ライドカメンズ
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「じぃーーーーっ」
絵を描いている神威さんを後ろからじとっとした目で観察する。
神威為士という男はとにかく普通じゃないというか、自分の美しさ以外はどうでもいいみたいな人だ。
まさにナルシストという言葉の化身のような人。でもまぁなんだかんだで悪い人じゃないし、彼の絵画は結構好き。
そして彼のことも好き……なのだけれど、最近悩んでいることがある。
それは、神威さんが私のことを本当に好きなのかということだ。自分以外はどうでもいいと豪語する彼に、本当に好かれているのか不安で仕方がない。
というか告白してOKをもらったという事実がいまだに信じられないのだ。……OKもらったんだよね?なんか不安になってきたぞ。
もやもやとした気持ちになりながら神威さんをじとっとした目で睨む作業に戻る。しばらくして、やっと彼は私の視線に気づいたようだ。
「どうしたクロ?俺の美しさに見とれたか?」
「いや……まぁ、はい」
「ふふん、やはりな」
彼は得意げに笑った後、また絵を描き始める。その後ろ姿をじーっと見つめる。やっぱりかっこいいんだよなぁ……この人。でも本当に私のこと好きなのかな?なんか自信なくなってきちゃったな。神威さんかっこいいし、しょっちゅう女の人に声かけられてるし。本人が全く興味がなさそうなのが救いだけど。
ため息をひとつついた後、今度は彼の隣に座りその横顔を盗み見た。
長いまつ毛や艶のある唇、そしてすらりとした鼻梁から綺麗な目へと至る造形美が芸術品のように思える。うんうん、いつ見ても思わず見惚れてしまう程整った顔立ちだ。
黙っていれば本当にかっこいい。話すと途端に残念な人になってしまうが。
そんな失礼なことを考えていると、不意にこちらを向いた彼とばっちり目が合ってしまったので慌てて目を逸らした。
くそう、相変わらず顔が良すぎるな……。
なんだかちょっと腹が立ったので、ぐりぐりと頭を彼の肩に押しつけることで溜飲を下げる。
「邪魔だ」
「うぐー」
私のささやかな反抗も虚しく、鬱陶しそうに私の頭を押し返すと、再び作業に戻ってしまった。ちょっとくらい甘えさせてよ!という気持ちを込め、さらに体重をかけるが結果は同じだ。あぁもう全然効果がない!
あまりにも無反応・無関心を貫かれると私って本当に愛されてるのかな?と不安になる。
「神威さん」
「なんだ?」
返事はしてくれるものの、彼は筆を止めることはない。
私は意を決して口を開いた。
「……私のこと本当に好き?」
神威さんの筆が止まった。
聞いちゃった、聞いてしまった。こんなこと言うつもりは全然なかったのに。でも一度口に出した言葉はもう取り消せない。
神威さんの顔が見れない、どうしよう。沈黙が痛い。やっぱり聞かなければよかったかもしれない。後悔しても後の祭りだ。
恐る恐る彼の方を見ると、彼はきょとんとした顔でこちらを見ていた。……あれ?思った反応と違うな?
