夢を見た

私が一人歩いてる
遠く遠くにどうしても行きたい場所があって
そこに向かって歩いてる
途中躓いたり転んだりしながら
照りつける太陽がアスファルトをキラキラと
眩しく光らせて
目を細めながら、でもそこだけを見つめて

いつの間にか夕焼けになってて
私の影ともう一つ長い影が隣にあった
私はその影が誰のものかわかってる

私の手にその手が重なる

その人が手を強く握り走り出す
私も一緒に走った
息が切れて苦しくても
手は離さなかった
その人が私が行きたかった場所に
連れてってくれるんだって思って走った

『真島…さん』

自分で呟いた声で目が覚めた

暗闇に目が慣れてきて
ふと横を見ると
ベッドに後ろを向いてもたれるように郷田さんがいた

「魘されとった」
『え？私？』
「ああ」
『あ、すいません…なんか、変な夢を見てました』
「大丈夫か？」
『はい』

起き上がろうとしたら

「寝とれ」

と言って私の肩をそっと押す
上から見下ろされるその瞳が
何故か逸らされずにじっと見つめ続けられる

「スマン」

そう言うと、唇が重なる―
びっくりして身体が跳ねた

「ホンマ…スマン」

またそう言って私の肩口に頭を埋めてくる
な、なに？

『あ、あの！』

『ど、どうしました？』
「惚れてしもうたわ」
『はい？』
「惚れたって言うとんねん」

惚れた？
出会ってまだ数時間ですけど…

『ちょっと、あのっ！退いてもらってもいいですかっ…！』
「嫌や言うたら？」
『は？』
「このまま抱きたい」
『いや、あの！なにをッ』

郷田さんは、そのままベッドに乗ってきて
私の両腕を頭の上で掴んで拘束する

『あの！やめてください！』

何も言わずただじっと見下ろしてる






「冗談や」

パッと手を離しベッドから降りると
そのまま部屋を出て行った