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こんなはずでは…バレンタイン
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一応…覚えてる
後数日で【バレンタインデー】ね
そりゃ、付き合って最初の頃は手作りしたり
ネックウォーマー編んだり?
色々としたけど
もう、なんにも思い浮かばなくなってここ数年はスーパーで買ってきたチョコ
それでも真島さんは喜んでくれる
きっと、組の事務所にはダンボールに入った沢山の女性からのチョコが今年も並べられるんだろうな
そんな事を考えてたら急に危機感に襲われる
そのチョコの送り主達は、常にきらびやかで美しくスタイルも抜群
いつも己の見た目に気を使い、もちろん贈り物のチョコも気を使ったものだろう
対して私は…
真島さんの愛に胡座をかいて、化粧も薄化粧、スタイルも正直あの頃より崩れてきてる!
それに…スーパーのチョコ…
そんな事を考えてたら真島さんからメッセージが来た
「ちょい遅くなるわ」
付き合って数年、一緒に暮らし始めて一年
ちゃんと帰る時に連絡をくれる
遅くなるときも、○○で遅くなる、スマンなって…
もう一度メッセージを開いてみる
「ちょい遅くなるわ」
理由も書いてない
スマンの言葉もない
何となくゾワ〜っと足先から寒気が走った
メッセージに返信する
『どうしたの?』
私がこんな事を聞くことも珍しいかもしれない
なかなか既読にならない
いつもなら直ぐに既読になって返事もくる
スマホをテーブルに置いて、深呼吸をする
待て、考え過ぎだ、うん
真島さんに限ってそんな事は…
スマホが気になりつつも
夕飯の支度を始める
あ、ご飯炊いてなかったじゃん…もう!
何時くらいに帰ってくるのかな…
そもそもご飯は要るのかな…
誰かと食べてくるのかな?
コーヒーを入れてテーブルへ戻る
スマホを手に取ると返事が来てた
「ちょっとな、飯は先に食べててええからな」
…。
…。
ちょっとな?
なんで言わないの?
言えないのか
一気にご飯なんて作る気なくなってしまった
コンビニて何か買ってこよう
上着を引っ掛けてすぐそこのコンビニにやって来た
さすがもうすぐバレンタイン
色々とチョコが並んでた
その一つを手に取って
こんな事を考えてるのもアタシだけかもな〜
チョコを棚に戻しておツマミを少しだけ買って帰る
何となく飲みたい気分だ
うん、飲んじゃお!
「ただいま〜」
…。
「なんや、飲んどったんか」
…。
「おい、久美?こないなとこで寝とると風邪ひくやろ」
『ん…んん〜』
「ほれ、ベッド行くで?」
『やだぁ…』
アタシは真島さんの首に捕まってその首筋に顔を埋めた
微かに香るのは…石鹸の香り?
『なんか…いい匂いする…』
「あ?」
『どこ行ってたの?』
「あ〜ちょっとなヤボ用でな」
まだ言わないのか
アタシは直ぐに絡めていた腕を離して
着替えを取りに行って浴室に直行する
だって…あのままだと要らんこと言ってしまいそうだったし、涙も出ちゃいそうだったから
そんなアタシを不思議そうな顔で見ていた真島さんには気付かなかった
湯船に浸かりながら頬から落ちる涙の雫を見てた
素直じゃないアタシ
そんなに心配なら今年のチョコは手作りしたりすればいいのに…
なんでか恥ずかしくて出来ない
物分りのいい女でいたくて、真島さんの予定なんかには口出しもしない
時にキャバ嬢の名刺がポケットから落ちても、『はい』って普通の顔で渡したり
本当は、焼け付くほどムカついてる
だけど、それより何よりもっとずっと真島さんと一緒に居たかった
こんな可愛げもないアタシにいつも「かわええのぅ」と言ってくれるのは、この世でたった一人しかいないとわかってたから
顔を合わせづらいなと思いながらもお風呂から上がる
ドライヤーで髪を乾かしながらこのまま直ぐに部屋に行ったら感じわるいかな…とか
するとガチャっと脱衣所のドアが開いた
『あ、お風呂入る?』
「ん、ああ」
髪を乾かし終えて脱衣所を出ようとするアタシの腕を掴まれた
『…ッ!なに?』
「なあ、アレ…なんとも思わんのか?」
『?』
「その…どこに行ってたって…」
『…』
『どこ行ってたの?』
「桐生ちゃんと喧嘩して、サウナ行ってた」
『プッ…』
「なんで笑うんや!」
『だって、アタシ、馬鹿だな〜と思って』
「は?」
『てっきり、女の人と会ってたのかと思ってた』
「それは、ヤキモチ妬いたっちゅうことか?」
『ん〜…そうかな』
「やったでぇ〜!!」
『は?』
詳しく聞いてみたらこういう事だったらしい
いつも聞き分けが良くてわがままも言わない、文句も言わない、そんなアタシが自分の事を本当に好きなのか不安になったらしい
その…バレンタインも手抜きになっているのも合わせて…(これは本当に申し訳ない)
で、桐生さんに話したらそれなら少しだけ試してみるのもいいと、どこに行くとも誰と行くとも何をするとも伝えず石鹸の香りをさせて帰ってみるという…なんとも安直な作戦
で、帰ってみるといつもの通りのツレないアタシの反応にいよいよ不安に拍車がかかったらしい
『その作戦成功してるよ』
「ヒヒッ」
「なぁ〜、もっとわがままとかヤキモチとか言うてな?」
『え〜』
「それで俺が喜ぶんやからええやん」
『ウザくならない?』
「絶対ならん!」
『ホントかな〜』
「もう、可愛くて堪らんようにはなるで?」
『変なの!』
「なんでや?女からわがまま言われるなんて男冥利に尽きるやろ」
『ふーん』
『今年は、手作りがいい?』
「何がや」
『チョコ』
「んなもん別にコンビニのでもええ」
『え?なんでよ』
「ちゃうねん、物じゃないんや」
『じゃあ、なに?』
「バレンタインと誕生日とクリスマスは、久美から俺にチューしてや」
これがホントにヤクザの組長なのか…
「どや?」
『え、いいけど?』
「やりぃ〜!んなら約束やで?忘れたらアカンで?」
『う、うん』
頭の中は子供なのかな?
でも、単純で助かる
アタシは今まで不安にさせてしまったお詫びにチョコを手作りした
大きなハートのチョコ
たくさんその中にいつものありがとうと大好きを詰め込んで
帰ってきた真島さんにチョコを渡しながら
抱きついてキスをした
直ぐに腰に絡みついた腕は、その後2時間ほどアタシを離してはくれなかった…
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