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【10000人突破記念】ー非日常ー
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若い頃に1度結婚をした
でも、覚悟の足りない結婚は呆気なく更に若い女に攫われて終わった
それからは恋愛は面倒臭い、仕事が生き甲斐などと言い続けてもう良い年になってしまった
若かりし頃興味本位で訪れたことのある歌舞伎町
自分の生活圏内にはないギラギラとしたネオンと
そこかしこで起こる小競り合い
恐ろしい怒声飛び交うその町に何故か行きつけの飲み屋を開拓した
仕事終わりの気怠い時間
カウンターにいつも通り独りで座りスマホでSNSを垂れ流しながらジントニックをチビチビ飲む
たまにカウンター内のオーナーが話しかけてくれる
独り身の女を気遣ってくれてるんだろう
だけど私はスマホの画面から目を離さずに相槌だけをする
なんて可愛げのない女だろう
自分で言うのもなんだけど、ずーっとそう思ってきた
可愛げのある行動なんてしたことがない
そりゃ可愛い女に取られるはずだ
ふと、スマホに影がかかる
ん?と思って横に目を向けると裸の腹が目に飛び込む
「!?」
「よお、横ええか?」
すーっと目を上に上げると
胸には鮮やかな入れ墨、そのままどんどん見上げれば左目に眼帯、髭面の男だった
少しビビったけどこの町にはありふれた感じの男
「なんでですか?」
そんな答えが返ってくるとは思っていなかったのだろう男は少し目を見開いた
「いや…なんとなくや」
「別に、どうぞ?」
私より少しは年上なのだろうか
そんな事より完全にアッチの方の男だろう
隣に座るということは私と話でもする気なのかな
「ねぇちゃんこの町の人か?」
『いいえ』
「仕事がこの近くなんか?」
『そんなに近くもないです 』
「この店はよく来とるよな?」
『まあ』
「…」
そりゃそうなるよね
つまらないでしょ?サッサと他に行ってくれないかな
「オモロイねぇちゃんやな」
『え?』
オモロイ?どこが?
「ワシ変わってんねん」
『見たらわかりますけど…』
「せやろ〜」
『…』
男はウィスキーのロックをゴクンと喉を鳴らし飲み込むとタバコに火をつける
「あ、タバコええか?」
『いやもう点けてるし』
「ヒヒッすまんすまん」
この人…真島と名乗った
なんだこの男
私の鋼鉄のような心の中に入ってこようとするけどなんだか嫌ではない
それよりか私の目線をスマホからすぐに自分へと移させた
私はとっくに名前を名乗りスマホを置いて真島という男の方へ向いていた
時間はかからず鋼鉄は熱せられドロドロになった
「なんでそんなカチカチにしてたん?」
『え?』
「誰も寄せ付けんようなバリアが見えたわ」
『あぁ…面倒くさくて、人間関係』
「そら勿体無いのぅ」
『何がです?』
「久美ちゃん気づいてないかもやけど、その辺に居る男みんな声かけよって狙っとったで?」
『いやいや、そんなわけあるわけ無いでしょ』
「ワシ、少し前から狙っとったんやけどな、ここで見るのも何度目かのぅ」
『ホント?そんなに目立つ人忘れないと思うんだけど…』
「ああ、最近色々コスプレしとったしな」
「お巡りやろ〜タクシーの運ちゃんやろ〜バーテンダーにキャバ嬢」
『え…アハハ、ちょっとその方が今より目立つでしょ!』
「お、や〜っと笑った」
ハッとなって思わず手で顔を隠した
「だ〜めや、見せてみぃ」
そう言うと私の両手首を掴みゆっくりと剥がした
「ヒヒッ、やっぱかわええ」
多分、真っ赤な顔になったはず
駄目!駄目だ!
落ちるな!しっかり!
自分に言い聞かせる
「ええやん、かわええまんまで居れや」
『そんな年でもキャラでもない』
「んなら、俺の前でだけその顔で居ってみ」
『無理』
と下を向いた私の顎をそっと持ち上げ
親指で唇をなぞると端正な顔が近付いてくる
拒否らなきゃと思うのに…出来ない
チュッっと軽く触れた唇が離れていく
ペロっと唇を舐めて
「美味い」
と一言
耳が熱くなって上目遣いに睨んだ
「そんなんもええな」
何を言ってもやっても無駄みたい
『私…とっても面倒臭い女ですけど』
「おお、せやろな」
『あなたと居れば…日常から飛び出せそうな気がする』
「ええタイミングやったな、もうウンザリやったろ?」
『え?』
「連れ出したる、日常から」
腕を捕まれ店を出れば
私の知っている歌舞伎町のような違うような町
『ねぇ…ここってどこ?』
「どこって、神室町やんけ」
神室町?
『歌舞伎町じゃなくて?』
「せや、【神室町】や」
『私…もう戻らなくてもいい?』
「ええで、ここでずーっと暮らすとええ、アッチよりも刺激も面白味もあるで?」
『私のこと、誰も知らない』
「俺しか知らん、それで十分やろ」
「さ、飲み直そか」
手を引き歩き出す大きな背中は
私に違う人生をくれようとしてる
この「真島」という男にもう一つの命を貰ったような
今までの私はあの店に脱ぎ捨ててきた
振り向くその人に
自然と笑みが零れたのはずーっとこの先この手を離さないでいてくれるという確信を感じられたから
返された笑みと共に
「死んでも離さんで、ずーっとや」
終わりのない私のもう一つの人生の始まりは
こんなに簡単に始まったのだった
続?
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