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迷う心〜真島side
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会長室の扉の前で
俺の拳は革のグローブがギチギチと音を立てるほど強く握り締められとった
この中に、俺の久美を寝取った奴がおる
そう思うだけで背中の般若のように、俺の今の顔は鬼のようになっとるやろ
バァン
扉を開けると、奥の椅子に座る桐生ちゃんが見えた
姿を見た瞬間に怒りが湧いて飛びかかる
「ん?兄さん?おっ!おい!」
「うおりゃぁーー!」
走って机に飛び乗って、桐生ちゃんに掴みかかる
「おい!兄さん!何なんだ一体」
「桐生ちゃんよぉ…ワシになんぞ隠してることあるやろ?」
「な、なんだ!」
「墓場まで持ってくつもりやったんか?」
「…っ!」
「のぅ…お前… 久美に何しおった」
自分でも焦るくらいの恐ろしい声が出た
この時、明らかに桐生ちゃんの表情が歪んだのを俺は見逃さへんかった
「お前のこと…信じとったんやで…だから久美のこともお前にならと…頼んだんやで…」
声が…震える
桐生ちゃんが…浅い息を吐いた
「兄さん…」
「言い訳は聞かへんで」
「言い訳なんかしない」
「なんや」
桐生ちゃんは、見たことない苦悩の表情で俺を真っ直ぐ見つめてきた
「久美に…薬を飲ませた」
「…」
「コーヒーに…薬を入れて眠らせた」
「おま…え…」
「すまない…兄さん…」
「お前がやったことは、俺と久美への裏切りやで?」
「ああ…」
「なんでそないなことやったんや!」
俺は桐生ちゃんの襟首を掴んで締め上げた
「っ…うっ!」
「ど…どうしても…あきらめ…られな…かった…」
「それでもや!それでも…なんで!そんな卑怯な手を使うて!」
「…」
「おまえ…しかもそれ、峯に見られとるんやぞ」
「っ!?」
「そのせいで、久美は峯に脅迫されとった…」
「俺にバラされたくなければ…抱かせろ言われとった」
「そ、そんな…」
桐生ちゃんは、もう…完全に力を失って崩れ落ちた
「お前のしたことで、久美はまた傷つけられるとこやった」
「兄さん…殴ってくれ!気の済むまでやってくれ!」
「いやや。んなもんじゃ気なんかすむかっ!!」
「もう… 久美のことを見るだけでも…お前の顔が浮かぶ…二人で抱き合ってる所が浮かぶ…」
「兄さん!違うんだ!久美は全く悪くない!寝ていただけなんだ… 久美は…」
「やけどな…もう…無理かもしれん…」
『そんな…兄さん、頼む!久美のことはっ!!』
「桐生ちゃんよぉ…俺の久美への愛は…こんなもんだったんかのぅ…アイツのこと…信じてやれん俺も…最低な男や」
もう…桐生ちゃんを責めるのも、何もかも
俺は考えることすら拒否するようになっていった…
桐生side 代償