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欲しいものー短編ー
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「なぁ」
突然私の手を掴んで自分の頬に擦り付けながら
真島さんが聞いてきた
「なんか欲しいもんあるんか?」
『欲しいもん?』
二人で過ごすようになってから抱えきれないほどのモノを与えられていた私は特に欲しいものなどなかった
『う〜ん…特に今はないかな』
その答えにやっぱり不満そうな顔で
「なんかあるやろ〜」
『う〜ん、なんで?急に』
「急やあらへん、ホワイトデーや」
『え?まだまだじゃん』
「んなこと言っても2月は日数少ないやろ?あっという間に来るんやで?」
ん…ま、確かにな
『でも、早すぎだよ』
私は少し笑いながら頬に寄せられた自分の手で
真島さんの顎髭を撫でる
「ちゃうねん、その日まで選んだり準備したり久美の事考えながらすんのが楽しいねん」
そんな強面でそんな可愛いこと言っちゃうの?
『あ、真島さんのこのネックレス欲しい』
顎から首へ手を滑らせて、そのいつも着けているネックレスを摘んで言った
いつも肌見放さずしているものだからきっと大切なものなんだろうなって思ってた
だから貰えるとは思ってなくて、何となく言ってみただけだ
「これか?」
自分でもそれを摘んで持ち上げて言う
『ンフ…うん』
「これかぁ…」
「同じやつ買うてやるってのは駄目か?」
やっぱり大切なものなんだな
誰かに貰ったとかなのかな…
少しの意地悪心もあって
『それがいいな』
「なんでや?」
あぁ
やっぱり一筋縄ではいかない男だね
心の中の気持ちを刳り出すようなそんな声色とジッと見つめる眼
『なんとなく』
徐にその金のネックレスを外して私の目の前にぶら下げる
『くれるの?』
「俺の首からこれが無くなったら…久美寂しいやろ?」
『なんで?フフッ』
「俺の下でいつも揺れるコレ、エロい顔してジーっと見とるやないか」
『バッ…な、何言ってんの!』
ネックレスをブランブラン揺らしながらニヤニヤして
「図星やなぁ〜」
『み、見てないもん!』
「いんや!お前がコレに興奮しとるの俺にはわかっとる!」
『な、なんでネックレスに興奮するのよ!』
「んな事お前のほうがよぅわかっとるやろ」
ムム…
やっぱりこの人には勝てないのだ
悔しい…
『んもう…わかった!嘘!欲しいなんて嘘だよ!』
「何でそんなこと言ったん?」
こうなるともう誤魔化すことも許されないいつものパターン
『だって…ずーっと着けてるし…だからなんか大切な物なんだろうなって…大切な人に貰ったとか…』
「まさか…ヤキモチ…」
くそぉ…
『そ、そうだよ!もう!』
「ギャハハハハハハハ!」
『な、なに!』
ネックレスを自分の首へと着けながら
「貰ったもんやない、自分で買うたんや」
『…』
「始めてめっちゃ稼いで親父に小遣い貰うたときにな」
『そうなんだ…なら大切なものだね』
「せや!」
急に机をバンッと叩いて
「コレは久美にやる、んで俺はまた新しいの買うわ!どや?」
『いいの?』
「ええよ、俺の着けとるのが欲しいんやろ?」
なんでわかっちゃうの…
『うん…』
「ならそれでええやん?」
『いいの…?』
「ま、新しく買えばお前と揃いになるしな」
『ッ…』
真島さんのいつも着けている金のネックレス
コレがあれば私はとても強くいられる気がする
この人のように…
それにいつも側に居てくれる感じがする
そんなふうに思ってた
お揃いなんて…嬉しすぎる…
「なら、俺の分買うて来たら改めて久美に着けてやるからな?それまでは着けとくわ」
『うん…』
「無くなったら寂しいやろ?ヒヒッ」
『だから!』
「な?」
クッ…
『…うん…』
大きな手が私の頭を撫でた
「ホンマ、かわええ事言うのぅ久美は」
『…ッ!』
「赤くなりおって」
「俺がずーっと側に居ってやるからな、大丈夫や」
いつもこうして真島さんのペースに持っていかれるけど、でも私の欲しいものをくれる
それは物だけじゃなくってちゃんと気持ちも添えて…
俯いてる私に大きな影が被る
上を向けば、優しい口づけが降ってきた
「好きやで、久美」
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