ライドカメンズ
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「あー!!また外したー!」
最近ハマっているアプリゲームで推しを引くためにガチャを回し続けている私だが、何度回そうと全く出る気配がない。
あまりの出なさにじたばた暴れていると、近くで絵を描いていた神威さんにほっぺをぐいーっと伸ばされた。
「にゃにするんでひゅか」
「うるさいぞクロ。俺の創作の邪魔だ」
「だって!いくら引いても出ないから!!」
スマホを振り回しながらの必死の訴えにも動じることなく、彼は面倒くさそうにため息をつくだけだ。
興味なさそー……いやまあそりゃそうか。基本的に自分以外に興味ないもんね、神威さん。
でも私のことはわりと気にかけてくれるし好きって言ってくれるのだえへへ。
ふにゃりと緩む表情筋を自覚しながら内心惚気ていると、神威さんが突然真顔になってこっちに視線を向けてきた。思わず身構える私に向かって彼は言う。
「俺がいるのに他の奴に気を向けるのか?」
不貞腐れたように言われたその言葉に胸がきゅんとした。あの神威さんが拗ねてる……!!
初めて会った時はこんな関係になるなんて思ってなかったけどさ。付き合ってみれば意外と優しくしてくれるし、大事にされていると感じるので、愛されてるなぁ私……と幸せを噛み締めたがそれはそれ、これはこれ。
「推しと恋人は違うんですー!よし、もう10連……もう10連だけだから……」
慣れた手つきで課金してガチャを引く。演出を見ながら必死にお祈りするが……結果はもちろん惨敗。
財閥令嬢なのだから出るまで課金すればいいじゃんと言われそうだけど、あまりゲームに課金するとレオンに怒られるから……。
「うわぁーんまた外したぁー!!!」
もうやだこのクソゲー!!!こうなったら絶対当ててやるからな!推しが出るまでやめないぞ私は!!!
なんて意気込んでスマホを握りしめていると、不意に後ろから伸びてきた手が私の手からそれを取り上げてしまった。
「ちょっと!?」
抗議のために振り向くと、不機嫌そうに眉根を寄せた彼が真後ろにいた。スマホを取り返そうにも彼との身長差では全然届かない。
「お前は馬鹿なのか?そんなくだらんものに金を使うな」
「くだらなくないもん!推しが出れば私は幸せなんですぅー!!」
ふんっと鼻を鳴らすと呆れたように溜息をつかれた。解せぬ。
神威さんのことは好きだ。本当に大好きだけどそれとこれとは別である。私は自分の欲望には正直なんだ。何としてでも推しを引いて愛でるのだ。
「スマホ返してくださーい!課金させてくださーい!」
両手を差し出して懇願すれば再び深いため息をつかれた。そしてそのまま腕を掴まれて引き寄せられてしまった。
咄嵯のことで対応できずにぽすん、と彼の胸元に収まる形になる。抵抗せずにされるがままでいたら背中をぽんぽんされた。
「ねー神威さん、1回ガチャ引いてみてくださいよ」
ね?と甘えるようにお願いする。世の中には物欲センサーなるものがあるらしいので、無欲の神威さんなら私の推しを引けるかもしれないと思ったのだ。
「しつこいぞクロ。これ以上騒ぐなら唇を塞いで黙らせるぞ」
返ってきた言葉はなんともつれないものだった。しかもなんとも素敵な脅し文句付きである。
「ちょっと画面タップするだけの簡単なお仕事ですよ?なんでやってくれないんですかぁ……」
じろりと見上げると呆れた顔の彼と目が合った。
「そもそも何故そこまで欲しいんだ?たかがデータだろう。こんなものの為に大金をつぎ込むなど理解に苦しむ」
心底理解できないといった風な表情で首を傾げる彼を見て思う。まったく、神威さんは推しの尊さをわかってないなぁ!
