ライドカメンズ
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暑い、ムシムシする、寝苦しい。
今現在の私の気持ちを表す言葉は、この一言に尽きる。
「暑い……」
私はベッドの上で身じろぎながら呟いた。原因はもうわかりきっているので、何度目かの同じ言葉を口にする。
「荒鬼くん、暑いよー!」
私を抱き枕か何だと思ってるのか、お腹に腕をまわして抱き枕よろしく抱え込んでいるし、時折項に甘噛みまでしている恋人に不満の声を上げた。
ちなみに当然ながら、ただ暑さを凌ぐ為だけに荒鬼くんをベッドの外へ蹴り出すなんて真似は出来ないので、私は大人しく抱き枕に徹する事にしたのである。
……したけれど、暑いものは暑い。せめてもうちょっとエアコンの温度を下げたいところだけれども、絡みつく彼の腕をどうにかしないとそもそも起き上がることだって出来ない。さすが筋トレ(彼曰く肉トレ)をしているだけあってとっても重い。
「荒鬼くん」
もう一度、今度は少し強めに彼の名前を呼んでみたけれど反応はない。これはもう完全に寝入っているようだ。
はぁ……と小さく溜め息を一つ吐いてから、仕方なく、力ずくで彼の腕から脱出する事にした。まず最初に彼の腕を掴んで、引き剥がそうと試みる。
「ぐっ……ぐむむ」
私の力では悲しいかなびくともしない。むむ、これは困ったぞ。もぞもぞと何とか頑張ってみようとするものの、むしろ私が動く度に荒鬼くんは私の身体をより強く抱え込むので、結局彼の腕の中から逃れる事は叶わなかった。頑張った結果、ごろりと体勢を変えて彼と向き合う形になったけれど、事態は何も変わっていない。
(というか荒鬼くんは暑くないんだろうか……)
彼の腕から逃れようと奮闘している間も、彼はぐーすかと気持ち良さそうに寝息を立てていた。その寝顔は普段より幼く見えて可愛いのだけれど、今はそれどころではない。……いや、でも可愛いな?この顔。前髪を下ろしているからか普段より幼く見えるし。
彼の頬をひと撫でしてから、つんつんと突く。起きない。
今度は軽く鼻を摘んでみた。……やっぱり起きない。ちょっとむしゃくしゃしたのでしばらく摘んでいると「ふが」という謎の言葉を発して荒鬼くんが噎せ返ったので慌てて手を離す。
「ご、ごめんね」
「……」
荒鬼くんは鼻を擦りながら起き上がり、寝ぼけ眼で私をぎろりと睨んできた。寝起きでぽやぽやしているからか、怖いというよりはなんだかちょっと可愛い。
「何してんだよ……」
不機嫌そうに呟いて私の頭を小突く。えへへと笑って誤魔化そうとしたけれど、相変わらず不機嫌そうなままだ。
「暑いからちょっと離れて欲しいなって思っただけなんだけど……」
「だからって鼻摘む必要ないだろ」
荒鬼くんは呆れたように呟いた。まぁ正論なんですけれども、でも起きない荒鬼くんも悪いと思うのです。ということを正直に彼に伝えると、彼は私の両頬を片手で掴むようにして、そのままむぎゅっと押し潰した。そして、そのまま頬肉をぐにぐにと弄ぶ。
「やへふぇー!」
「やだね。仕返しだ」
一応手加減はしてくれているようで痛くはないけれど、私の頬がぐにゅぐにゅのふにゃんふにゃんになってしまう前にやめて欲しい。
彼の手をぺちぺちと叩いて抗議の意を示しても、全く意に介していないようで、むしろ私が抵抗すればするほど面白がっているようにさえ見える。しばらくむにむにぐにぐにされた後、やっと解放してもらえた。
これ以上ぐにぐにされては大変なので頬を両手でガードしつつ、エアコンのリモコンを探す。部屋を見渡すと無事リモコンを発見したので何度かボタンを押して温度を下げた後ベッドに倒れこんだ。
徐々に冷房が効いてきた部屋は心地よくて、荒鬼くんのせいで汗をかいていた身体は徐々に乾いていく。彼もまた私と同じようにベッドに倒れこむと、私の腰に腕をまわして抱き枕のように抱え込んだ。
「今日は甘えんぼさん?」
「うるせ」
からかうように言っても彼は全く動じない。むしろより強く抱きしめてきた。でも多少は手加減してくれているようなのでこれ以上の抵抗はしないでおいた。
それにしても今日はずいぶん甘えん坊さんなんだなと思いつつ、背中に手を回してゆっくりと撫でてみる。そうすると、荒鬼くんは甘えるように私の肩口に頭を擦りつけてきた。何だか大きな犬みたいだなぁ、なんてことを思ったりして。
「そういえば荒鬼くんは暑くないの?」
そう尋ねると、荒鬼くんは「暑い」と短く答えた。
暑いんじゃん!離れなよ!と思わずツッコミそうになってしまったけれど、言わないでおくことにした。というか、言っても無駄だってことはもう経験上わかっているので、諦めて大人しく彼の腕の中に収まることにしたのだ。
気がついたら荒鬼くんは私を抱きしめたまま、すぴすぴと寝息を立てている。
……暑い。でも、離れたくない。
結局はいつもと同じだ。諦めて大人しく彼の腕の中で横になると、ぎゅうと強く抱き寄せられる。
(暑いけど……まあ、いっか)
荒鬼くんの体温を感じながら、私はゆっくりと目を閉じた。
