『桐生さん？』
「何やってんだ？」
『この人たちに攫われそうになってるんです』

そいつらは、私の発した桐生と言う名前に
目を見開いていた

「お、おい、やべぇよ！」
「桐生が居るなんて聞いてねぇぞ！」

桐生さんがズイっと一歩踏み出しながら

「で？攫うのか？やめるのか？」

一瞬怯んだ所を桐生さんが殴り倒した
凄っ！

『なんか、変な音しましたよ？』
「骨が折れたかもな」

そうこうしてると外でパトカーのサイレンが近付いてくる
あ、不味いのでは？

『桐生さん、とりあえず裏に！』
「あ？ああ」

警察が来る前にあのヤクザ達はフラフラで逃げていった
色々と聞かれたけど、面倒なのでクレーマーくらいにしておいた

警察が引き上げて裏にいる桐生さんにお礼をしなきゃなと…
裏に行くと、なんと店長が桐生さんにお茶を出して楽しそうに談笑してる

『あ、あの一応警察の方は終わりました』
「あー、久美ちゃん！良かったわね〜助けて貰って」
『あ、はい、桐生さんありがとうございました！』
「久美ちゃんの彼氏は、ホント強くていい男ね〜」

あれ？何か勘違いしてるわこれ

『あ、あの――』「久美ちゃんのこと、宜しくね！」
「は、はい…」

いやなんで、返事してるのよ桐生さん！
ま、後日訂正しておけばいっか

『で？桐生さん何故お店に？』
「あ？ああ、兄さんから連絡があってな」
『え？』
「今日約束してたろ？兄さん六代目に呼ばれちまって遅くなるって、心配だから俺に頼んできたんだ」
『そうなんですか、私に言ってくれれば先に帰ってたのに』
「デートしたかったんだろ、兄さんも」
「遅れるけど行くからって言ってたぞ」
『んふッ、分かりました』