい。高崎さんのこういうところが大好きだ。私が甘えた態度をとると喜ぶから、ついつい甘えたくなってしまう。
私は頷いて彼の首に腕を回した。
「うん。お話聞きたいです。何か楽しい話してください」
「いきなり言われてもなー……」
眉根を寄せて困ったように考え込むその表情も大好きだ。それをぼーっと見つめていると、何か話題を思い付いたようで口を開いた。
「じゃあ国鉄時代にあんぱんはつぶあん派かこしあん派かで戦争した話でもしてやるよ」
「なんて?」
思わず素で聞き返してしまったけど、高崎さんは気にせず続ける。
「民営化の影響で、売店のあんぱんの種類がつぶあんかこしあんに統一されることになったから、東海道本線と宇都宮をそれぞれ大将にして戦ったんだよ」
なんだか思ったよりすごい話が出てきてしまった。というかこれピロートークでするような話なのだろうか?話振った私が悪いといえばそうなのだけれど。
なんかさっきまでのふわふわした気持ちが吹っ飛んじゃった気がする。……まあいっか、高崎さん楽しそうだし。
「それで結局どっちが勝ったんですか?」
「東海道上官に見つかってみんなで減給1ヶ月食らった」
「わぁお」
しょうもないオチだった。ちょっと拍子抜けしたけれど、そんなくだらない会話も高崎さんらしくて笑ってしまう。
「笑うなよ」と言って拗ねたふりをする高崎さんも可愛くて、また笑いが込み上げてきた。
高崎さんの機嫌を取るみたいに頬や首筋にちゅっちゅと音を立ててキスをすればすぐに機嫌が治ったようだ。ちょろいぜ。
「まぁなんだかんだ楽しかったなーって思うぜ」
そう語る高崎さんはどこか遠い目をしていた。きっとその当時を思い出して懐かしんでいるのだろう。
「ちなみに高崎さんはどっち派だったんですか?」
なんとなく気になったので尋ねると、高崎さんは一瞬きょとんとした顔をしてからにやりと笑った。
「俺は条件のいい方に着くだけだからな!二重スパイしてたぜ」
「裏切り者だ!」
冗談めかして言ってみたら、高崎さんは豪快に笑ってくれた。彼も大概ノリがいいよなぁと思う。
「笑ったら腹減ったわ!カップラーメンあったっけ?」
起き上がってベッドから出ようとしたので慌てて止めた。
「うちの家のやつは全部高崎さんが食べちゃったんですよ……」
「あ、そうだっけか」
それを聞くや否や服を着替え始めた。そんなに食べたいんだ……。高崎さんって妙なところで行動力がすごい。
「コンビニ行ってくるわ。ついでになんか買ってくるもんあるか?」
「えーとじゃあアイスお願いします」
了解と言って財布を片手に出て行った高崎さんを見送る。元気だなぁ……。まだ私疲れてるんだけどなぁ。
しばらくはベッドの上でごろんごろんと寝返りを打っていたがそれも飽きてきた。
彼が帰ってきたらすぐ食べられるようにお湯を沸かしておいてあげようか。私はなんていい彼女なのだろうか、なんて自画自賛しながら、気だるい体を起こして適当なTシャツを取る。あ……これ高崎さんのだ、まぁいいか拝借しちゃえ。あとは適当に下着を着けてからぺたぺたと歩いてリビングまで向かい、ケトルに水を入れてスイッチを入れた。
お湯を沸かしている間、ソファの上で体育座りをしながらぼーっとしながら待っているとガチャリとドアが開く音がした。反射的にそちらを向くと高崎さんが入ってきていた。
「おかえりなしゃい……」
ぼんやりしていたからか自分でもびっくりするほどふにゃふにゃとした声が出た。それを聞いた高崎さんは一瞬固まった後吹き出した。
「可愛いなぁお前」
よしよしと頭を撫でられながら言われるものだから恥ずかしくなってきた。ゔーと唸り声を上げて威嚇すると、高崎さんはごめんごめんと笑って謝ってくれた。反省してない顔だこれ。