今現在の私の気持ちを表す言葉は、この一言に尽きる。
「暑い……」
私はベッドの上で身じろぎながら呟いた。原因はもうわかりきっているので、何度目かの同じ言葉を口にする。
「荒鬼くん、暑いよー!」
私を抱き枕か何だと思ってるのか、お腹に腕をまわして抱き枕よろしく抱え込んでいるし、時折項に甘噛みまでしている恋人に不満の声を上げた。
ちなみに当然ながら、ただ暑さを凌ぐ為だけに荒鬼くんをベッドの外へ蹴り出すなんて真似は出来ないので、私は大人しく抱き枕に徹する事にしたのである。
……したけれど、暑いものは暑い。せめてもうちょっとエアコンの温度を下げたいところだけれども、絡みつく彼の腕をどうにかしないとそもそも起き上がることだって出来ない。さすが筋トレ(彼曰く肉トレ)をしているだけあってとっても重い。
「荒鬼くん」
もう一度、今度は少し強めに彼の名前を呼んでみたけれど反応はない。これはもう完全に寝入っているようだ。
はぁ……と小さく溜め息を一つ吐いてから、仕方なく、力ずくで彼の腕から脱出する事にした。まず最初に彼の腕を掴んで、引き剥がそうと試みる。
「ぐっ……ぐむむ」
私の力では悲しいかなびくともしない。むむ、これは困ったぞ。もぞもぞと何とか頑張ってみようとするものの、むしろ私が動く度に荒鬼くんは私の身体をより強く抱え込むので、結局彼の腕の中から逃れる事は叶わなかった。頑張った結果、ごろりと体勢を変えて彼と向き合う形になったけれど、事態は何も変わっていない。
(というか荒鬼くんは暑くないんだろうか……)
彼の腕から逃れようと奮闘している間も、彼はぐーすかと気持ち良さそうに寝息を立てていた。その寝顔は普段より幼く見えて可愛いのだけれど、今はそれどころではない。……いや、でも可愛いな?この顔。前髪を下ろしているからか普段より幼く見えるし。
彼の頬をひと撫でしてから、つんつんと突く。起きない。
今度は軽く鼻を摘んでみた。……やっぱり起きない。ちょっとむしゃくしゃしたのでしばらく摘んでいると「ふが」という謎の言葉を発して荒鬼くんが噎せ返ったので慌てて手を離す。
「ご、ごめんね」
「……」
荒鬼くんは鼻を擦りながら起き上がり、寝ぼけ眼で私をぎろりと睨んできた。寝起きでぽやぽやしているからか、怖いというよりはなんだかちょっと可愛い。
「何してんだよ……」
不機嫌そうに呟いて私の頭を小突く。えへへと笑って誤魔化そうとしたけれど、相変わらず不機嫌そうなままだ。
「暑いからちょっと離れて欲しいなって思っただけなんだけど……」
「だからって鼻摘む必要ないだろ」
荒鬼くんは呆れたように呟いた。まぁ正論なんですけれども、でも起きない荒鬼くんも悪いと思うのです。ということを正直に彼に伝えると、彼は私の両頬を片手で掴むようにして、そのままむぎゅっと押し潰した。そして、そのまま頬肉をぐにぐにと弄ぶ。
「やへふぇー!」
「やだね。仕返しだ」
一応手加減はしてくれているようで痛くはないけれど、私の頬がぐにゅぐにゅのふにゃんふにゃんになってしまう前にやめて欲しい。
彼の手をぺちぺちと叩いて抗議の意を示しても、全く意に介していないようで、むしろ私が抵抗すればするほど面白がっているようにさえ見える。しばらくむにむにぐにぐにされた後、やっと解放してもらえた。
これ以上ぐにぐにされては大変なので頬を両手でガードしつつ、エアコンのリモコンを探す。部屋を見渡すと無事リモコンを発見したので何度かボタンを押して温度を下げた後ベッドに倒れこんだ。
徐々に冷房が効いてきた部屋は心地よくて、荒鬼くんのせいで汗をかいていた身体は徐々に乾いていく。彼もまた私と同じようにベッドに倒れこむと、私の腰に腕をまわして抱き枕のように抱え込んだ。
「今日は甘えんぼさん?」
「うるせ」
からかうように言っても彼は全く動じない。むしろより強く抱きしめてきた。でも多少は手加減してくれているようなのでこれ以上の抵抗はしないでおいた。
それにしても今日はずいぶん甘えん坊さんなんだなと思いつつ、背中に手を回してゆっくりと撫でてみる。そうすると、荒鬼くんは甘えるように私の肩口に頭を擦りつけてきた。何だか大きな犬みたいだなぁ、なんてことを思ったりして。
「そういえば荒鬼くんは暑くないの?」
そう尋ねると、荒鬼くんは「暑い」と短く答えた。
暑いんじゃん!離れなよ!と思わずツッコミそうになってしまったけれど、言わないでおくことにした。というか、言っても無駄だってことはもう経験上わかっているので、諦めて大人しく彼の腕の中に収まることにしたのだ。
気がついたら荒鬼くんは私を抱きしめたまま、すぴすぴと寝息を立てている。
……暑い。でも、離れたくない。
結局はいつもと同じだ。諦めて大人しく彼の腕の中で横になると、ぎゅうと強く抱き寄せられる。
(暑いけど……まあ、いっか)
荒鬼くんの体温を感じながら、私はゆっくりと目を閉じた。
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