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満たしてみて
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はぁ…
もうどのくらい女を抱いてないんやろなぁ…
常に監視されとるし、それより疲れすぎてこのまま不能になりそうや
そんな事を考えながら帰り道
ふと目に止まった一軒の飲み屋
ああ、一杯だけ引っ掛けて帰るかな
コレが運命なら、ここまでの出来事もコイツに会うために起きてたんか…笑える
店に入ると、カウンターに突っ伏す女
「お客さん、飲み過ぎだよ!」
店のマスターが何やら困っとる
「あ、いらっしゃい!」
「ああ、一人なんやが…」
「どうぞ、お好きな席に」
その瞬間、突っ伏してた女がバッと顔を上げた
「…ッ!」
やべ…絡まれる…
『お兄さん!ここ!ここ!』
自分の隣の席をバンバン叩いてここに座れと言っとる
ああ…なんで入って来てしもうたんや…
『ほら!早く!』
もうなるようになれ!
「姉ちゃん、飲みすぎやで?」
『飲まずにいられるかっつうの!』
「失恋したんだってさ」
マスターが言う
「ほぉ〜ん、そら可哀想にな」
『可哀想…可哀想?』
「あ、ああ…」
『聞いてくれる?お兄さん』
一杯じゃ、帰れそうにないな…
聞くと、付き合ってた男に女がいたと
言うたら二股かけられとったって事やな
それだけならよくある話やと思うけど、どうやらプロポーズもされて結婚式の予約も入れてたっちゅうことらしい
『女が結婚決めるのに、どれだけの覚悟決めたか…わかってんのかぁ〜!』
「そりゃ、男も同じやろ」
『二股かけたまま結婚する覚悟?』
「いや、姉ちゃんのこと選んだんやないんか?」
顔を両手で覆い、また泣き出す
『そ…そん…な、そんなの…選ばれたくなかった…よ』
「なんでや」
顔を覆ったままで
『だって…一人は切り捨てるって事じゃん、一つ間違えばアタシがそっちになってたんだよ?そっちはどうするの?そのまま都合よく付き合っていこうとか思ってたって事じゃん』
「ん…まあ…せやな」
『そんな思いやりのないこと出来る人だと思わなかった…』
「まあ…結婚しようと思う女が居るのに他の女に手を出す時点でな…」
顔から外された手が、カウンターの上でギュッと握られた
『すんごく…好きだったのに…、みんなに優しくて、いつも大切にしてくれて…絶対この人に着いていけば幸せになれるって、思ってた』
「…」
『だけど…相手の女の人と居るのを見ちゃったとき…アタシの知らない顔してた』
『あんな顔出来るんだぁ…』
何処か遠くを見つめるような目で思い出すように言葉が出てくる
頬を涙が伝った
『もう一杯!』
そんな絡んできた女を放って置くことも出来ず、結局そのまま話に付き合って、泊まっとるホテルに送ってやる
東京から出てきたと言ってたな
「おい、ついたで?鍵、あるか?」
『んん…ん、バックの中』
「探すで?」
『んん〜』
持っていたカバンのチャックを開けて中を見てみる
「鍵、鍵…」
コツンと俺の手に何かが当たる
少し持ち上げてみると、よくある指輪が入ってるようなベルベットの箱
チラッと中を開けてみた
パカッ
その中には、ダイヤやろうか…きっとプロポーズで貰うたもんやろな…
また鍵を探す
「お、あったあった」
鍵を開けて中に入る
ぐでんぐでんになった女をとりあえずベッドに転がして、冷蔵庫から水を取り出す
「ほれ、水飲めや」
『…』
あ?寝てしもうたんか?