「推しというものはですね、この世に存在してるだけでありがたいし、グッズを手に入れることで日々の生活が潤うんですよぉ〜!それにこうやって投資することで推しの為にもなるんですから!」
熱弁しつつ力説してみるもののいまいちピンと来ていないらしく、怪訝そうな顔をしたままだった。ううむ、やはり布教は難しいか……。
「だいたい推しとはなんだ。そんなものより俺を見ろ」
そう言って顎を持ち上げられ至近距離で見つめられた。綺麗な瞳に射抜かれて心臓が跳ねる。
「推しっていうのは好きで応援したい人のことを指す言葉でっ……」
熱弁する私を遮って口付けられる。不意打ちだったので避けることもできずされるがままになってしまう。そのまま貪る様なキスが続いた後、ようやく解放された頃にはすっかり息が上がっていた。
肩で息をしながら涙目で睨むが効果はないようだ。それどころか楽しそうな表情を浮かべている始末である。
この人はいつもそうだ。こっちの気持ちなんてお構いなしで好き勝手してくるんだから。でも不思議と嫌じゃない自分がいるのも事実なので手に負えない。
「……お前が好きなのは誰だ?」
耳元で低く囁かれてぞくりとする。ずるい聞き方だなぁもう……!
ぎゅっと服の裾を握って恥ずかしさに耐えながらも小さく答える。
「……そんなの神威さんに決まってるじゃないですかばかぁ……」
真っ赤になってしまった顔を両手で覆う。恥ずかしくて死にそうだ。
そんな私を見て満足そうな顔をしたあともう一度キスされる。今度は触れるだけの優しいものだ。
「それでいい。俺だけを見ていろ」
優しく頭を撫でながら言われて胸の奥がきゅんとなる。なんかもう推しとかそういうの全部吹っ飛んでいってしまった。今はただただ目の前にいるこの人への愛しさが募っていくばかりだ。
「はぁい……」
我ながらちょろいなと思う。でもいいのだ、好きな人からの甘い言葉に逆らえるわけがないのだから。
こうして今日も彼に絆されていくのだった。
ちなみにその後、ダメ元で泣きの10連ガチャをしたらあっさり推しが出た。
画面の向こうの推しにデレデレしていたら、神威さんにしばらく口をきいてもらえず、埋め合わせと称して機嫌が直るまで色々と世話を焼く羽目になったのはまた別の話。
最近ハマっているアプリゲームで推しを引くためにガチャを回し続けている私だが、何度回そうと全く出る気配がない。
あまりの出なさにじたばた暴れていると、近くで絵を描いていた神威さんにほっぺをぐいーっと伸ばされた。
「にゃにするんでひゅか」
「うるさいぞクロ。俺の創作の邪魔だ」
「だって!いくら引いても出ないから!!」
スマホを振り回しながらの必死の訴えにも動じることなく、彼は面倒くさそうにため息をつくだけだ。
興味なさそー……いやまあそりゃそうか。基本的に自分以外に興味ないもんね、神威さん。
でも私のことはわりと気にかけてくれるし好きって言ってくれるのだえへへ。
ふにゃりと緩む表情筋を自覚しながら内心惚気ていると、神威さんが突然真顔になってこっちに視線を向けてきた。思わず身構える私に向かって彼は言う。
「俺がいるのに他の奴に気を向けるのか?」
不貞腐れたように言われたその言葉に胸がきゅんとした。あの神威さんが拗ねてる……!!
初めて会った時はこんな関係になるなんて思ってなかったけどさ。付き合ってみれば意外と優しくしてくれるし、大事にされていると感じるので、愛されてるなぁ私……と幸せを噛み締めたがそれはそれ、これはこれ。
「推しと恋人は違うんですー!よし、もう10連……もう10連だけだから……」
慣れた手つきで課金してガチャを引く。演出を見ながら必死にお祈りするが……結果はもちろん惨敗。
財閥令嬢なのだから出るまで課金すればいいじゃんと言われそうだけど、あまりゲームに課金するとレオンに怒られるから……。
「うわぁーんまた外したぁー!!!」
もうやだこのクソゲー!!!こうなったら絶対当ててやるからな!推しが出るまでやめないぞ私は!!!