彼はそのまま私を暫し見つめた後、ふっと笑った。そして耳元に口を寄せると囁くような声音で言う。
「……愚問だな、クロ」
驚いて顔を上げると、すぐ目の前に神威さんの顔があり息を呑む。 彼は私の頬に手を当てると顔を近づけてきてあっという間に距離がゼロになった。唇に柔らかいものが押し付けられる感覚がして目を見開くと、彼がゆっくり離れていくのが見えた。
「これで満足か?俺はこんなにもお前を愛しているというのに、まだ足りないとは……欲張りなやつめ」
神威さんは満足そうに笑みを浮かべると、何事もなかったかのように再び筆を動かし始めた。
私はというと、完全に脳の処理が停止していた。やっと状況を理解した後はもう顔を真っ赤にして狼狽える事しか出来ないわけで。
え?そういう感じ?神威さんってそういう人だったっけ?混乱しつつも彼の唇の感触を思い出して悶絶していた。
神威さんってもっとこう、他人に一切興味ないみたいな人だと思ってたんだけど、意外と情熱的というか……ちゃんと好きって言ってくれるんだ。意外な事実を知って胸がときめく。
「神威さんってもっとこう……ドライな感じだと思ってました」
「ほう?」
神威さんは手を止めると私を見た。その目はどこか楽しそうだ。
私はドキドキしながらも言葉を続ける。
「だから、その……好きとかあんまり言わない人なのかなって」
「それで?お前は、俺に愛されている実感が欲しかったわけだ」
彼の言葉にコクリとうなずく。神威さんはまたフンと鼻で笑う。
「お前はつくづく面倒な女だな」
「ひどいっ!」
神威さんの言葉にショックを受ける。そうストレートに言われると私だって傷つく。でも確かに面倒臭い女だな、うん。
「ごめんなさい……」
しょんぼりしながら謝ると神威さんはまた鼻で笑う。
そして私の顎を掴むと強引に上を向かせた。突然の行動に目を白黒させる私を見て彼はニヤリと笑った。その笑顔は妖艶でどこか色っぽい。思わず見惚れてしまう程だ。
「だが、まぁ……悪くない。お前のそういう所も俺は好きだ」
またしても軽く啄むだけのキス。でも今度は少し長くて、角度を変えて何度も何度も繰り返される。
「んっ……んん……」
唇が離れたときにはもう酸欠で息も絶え絶えだった。そんな私を面白そうに見下ろしている神威さんをキッと睨むが、全く効果がないようだ。
「なんだ、もう終わりなのか?俺はまだ足りんが」
神威さんはそう言うと再び顔を寄せてきたので慌てて手で押し返す。
「おしまい!おしまいです!もう十分です!ありがとうございました!!」
これ以上されたら心臓がもたないと、私は必死に抵抗した。それが成功したのか神威さんはつまらなそうに舌打ちすると、再び作業に戻った。よかったよかった。
あまり作業の邪魔をするのも良くないのでそろそろお暇しようかな。神威さんは絵を描くことに集中し始めたのか、もう私のことなど見向きもしなかった。
部屋を出る前に一度振り返り、「また来ますね」と声をかけると、軽く手を振られた。なんだかんだ言っても優しい人なんだよね……。神威さんの顔を見て微笑むと、廃ホテルを後にした。
絵を描いている神威さんを後ろからじとっとした目で観察する。
神威為士という男はとにかく普通じゃないというか、自分の美しさ以外はどうでもいいみたいな人だ。
まさにナルシストという言葉の化身のような人。でもまぁなんだかんだで悪い人じゃないし、彼の絵画は結構好き。
そして彼のことも好き……なのだけれど、最近悩んでいることがある。
それは、神威さんが私のことを本当に好きなのかということだ。自分以外はどうでもいいと豪語する彼に、本当に好かれているのか不安で仕方がない。
というか告白してOKをもらったという事実がいまだに信じられないのだ。……OKもらったんだよね?なんか不安になってきたぞ。
もやもやとした気持ちになりながら神威さんをじとっとした目で睨む作業に戻る。しばらくして、やっと彼は私の視線に気づいたようだ。
「どうしたクロ?俺の美しさに見とれたか?」
「いや……まぁ、はい」
「ふふん、やはりな」
彼は得意げに笑った後、また絵を描き始める。その後ろ姿をじーっと見つめる。やっぱりかっこいいんだよなぁ……この人。でも本当に私のこと好きなのかな?なんか自信なくなってきちゃったな。神威さんかっこいいし、しょっちゅう女の人に声かけられてるし。本人が全く興味がなさそうなのが救いだけど。
ため息をひとつついた後、今度は彼の隣に座りその横顔を盗み見た。
長いまつ毛や艶のある唇、そしてすらりとした鼻梁から綺麗な目へと至る造形美が芸術品のように思える。うんうん、いつ見ても思わず見惚れてしまう程整った顔立ちだ。
黙っていれば本当にかっこいい。話すと途端に残念な人になってしまうが。
そんな失礼なことを考えていると、不意にこちらを向いた彼とばっちり目が合ってしまったので慌てて目を逸らした。
くそう、相変わらず顔が良すぎるな……。
なんだかちょっと腹が立ったので、ぐりぐりと頭を彼の肩に押しつけることで溜飲を下げる。
「邪魔だ」
「うぐー」
私のささやかな反抗も虚しく、鬱陶しそうに私の頭を押し返すと、再び作業に戻ってしまった。ちょっとくらい甘えさせてよ!という気持ちを込め、さらに体重をかけるが結果は同じだ。あぁもう全然効果がない!
