仕事を終え、足はセレナに向かって歩いている
何がそこで待っているのかわからないけど、何故か自分の目で確かめないと気がすまない質だ。
セレナの前に着いて、看板を見上げると
ちゃんと電気が点いてる！
やっぱり…
さあ、桐生さん…何を隠してるんですか！

カランカラン

「いらっしゃいませ〜あら久美さん」

『こんばんは』
入った時はザワザワしてたのにシーーーンとなった

中に入ると、はい、皆さんいらっしゃいました
そして、驚いた顔で私を見ております

「く、久美！」
「おい！桐生どういう事だよ！」

あら、錦山さんもグルですか…

『えーっと…今日はお休みではなかったんですね』
「お休み？」

ママさんがキョトンとしてる。そりゃそーだ、勝手にお休みにされてたんだから

知らん顔してカウンターに座る

『とりあえず、ビール下さい』
「はーい」

背中に痛いほどの視線を感じる

「どうすんだよ！」
「ど、どうしたらいいんだ」
「無理やな、こりゃ」

何なのよ、コソコソ話して
ビール一杯飲んだら帰ろうと思った

カランカラン

「来たで〜」

来た！

「おっ…おい…なんで久美ちゃんが居るんや！」

片目をこれでもかと言うほど大きく見開いて私を見る

『あら！真島さん、こんばんは〜』

わざとらしく言ってみる

「お、おう、お疲れさん…」

やっぱり怪しい…

向こうの席に慌てて行く真島さん

「おい！桐生ちゃん！どういうことや！」
「に、兄さん…すまん」
「しゃーない、今日はあの話はナシや！」

コソコソ言ってる

私はビールを一気に飲み干し

『では、失礼します。ご馳走様でした！』

クルッと振り返って

『皆さん、失礼します』

行ったはいいけど、一体何だったのかわからず仕舞い
でも、何か隠してることはわかった

今日は久しぶりに電車で帰るかな〜と
歩いてると
「久美ちゃ〜ん」
後ろから追いかけてくる
「久美ちゃん待ってや、送ってくわ」

『あら、真島さん？お忙しいみたいですから大丈夫ですよ』
「意地悪言うなや〜」
『フフッ』
「久美ちゃん…怖いのぅ」