車のシートに座ると、真島さんが私の腰に手を回しグイッと距離を詰めてくる
とっても密着…ドキドキが伝わっちゃう
これはどう見ても恋人同士じゃないのかと
思えるようなそんなシチュエーション

「飲みいくか？」
『はい』
「おい、バンタムに行けや」
「はい、親父」

わぁ…組長さんって感じ

バンタムの近くに車が止まって
ドアを開けてもらい2人で降りる

店まで歩く間
真島さんは、時々後ろを振り返りながら少し前をゆっくり歩く
そんな一つ一つの行動が私の心をグッと捉える

お店のドアを開けて中に入って
カウンターの端に座る

「何飲むん？」
『あ、真島さんと同じもので』
「大丈夫か？｣
『大丈夫ですよ』
「なんや、酔わす楽しみなくなってしもうたやん」
『フフッ』
「酔わせて俺のもんにしたろ思うたのに」
『嘘ですね、真島さんはそんなことしません』

真島さんが、真剣な瞳で語りかけてくる

「買い被りすぎやで」
『…』
「俺かてただの男や、欲しいものは手にするだけや」
『…』

『極道だからとか、そんなの関係なくですか？』
「痛いとこついてくるのぅ」
『だって、私は真剣ですもん』
「せやな…俺かて真剣やで？見えんやろがな」
「そうそう女に真剣にはならん」

そんな…卑怯だ
そんな事言われたら…期待してしまう

『私は…』
「なんや？素直に言ってみ？」
『私は…マジですよ？』
「ヒヒッ」
「覚悟出来とんのやろな」
『出来てます』
「どうなっても恨みっこなしやで？」
『はい』

真島さんは、その言葉を聞くと
私を胸に抱き込んだ

「エエ女や」

真島さんの胸の中で、深く息を吸い込む
いつになく緊張してる