「姉ちゃん、これどないしたん？」

それは腕の傷
これ、結構目立つからよく聞かれる
前、桐生さんにも聞かれたっけな
普段は面倒だから、おっちょこちょいで怪我したんです〜って言ってる

『DV男にやられたんですよ』
「ヤクザかいな」
『めちゃくちゃ一般人でした』
「はぁーん、しょーもない男やな」
『真島さんが、一発ぶん殴ってくれたし、今は塀の中ですから』
「ワシなら殺しとるな」
『でも、そしたらあなたも塀の中です』
「そらそーや」
『私のためにもしそんな事になったら、悔やんでも悔やみきれません』
「姉ちゃん、名前なんて言うん？」
『久美です』
「久美…可愛らしい名前やな」
『似合わないでしょフフッ』

「男はな、大事なもん守るためなら命張れんで」

『女もです』

静かに、郷田さんは私の事を見つめてる

『な、なんです？』
「真島はん、エエ〜おなご捕まえおったのぅ」
『フフッ、ありがとうございます』
「真島はんより先に出会いたかったわ」
『私、強面な方にモテるんでしょうか…』
「ガハハハハハ」

『で、いつになったら戻れますか？』
「ああ、せやな」
『…』
「早う戻りたいよな」
『ま、まあ…』
「とりあえず、久美の殺害決行が明日や、明日まではここに居ってもらわな」
『一日連絡が取れなかったら大騒ぎしますよ』
「真島はんか？」
『はい…』
「随分惚れられとんのやな」
『いや、その…』
「フンッ照れんでもエエで｣
『とにかく！かなりヤバいと思います！』
「何とか上手いこと言えんか？」
『真島さんに嘘つくんですか？』
「まあ、そういうことやな」

嫌だ、絶対バレる！
バレた時が怖い！

『バレると思います、とても勘が鋭いので』
「連絡しないよりはマシやろ」
『でも…』
「あんな、最終的な目的は東城会乗っ取ることや、その前に幹部連中は皆殺しや」
『え！？』
「だから、真島はんも殺られる」
『そんな…』

郷田さんは、真剣な眼で言ってる

『分かりました、やってみます』
『その前に、友達に口裏合わせのために連絡してもいいですか？』
「大丈夫なんか？その友達」
『多分…』