なんて意気込んでスマホを握りしめていると、不意に後ろから伸びてきた手が私の手からそれを取り上げてしまった。
「ちょっと!?」
抗議のために振り向くと、不機嫌そうに眉根を寄せた彼が真後ろにいた。スマホを取り返そうにも彼との身長差では全然届かない。
「お前は馬鹿なのか?そんなくだらんものに金を使うな」
「くだらなくないもん!推しが出れば私は幸せなんですぅー!!」
ふんっと鼻を鳴らすと呆れたように溜息をつかれた。解せぬ。
神威さんのことは好きだ。本当に大好きだけどそれとこれとは別である。私は自分の欲望には正直なんだ。何としてでも推しを引いて愛でるのだ。
「スマホ返してくださーい!課金させてくださーい!」
両手を差し出して懇願すれば再び深いため息をつかれた。そしてそのまま腕を掴まれて引き寄せられてしまった。
咄嵯のことで対応できずにぽすん、と彼の胸元に収まる形になる。抵抗せずにされるがままでいたら背中をぽんぽんされた。
「ねー神威さん、1回ガチャ引いてみてくださいよ」
ね?と甘えるようにお願いする。世の中には物欲センサーなるものがあるらしいので、無欲の神威さんなら私の推しを引けるかもしれないと思ったのだ。
「しつこいぞクロ。これ以上騒ぐなら唇を塞いで黙らせるぞ」
返ってきた言葉はなんともつれないものだった。しかもなんとも素敵な脅し文句付きである。
「ちょっと画面タップするだけの簡単なお仕事ですよ?なんでやってくれないんですかぁ……」
じろりと見上げると呆れた顔の彼と目が合った。
「そもそも何故そこまで欲しいんだ?たかがデータだろう。こんなものの為に大金をつぎ込むなど理解に苦しむ」
心底理解できないといった風な表情で首を傾げる彼を見て思う。まったく、神威さんは推しの尊さをわかってないなぁ!
「推しというものはですね、この世に存在してるだけでありがたいし、グッズを手に入れることで日々の生活が潤うんですよぉ〜!それにこうやって投資することで推しの為にもなるんですから!」
熱弁しつつ力説してみるもののいまいちピンと来ていないらしく、怪訝そうな顔をしたままだった。ううむ、やはり布教は難しいか……。
「だいたい推しとはなんだ。そんなものより俺を見ろ」
そう言って顎を持ち上げられ至近距離で見つめられた。綺麗な瞳に射抜かれて心臓が跳ねる。
「推しっていうのは好きで応援したい人のことを指す言葉でっ……」
熱弁する私を遮って口付けられる。不意打ちだったので避けることもできずされるがままになってしまう。そのまま貪る様なキスが続いた後、ようやく解放された頃にはすっかり息が上がっていた。
肩で息をしながら涙目で睨むが効果はないようだ。それどころか楽しそうな表情を浮かべている始末である。
この人はいつもそうだ。こっちの気持ちなんてお構いなしで好き勝手してくるんだから。でも不思議と嫌じゃない自分がいるのも事実なので手に負えない。
「……お前が好きなのは誰だ?」
耳元で低く囁かれてぞくりとする。ずるい聞き方だなぁもう……!
ぎゅっと服の裾を握って恥ずかしさに耐えながらも小さく答える。
「……そんなの神威さんに決まってるじゃないですかばかぁ……」
真っ赤になってしまった顔を両手で覆う。恥ずかしくて死にそうだ。
そんな私を見て満足そうな顔をしたあともう一度キスされる。今度は触れるだけの優しいものだ。
「それでいい。俺だけを見ていろ」
優しく頭を撫でながら言われて胸の奥がきゅんとなる。なんかもう推しとかそういうの全部吹っ飛んでいってしまった。今はただただ目の前にいるこの人への愛しさが募っていくばかりだ。
「はぁい……」
我ながらちょろいなと思う。でもいいのだ、好きな人からの甘い言葉に逆らえるわけがないのだから。
こうして今日も彼に絆されていくのだった。
ちなみにその後、ダメ元で泣きの10連ガチャをしたらあっさり推しが出た。
画面の向こうの推しにデレデレしていたら、神威さんにしばらく口をきいてもらえず、埋め合わせと称して機嫌が直るまで色々と世話を焼く羽目になったのはまた別の話。