「ほらアイス買ってきたぞー」
そう言って渡されたビニール袋の中には雪見だいふくが入っていた。うんうん、わかってるなぁ高崎さんは。さっきのことはアイスのチョイスに免じて許してあげよう。
「ありがとうございます。あ、お湯沸かしておきましたよ」
「お前は可愛い上に気が効くな〜よしよし〜」
うりゃーと言いながら抱き上げられ、膝の上に乗せられた。そのままぎゅっと抱きしめられたので背中に手を回して応えると嬉しそうな顔をされた。かわいい。
「つーか俺のTシャツ着てるし」
「バレたか」
バレないわけがなかったのだが、改めて指摘されるとなんだか照れてしまう。しかし当の高崎さんはあまり気にしておらずむしろ嬉しそうだった。
「やっぱいいよなぁ、彼シャツ」
あまりにもしみじみと言うものだから「おじさんくさいですよ」と指摘したらショック受けた顔をした。
「お前、恋人に向かっておじさんとか言うなよ」
口を尖らせて拗ねたかと思うとぐりぐり額を押し付けられてくすぐったくて仕方ない。いやいやだってあなた今大体140歳くらいじゃありませんでしたっけ、という言葉は飲み込んだ。まぁ人間と路線じゃ時間感覚とか違うもんね……見た目は若いわけだし。
「そんなことよりお湯冷めちゃいますよ」
「なまえが可愛すぎてどうでも良くなった」
なんだそれと思いつつも満更でもない気持ちになる。
私だって同じ気持ちだ。とはいえ雪見だいふくが溶けては大変なので、なんとか宥めすかして彼の膝の上から抜け出した。
「ちぇっ」と残念そうな声が聞こえたものの無視してキッチンに向かう。私は出来た彼女なので彼のカップラーメンを作ってあげるのだ。お湯入れるだけだけど。
パッケージに書いてある激辛の文字を見て、相変わらず辛いもの好きなんだなぁなんて考えながらカップの内側の線までお湯を入れる。
「はいどーぞ3分待ってね」
テーブルに置くと早く食べたいとばかりにソワソワし始める高崎さんの姿がなんだか子供みたいで可愛らしい。
私もアイス食べちゃお、と隣に腰掛けて蓋を外した。一口食べると口の中に冷たさが広がると同時に甘さが広がる。幸せの味だ。
ちらりと隣を見ると高崎さんが勢いよく麺を口に運んでいるところだった。いい食べっぷりだなあと思いながら見つめていたら視線に気付いたようで手を止めてこちらを見た。
目が合うとふっと微笑まれてドキッとする。なんでこの人はこんな仕草一つでドキドキさせるんだろう。ずるい人だ。
「美味しいですか?」
照れ隠しも兼ねて聞いてみたら満面の笑みで頷かれた。本当に美味しそうに食べるなあ。
そんなことを考えているうちにあっという間に完食してしまったようだ。最後にスープを飲み干してぷはぁと息を吐いた様子を見て思わず吹き出す。
「ふふ、ごちそうさまでした」
そういうと高崎さんも笑っていた。満足したようなので喜ばしい限りだ。
それから二人でベッドに横になってごろごろしながら他愛のない話をしたり、たまにキスをしたりしているうちにだんだん眠くなってきた。
うつらうつらとしていると不意に声をかけられる。
「抱き枕になってくれ」
なんじゃそりゃ、とちょっと思ったけど、私としても願ったり叶ったりだったので返事の代わりに彼の胸元に顔を埋めた。すぐにぎゅう、と抱きしめられたのでその感覚に安心しながら意識を手放したのだった。
「眠いか?」
「……だいじょぶ、です」
今すぐ寝てしまいそうというほどは眠くないけど目を閉じているのは、高崎さんに髪を撫でられるのが気持ちいいからだ。頭を撫でられるとすごく安心するから好き。
彼は私を寝かせたいみたいだけど、私の方はと言うと彼ともっと話をしていたかった。体を重ねたあとってなんだかふわふわして、どこか夢見心地な気分になるから何か話をして現実に戻りたかった。