あまりにも無反応・無関心を貫かれると私って本当に愛されてるのかな?と不安になる。
「神威さん」
「なんだ?」
返事はしてくれるものの、彼は筆を止めることはない。
私は意を決して口を開いた。
「……私のこと本当に好き?」
神威さんの筆が止まった。
聞いちゃった、聞いてしまった。こんなこと言うつもりは全然なかったのに。でも一度口に出した言葉はもう取り消せない。
神威さんの顔が見れない、どうしよう。沈黙が痛い。やっぱり聞かなければよかったかもしれない。後悔しても後の祭りだ。
恐る恐る彼の方を見ると、彼はきょとんとした顔でこちらを見ていた。……あれ?思った反応と違うな?
彼はそのまま私を暫し見つめた後、ふっと笑った。そして耳元に口を寄せると囁くような声音で言う。
「……愚問だな、クロ」
驚いて顔を上げると、すぐ目の前に神威さんの顔があり息を呑む。 彼は私の頬に手を当てると顔を近づけてきてあっという間に距離がゼロになった。唇に柔らかいものが押し付けられる感覚がして目を見開くと、彼がゆっくり離れていくのが見えた。
「これで満足か?俺はこんなにもお前を愛しているというのに、まだ足りないとは……欲張りなやつめ」
神威さんは満足そうに笑みを浮かべると、何事もなかったかのように再び筆を動かし始めた。
私はというと、完全に脳の処理が停止していた。やっと状況を理解した後はもう顔を真っ赤にして狼狽える事しか出来ないわけで。
え?そういう感じ?神威さんってそういう人だったっけ?混乱しつつも彼の唇の感触を思い出して悶絶していた。
神威さんってもっとこう、他人に一切興味ないみたいな人だと思ってたんだけど、意外と情熱的というか……ちゃんと好きって言ってくれるんだ。意外な事実を知って胸がときめく。
「神威さんってもっとこう……ドライな感じだと思ってました」
「ほう?」
神威さんは手を止めると私を見た。その目はどこか楽しそうだ。
私はドキドキしながらも言葉を続ける。
「だから、その……好きとかあんまり言わない人なのかなって」
「それで?お前は、俺に愛されている実感が欲しかったわけだ」
彼の言葉にコクリとうなずく。神威さんはまたフンと鼻で笑う。
「お前はつくづく面倒な女だな」
「ひどいっ!」
神威さんの言葉にショックを受ける。そうストレートに言われると私だって傷つく。でも確かに面倒臭い女だな、うん。
「ごめんなさい……」
しょんぼりしながら謝ると神威さんはまた鼻で笑う。
そして私の顎を掴むと強引に上を向かせた。突然の行動に目を白黒させる私を見て彼はニヤリと笑った。その笑顔は妖艶でどこか色っぽい。思わず見惚れてしまう程だ。
「だが、まぁ……悪くない。お前のそういう所も俺は好きだ」
またしても軽く啄むだけのキス。でも今度は少し長くて、角度を変えて何度も何度も繰り返される。
「んっ……んん……」
唇が離れたときにはもう酸欠で息も絶え絶えだった。そんな私を面白そうに見下ろしている神威さんをキッと睨むが、全く効果がないようだ。
「なんだ、もう終わりなのか?俺はまだ足りんが」
神威さんはそう言うと再び顔を寄せてきたので慌てて手で押し返す。
「おしまい!おしまいです!もう十分です!ありがとうございました!!」
これ以上されたら心臓がもたないと、私は必死に抵抗した。それが成功したのか神威さんはつまらなそうに舌打ちすると、再び作業に戻った。よかったよかった。
あまり作業の邪魔をするのも良くないのでそろそろお暇しようかな。神威さんは絵を描くことに集中し始めたのか、もう私のことなど見向きもしなかった。
部屋を出る前に一度振り返り、「また来ますね」と声をかけると、軽く手を振られた。なんだかんだ言っても優しい人なんだよね……。神威さんの顔を見て微笑むと、廃ホテルを後にした。