真島と呼ばれていたその人は変な笑いをしながらまた、話へと戻った

コース料理を次々と運んでいく
『車海老のチリソースです。こちらで殻をお取り致します』
スプーンとフォークを使って、身をクルッとさせ殻から取り出していく
チリソースを掛け円卓に乗せクルッと回してお客様の前へ

「上手いもんやな」
『慣れですよ』
「ヒヒッ、ネェちゃん長いのか？」
『2年目ですね…』
「ほぉー、ここには来たことなかったから知らんかったわ、こんな可愛エエ子ぉ居ったならもっと早よ来とけば良かったで、な？大吾ちゃん」
「全く…真島さんは」
『フフッありがとうございます。これからもご贔屓に宜しくお願いします』

コースは終わり、最後に温かいウーロン茶と杏仁豆腐を持っていく

「おおきにな、ネェちゃん名前なんて言うん？」
私は名札を見せながら「佐藤」です
と言うと
「ちゃうちゃう、下の名前や」
『え？』
私は少し躊躇してしまった、だってこの人ヤクザだよ
『あ、久美です』
「久美ちゃん…エエ名前やな。うん、久美ちゃん…呼びやすいしな」
『あ、はい…母が皆から名前で呼ばれやすいようにって付けてくれたんです』
「なるほどなぁ、ホンマエエ名前や！」
『ありがとうございます！』
「ワシ、真島や。真島吾朗宜しくな」

そして、その方々は「ごっそさん！美味かったで！久美ちゃんまたな〜」
と言って帰っていった

テーブルを片付けていると
「ねぇ！さっきの蛇皮の人！真島組長だって！」
『へ？組長！』
「そそ、ここじゃ嶋野の狂犬って言って、めっちゃクレイジーな人らしいよ」
へぇ〜至って常識人だったけどなぁ、まあ、見た目はアレだけど…
『そんなに怖い人には感じなかったけどね』
「あんな人に名前教えちゃって大丈夫なの？」
『だ、大丈夫、だと思うけど』

私は神室町に住んでいるわけでないので、会うとしてもこの店の中だけだろうと、そこまで心配はしてなかった