「ねぇ……、何かお話ししてください」
ごろんと寝返りを打って見上げるように彼を見つめると、しょうがねえなと苦笑した。
「なんだよ、俺ともっと話がしたいのか?」
からかうような響きがあるけれど、やっぱり声色はとても優しい。高崎さんのこういうところが大好きだ。私が甘えた態度をとると喜ぶから、ついつい甘えたくなってしまう。
私は頷いて彼の首に腕を回した。
「うん。お話聞きたいです。何か楽しい話してください」
「いきなり言われてもなー……」
眉根を寄せて困ったように考え込むその表情も大好きだ。それをぼーっと見つめていると、何か話題を思い付いたようで口を開いた。
「じゃあ国鉄時代にあんぱんはつぶあん派かこしあん派かで戦争した話でもしてやるよ」
「なんて?」
思わず素で聞き返してしまったけど、高崎さんは気にせず続ける。
「民営化の影響で、売店のあんぱんの種類がつぶあんかこしあんに統一されることになったから、東海道本線と宇都宮をそれぞれ大将にして戦ったんだよ」
なんだか思ったよりすごい話が出てきてしまった。というかこれピロートークでするような話なのだろうか?話振った私が悪いといえばそうなのだけれど。
なんかさっきまでのふわふわした気持ちが吹っ飛んじゃった気がする。……まあいっか、高崎さん楽しそうだし。
「それで結局どっちが勝ったんですか?」
「東海道上官に見つかってみんなで減給1ヶ月食らった」
「わぁお」
しょうもないオチだった。ちょっと拍子抜けしたけれど、そんなくだらない会話も高崎さんらしくて笑ってしまう。
「笑うなよ」と言って拗ねたふりをする高崎さんも可愛くて、また笑いが込み上げてきた。
高崎さんの機嫌を取るみたいに頬や首筋にちゅっちゅと音を立ててキスをすればすぐに機嫌が治ったようだ。ちょろいぜ。
「まぁなんだかんだ楽しかったなーって思うぜ」
そう語る高崎さんはどこか遠い目をしていた。きっとその当時を思い出して懐かしんでいるのだろう。
「ちなみに高崎さんはどっち派だったんですか?」
なんとなく気になったので尋ねると、高崎さんは一瞬きょとんとした顔をしてからにやりと笑った。
「俺は条件のいい方に着くだけだからな!二重スパイしてたぜ」
「裏切り者だ!」
冗談めかして言ってみたら、高崎さんは豪快に笑ってくれた。彼も大概ノリがいいよなぁと思う。
「笑ったら腹減ったわ!カップラーメンあったっけ?」
起き上がってベッドから出ようとしたので慌てて止めた。
「うちの家のやつは全部高崎さんが食べちゃったんですよ……」
「あ、そうだっけか」
それを聞くや否や服を着替え始めた。そんなに食べたいんだ……。高崎さんって妙なところで行動力がすごい。
「コンビニ行ってくるわ。ついでになんか買ってくるもんあるか?」
「えーとじゃあアイスお願いします」
了解と言って財布を片手に出て行った高崎さんを見送る。元気だなぁ……。まだ私疲れてるんだけどなぁ。
しばらくはベッドの上でごろんごろんと寝返りを打っていたがそれも飽きてきた。
彼が帰ってきたらすぐ食べられるようにお湯を沸かしておいてあげようか。私はなんていい彼女なのだろうか、なんて自画自賛しながら、気だるい体を起こして適当なTシャツを取る。あ……これ高崎さんのだ、まぁいいか拝借しちゃえ。あとは適当に下着を着けてからぺたぺたと歩いてリビングまで向かい、ケトルに水を入れてスイッチを入れた。
お湯を沸かしている間、ソファの上で体育座りをしながらぼーっとしながら待っているとガチャリとドアが開く音がした。反射的にそちらを向くと高崎さんが入ってきていた。
「おかえりなしゃい……」
ぼんやりしていたからか自分でもびっくりするほどふにゃふにゃとした声が出た。それを聞いた高崎さんは一瞬固まった後吹き出した。