「おい、水!」
『…ッ…ッ……』
『うわ〜〜〜ん!』
カバっと俺に抱きついてくる
「お、おい!離せや!こら!」
『うえ〜〜〜ん!』
「おい!」
『こんなに…ッ…好きになったこと…なか…たのに…大切ッ…だった…』
しゃーないな…
俺は抱きしめて、背中をポンポンと叩いてやる
『ングスん…忘れ…られるかな…』
腕の中で震えながら泣き続ける女を
そのまま抱きしめながら「大丈夫や」
としか言えんかった
泣き疲れて寝てしもうた女をベッドに寝かせて
ため息を一つ…
「ホンマ、俺やなかったら襲われとるで?」
起きそうもない女に一つ目線を送って
部屋を出ようとした
『襲っても…いいよ』
「あ?」
『忘れさせてくれる?今この一瞬でもいいから』
「あんなぁ…」
『もっと、抱きしめといて欲しい…』
「んなこと簡単に言うもんやない」
『簡単じゃないよ…必死だよ』
「失恋して酔った女に手ぇ出すような男にはなりとうないわ」
『……そうだよね…ごめん』
「…」
『ありがと…』
そのままドアを開ければ良かったのに…
何故か俺の足は、ベッドの方へ向かう
「手ぇは出さんけど、もう少し居ってやろうか?」
『え…いいの?』
「どうせまた泣くんやろ?」
『…グズ…』
「そんなにええ男やったんか」
『そんなに沢山の男を知ってるわけじゃないけど…少なくともあの人以上の人に会える気がしない…』
「んな、人生まだまだ長いで?男なんか仰山居るしな」
『そうだよね…こんなのよくある話だし…』
「ええやん、泣きたいだけ泣けや、こうなったら付き合ったるわ」
ベッドから起き上がって、俺の首に手を回して
抱きついてきた
「酒…臭いな…」
シーン…
『ちょ、ちょっとーー!!』
「あ、スマン…」
『心の声!出ちゃってる!』
「出てもうた…」
俺の首に巻き付いたまま、バッと顔を上げて
涙で一杯になった瞳から一雫ポロリと落ちた瞬間に今日初めて見た笑顔になった
『ブフッ…あはははははは!酷い!』
「…ッ!」
その瞬間に
俺はベッドに女を押し倒しとった
『ねぇ、変な順番だね』
「何がや」
『普通、泣いてるときにそれやる』
「女は笑顔が一番かわええんやで?」
そのまま口付けた
「名前、何ていうん?」
『久美…』
「久美…笑っとれや、めっちゃかわええやん」
『ンフ…ありがと…』
その後や
そのまま縺れこもうかとやる気になって身体をまさぐっとったのに
久美は寝やがった!
ここまで高ぶらせておいて、寝るって!
結局、仕方なく朝まで抱きしめたまま
俺も久しぶりの柔らかく温かい温もりにグッスリ寝てしもうた
昼前に目が覚めたとき、まだ自分の腕の中にある温もりに少しホッとした
泣いたまま寝た久美の顔は酷いことになっとったけど、目が覚めて
『…ん…おはよ…』
と少しはにかんだ顔が胸をギュウっと締め付けた
「おはようさん」
と言ってキスをする
『待って!』
「な、なんや」
『シャワー浴びてくる!』
「は?」
『え?』
「…」
「そういう事…?」
『…』
「ま、ええわ」
『ごめん…待ってて!』
「ああ…」
シャワールームの扉を閉める瞬間
『絶対待っててよ!』
ククッ…
やる気なんか…アイツ
わからん奴やな〜
その後、俺もシャワーを浴びて
バスローブ姿の二人、ベッドの上で…
何故か…
お見合い状態やった…
『お酒の勢いって、大事だね…』
「せやな〜」
『酔った女に手ぇ出さん!とか言ってたよね』
「…」
『出そうとしたよね、ってかちょっと出したよね?』
「…あんまりかわええ顔するからやんか」
『…』
「照れんなやククッ」
『今は?…その…』
「かわええよ」
下を向く久美の顎に手をかける
『恥ず…』
言い終わる前に口を塞いでやった
「いつまでこっちに居る?」
身支度を整えながら久美に聞く
『えっと…』
シーツを胸の上まで引き上げながら戸惑いの顔をする
「なんや」
『一夜の過ち…だよね?…朝だけど…』
「はあ?!」
『え…』
「お前はそれでええんか」
『え〜…っと』
「俺は遊ばれたんか」
『いやいや!そんな事は!』
「もう少し、居れや、ここに」
『ん…うん』
「居ってくれや、な?」
『いいの…かな』
「一晩慰めてやったんやから、今度は俺の頼みを聞いてくれてもええやろ?」
『なんか…アタシ………とんでもない女だね』
「ちゃう、運命や」
『マジ…?』
「少なくとも俺はそう思うとる」
『…』
「役不足なんか?」
『いえいえ!とんでもない!』
「ならええやん」
『…うん』
「んなら、夜また来るわ」
『うん!』
人との出会いなんてこんなもんやろ
何がキッカケになるかなんてわからん
せやから楽しいんや
そこにどんな背景があろうが、俺が惚れたんやからそれでええ
それしか理由なんてあらへん
何年か経ったとき
二人で出会いの時を思い出して
また笑いあえたらええな
その度に、俺は一瞬で惚れたお前の笑顔をかわええ笑顔を見ることが出来るんや
そらもう
幸せに満たされた日々やろ
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