「可愛いなぁお前」
よしよしと頭を撫でられながら言われるものだから恥ずかしくなってきた。ゔーと唸り声を上げて威嚇すると、高崎さんはごめんごめんと笑って謝ってくれた。反省してない顔だこれ。
「ほらアイス買ってきたぞー」
そう言って渡されたビニール袋の中には雪見だいふくが入っていた。うんうん、わかってるなぁ高崎さんは。さっきのことはアイスのチョイスに免じて許してあげよう。
「ありがとうございます。あ、お湯沸かしておきましたよ」
「お前は可愛い上に気が効くな〜よしよし〜」
うりゃーと言いながら抱き上げられ、膝の上に乗せられた。そのままぎゅっと抱きしめられたので背中に手を回して応えると嬉しそうな顔をされた。かわいい。
「つーか俺のTシャツ着てるし」
「バレたか」
バレないわけがなかったのだが、改めて指摘されるとなんだか照れてしまう。しかし当の高崎さんはあまり気にしておらずむしろ嬉しそうだった。
「やっぱいいよなぁ、彼シャツ」
あまりにもしみじみと言うものだから「おじさんくさいですよ」と指摘したらショック受けた顔をした。
「お前、恋人に向かっておじさんとか言うなよ」
口を尖らせて拗ねたかと思うとぐりぐり額を押し付けられてくすぐったくて仕方ない。いやいやだってあなた今大体140歳くらいじゃありませんでしたっけ、という言葉は飲み込んだ。まぁ人間と路線じゃ時間感覚とか違うもんね……見た目は若いわけだし。
「そんなことよりお湯冷めちゃいますよ」
「なまえが可愛すぎてどうでも良くなった」
なんだそれと思いつつも満更でもない気持ちになる。
私だって同じ気持ちだ。とはいえ雪見だいふくが溶けては大変なので、なんとか宥めすかして彼の膝の上から抜け出した。
「ちぇっ」と残念そうな声が聞こえたものの無視してキッチンに向かう。私は出来た彼女なので彼のカップラーメンを作ってあげるのだ。お湯入れるだけだけど。
パッケージに書いてある激辛の文字を見て、相変わらず辛いもの好きなんだなぁなんて考えながらカップの内側の線までお湯を入れる。
「はいどーぞ3分待ってね」
テーブルに置くと早く食べたいとばかりにソワソワし始める高崎さんの姿がなんだか子供みたいで可愛らしい。
私もアイス食べちゃお、と隣に腰掛けて蓋を外した。一口食べると口の中に冷たさが広がると同時に甘さが広がる。幸せの味だ。
ちらりと隣を見ると高崎さんが勢いよく麺を口に運んでいるところだった。いい食べっぷりだなあと思いながら見つめていたら視線に気付いたようで手を止めてこちらを見た。
目が合うとふっと微笑まれてドキッとする。なんでこの人はこんな仕草一つでドキドキさせるんだろう。ずるい人だ。
「美味しいですか?」
照れ隠しも兼ねて聞いてみたら満面の笑みで頷かれた。本当に美味しそうに食べるなあ。
そんなことを考えているうちにあっという間に完食してしまったようだ。最後にスープを飲み干してぷはぁと息を吐いた様子を見て思わず吹き出す。
「ふふ、ごちそうさまでした」
そういうと高崎さんも笑っていた。満足したようなので喜ばしい限りだ。
それから二人でベッドに横になってごろごろしながら他愛のない話をしたり、たまにキスをしたりしているうちにだんだん眠くなってきた。
うつらうつらとしていると不意に声をかけられる。
「抱き枕になってくれ」
なんじゃそりゃ、とちょっと思ったけど、私としても願ったり叶ったりだったので返事の代わりに彼の胸元に顔を埋めた。すぐにぎゅう、と抱きしめられたのでその感覚に安心しながら意識を手放したのだった。
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